テラーノベル
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空気が凍った。
「涼ちゃん、……が、元貴を、……」
「トンカチで殴り殺した」
涼ちゃんが元貴を殺した。
その事実が、信じ切れなかった。
錯覚を起こしているのではないか、また夢ではないのか、そう考えた。
「……なんで、なんでよ、」
「そうやって問いただすから、若井に嫌われちゃうから、……言いたくなかったのに」
「……ッ、ごめん、……」
現実が信じ切れない。
「理由だけ、聞いてもいい、……?」
涼ちゃんが花瓶を指差した。
元貴がくれたスノードロップ。
「若井ってさ、スノードロップの花言葉を見たことないの?」
「……え、?」
「……だから若井は殺されるところだったんだよ。」
「……!?」
俺が、殺される……??
何を言ってるんだ。
わけがわからない。
「…守ってあげたんだよ…僕は」
そう言いながら涼ちゃんは語り出した。
ゆっくりゆっくり。
僕、藤澤涼架はわかっていた。
友達の若井が元貴と付き合ってることを。
心底羨ましかった。昔から若井のことが好きで。好きって君に伝えてみたかった。
でも、この前若井の家に来た時に気づいた。
花瓶に小さなスノードロップが飾られてあったんだ。綺麗な花だなと思いながら眺めていた。が、…そんなのは甘い考えだった。
「若井、スノードロップ綺麗だね」
「うんでしょ!元貴がくれたんだ、!」
その時のエピソードを若井が嬉しそうに語るから。つい聞き入ってしまったけど。
「俺の望みだよ」って。
元貴が言ってたって若井が話していた。
そこが気に掛かった。
だから家に帰って、調べてみたんだよ。
目の前の若井に訴えかける。
「…スノードロップの花言葉をね」
そして、出てきたのは。
「スノードロップの花言葉は」
「貴方の死を望みます」
俺の望みだよ。若井の死を望んでいたと言うことだ。だからその日の夜。
若井の家に忍び込んだんだ。
ストーカーみたいだけど許して。
若井を守りたかったから。
そしたら、若井の部屋に
「包丁を持ってた元貴がいたんだ」
不適に笑っていて。
今すぐにでも突き刺しそうで。
それなのに若井が気づかないから。
思わず目の前にあったトンカチで殴り殺した。頭を殴って元貴が倒れて。
死んでたんだ。
だから必死に嘘をついた。
でもそんなことを言ったら、若井に嫌われちゃうから。
「だから嘘ついたんだ。」
僕は泣いていた。
「貴方が好きだから、…大好きだから……」
「ごめんなさい、……”ッ、……」
涼ちゃんから真実が語られた。
スノードロップの花言葉は
「貴方の死を望みます。」
元貴は俺の死を望んでいたこと。
元貴は俺のことが嫌いだったこと。
殺意が湧くまでに。
それがショックだった。
大好きだったのに。あっちは大嫌いだったなんて。そんな、なんで。
…涼ちゃんが守ってくれていたんだ。
「……ありがとう、涼ちゃん、…」
「……ぇ、?なんで、…?」
「俺を、助けてくれて」
「……ッ、…でも僕元貴を、”ッ、」
「…好きだったよ、でもね。嫌われてたんだよ。俺は」
涼ちゃんの手を握る。
「俺も嫌われ者だよ…笑」
「………こんな僕を、許してくれるの?」
「……ッ、当たり前だよ……」
「涼ちゃん、…ありがと」
「ぅ、うん、っ、!!」
ありがとう。感謝してしまった。
でも、これで終わりな訳ないんだよね。
next→500♡
不穏な雰囲気ですね。
コメント
6件
もっきー…
𝑰 𝑳𝒐𝒗𝒆 𝒀𝒐𝒖…
うん、普通に好きすぎますね、これ