テラーノベル
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また数学が60点台。
答案に赤ペンが這うたび、
胸の奥から冷たいものが込み上げてくる。
「最近どうしたんだ?」
担任が珍しく、放課後に呼び止めた。
kr「…別に、大丈夫です」
一応そう返すけど、目は笑えていない。
先生は
「少し話してみないか?」
と説得し、
結局、保健室の奥の
“カウンセリング室”
に連れて行かれた。
そこには、いかにも穏やかそうな
カウンセラーが座っていた。
柔らかい声で
「悩んでること、ある?」
と尋ねられる。
最初は黙っていたが、
沈黙がしんしんと続く中、思わず口を開く。
kr「……全部うまくいかないんです。」
kr「努力してるのに、点数が下がって……親にも責められて……」
言葉が止まらなくなった。
自分でも何を話しているかわからない。
ただ涙が滲む。
カウンセラーは、
「苦しいの、ずいぶん我慢してきたんだね」
と静かに言う。
「とても頑張ってると思うよ。でも、このま
まだと本当に危ないかもしれない。
一度、専門の先生に会ってみてほしい。」
……精神科?
突然現実味がない響きが、
頭の表面を滑っていく。
「心の風邪みたいなものだから」
カウンセラーは優しく
微笑んでくれたけれど、
自分だけが
“みんなと違う世界”
に送り込まれるような、
そんな恐怖を感じた。
帰宅して、母親に
kr「学校から、病院に行ったほうがいいって言われた」
と伝えると、
一瞬、空気が重くなった。
「……そんなことで? しっかりしなさい」
相手の声色から、
失望と苛立ちがにじんでいた。
父親は、
「困るんだぞ、受験間近に」
と小さくため息をついた。
俺の不調は
“個人の問題”
としてしか扱われていない。
心配よりも
「失望」と「不機嫌」
が部屋に濃く充満する。
夜中。
精神科のパンフレット
だけが机の上に残されていた。
開いたけれど、文字すらよく見えない。
kr「自分は、本当に壊れてしまったんだろうか」
答えが出ないまま、
俺は毛布に丸まって
静かな闇の中へ意識を逃がした。
コメント
2件
うわぁ、、なんて、、言うんだろう、 めっちゃ分かるのに、言葉に出来ねぇ 何回も言うけど天才だね!(尊敬するわぁ)