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「でも、記憶を探すと言ったって、どうしたらいいんだろう」
僕は疑問を呟く。
「あ、そうだ。記憶を探す手がかりになるかは知らないけど、藍翔くんが見つけたことがあったんだよね」
カムイが僕を見ながら言う。
「あ、そういえば」
「なんなのか教えて貰ってもいいですか?」
提が俺に問いかける。
「もちろん。この屋敷さ……テレビがないんだ。」
俺は答えた。
「……あっ!」
美亜が気付いたように声を上げる。
「言われてみればないねぇ〜そうだねぇ〜」
柑夏も共感した。
「ルームシェアのような広い屋敷…それにしては不自然な会議室…オマケにテレビが1台も置いてない…」
美亜が呟くと提がポツリと言った。
「まさか、この屋敷はルームシェアなんかじゃなくて、今私達が集められているような目的で存在している、とか…」
「……」
沈黙が走った。
「柑夏ねぇ〜気になったことがあるんだよねぇ〜」
「どうしたんですか?」
柑夏の問いかけに提が返事をする。
「みんなはおかしいと思わないかなぁ〜?」
「何がだ?」
柑夏の勿体ぶるような口調にカムイか少し強く聞き返した。
「だってぇ〜…この屋敷の外ってぇ〜…」
「空も地面も全部黒いんだよ」
途端に柑夏は真面目な顔になって言った。
「……」
全員黙りこくった。
言われてみればそうだ。
闇のような空に真っ黒な地面。
そんなの有り得るのだろうか。
それなのに、何故か、違和感を持たなかった。
どこか、“知っている風景のような気がしていた”。
「柑夏も、最初は違和感がなかったんだよぉ〜おかしいねぇ〜」
「私も…言われるまで違和感がありませんでした。恐怖や不安を感じるくらいで…」
提が言う。
「わ、私もー…」
「俺もだよ」
美亜とカムイも続く。
「……僕も…だよ」
それに、僕も続いて答えた。