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10
ナルト大好き👑🤲
北実side
ラフレン「さぁ、遊ぼうか。」
ラフレンの声が落ちた瞬間、空気が変わった。
さっきまでの見せ物の空気じゃない。
俺は、すぐに戦鎚の柄を握り直した。
隣では南実がまだ笑っている。
南実「いやー、普通に面白かったな。」
北実「……南。」
南実「ん?」
北実「来るぞ。」
その一言で、南実の顔が切り替わった。
笑いが消える。
南実「……やっぱりか。」
俺は視線を舞台中央に戻す。
あのピエロ──ラフレン・ヴォワ
あいつは最初からずっと、俺たちを観客として見ていない。
ラフレン「さぁ、遊ぼうか。」
その瞬間。
何人かが、崩れ落ちた。
視線を向ける。
日向、国雲、湾海、清雨、瑛太の五人。
北実「……っ!?」
全員、倒れているのに苦しんでいない。
むしろ、穏やかな顔だ。
舞台の上で、女が微笑んでいた。
エリシア・ノクティル
エリシア「大丈夫……ここにいればいいの。」
北実「は?」
思わず舌打ちが漏れる。
南実「夢に落とされたっぽいね…」
北実「起こせるか?」
南実「無理。今は放置しかないと思う。」
珍しく判断が早い。
助けたいが、今は戦場だ。
俺は視線を切り替える。
次に動いたのは仮面の男だった。
ヴァルツ・マスケラ
仮面を顔に押し付けた瞬間、雰囲気が変わる。
完全に戦う側の目だ。
ヴァルツ「人格、変更。」
その瞬間、三人が前に出た。
陸斗、海斗、空斗。
翡翠を背後に下げる形だ。
陸斗「翡翠、下がってろ。」
翡翠「う、うん!」
海斗「連携でいくぞ。」
空斗「任せて!」
ヴァルツが笑う。
ヴァルツ「三対一…いいね。」
距離が詰まる。
ヴァルツの動きは読みにくい。
人格が度々変わる。
だが、三人は崩れない。
陸斗が正面で受け、
海斗が軌道を読む。
空斗が横から崩す。
三方向からの圧。
ヴァルツは避けるが、徐々に押されていく。
翡翠はその後ろで、必死に目で追っている。
視界の端で、音が歪んだ。
指揮棒を持った男。
カノン・ディアストラ
空間に線が走り、音が刃になる。
それが一直線に飛ぶ。
だが──
途中で止まった。
廉蘇が前に出ている。
廉蘇「…うるせぇな。」
手に持った大鎌を振る。
廉蘇の音とカノンの音がぶつかる。
空気が震える。
廉蘇「…はっ、その程度かよ。」
カノンが目を細める。
カノン「音で音を潰す…ね。」
その後ろ、少し離れた位置で那知が銃を構えている。
那知「そっちばっか見てんじゃねぇよ。」
カノンの動きに合わせて射撃。
遠距離での連携。
だが口は止まらない。
廉蘇「余計なことすんな!」
那知「援護だろうが!」
完全に噛み合ってないのに、連携は機能している。
視界が一瞬ズレた。
立っていた位置が変わる。
リゼル・クロノヴァ
リゼル「……違う。」
誰かの位置が微妙にズレている。
攻撃のタイミングが狂う。
リゼルの時間改変によって、戦場そのものが不安定になる。
床から植物が伸びた。
ミオル・ヴァイゼン
切られた部分から異常な速度で再生し、蔓が絡みつく。
普巳が突っ込む。
普巳「面白そうじゃん!」
帝偉「おい、待て!」
止めようとするが遅い。
普巳が蔓に足を取られる。
帝偉がすぐにカバーに入る。
帝偉「無茶するなって言ってるだろ!」
普巳「結果出せばいいだろ!」
無茶と制御。
それで成り立っている。
別方向。
拳一つで空間を制圧している男。
ガルド・ブレイヴァ
近づいた奴が衝撃波で全員弾かれる。
米太が笑いながら突っ込む。
米太「Let’s go!」
正面突破。
だが衝撃波で押し返される。
その瞬間、加奈登の顔が変わった。
加奈登「……兄さんに──」
一歩踏み出す。
空気が変わる。
加奈登「近づかないで。」
一気に押し返す。
ガルドですら一瞬止まる。
米太「おお、nice!」
完全に役割が噛み合っている。
上から気配。
視線を上げと、そこにいたのは
アノマ・ゼログラ
天井にいる。
──いや、今度は壁にいる。
位置が固定されない。
突然、壁から落ちてくる。
それに嗣行が反応し、大剣を振る。
紅葉が後ろから糸を展開して援護。
紅葉「嗣行兄さん、そっち!」
誘導と制御。
アノマの動きは読めないが、2人が確実に空間を制限していく。
幻獣が走る。
フェリナ・ルーミエラ
叶英と愛蘭が前に出る。
叶英「左です。」
愛蘭「分かってるよ!」
言い合いながらも、完全に噛み合う。
レイピアの軌道と能力の交差。
幻獣が消えた直後──大爆発。
愛蘭「危ないな!」
叶英「貴方が前に出すぎなんですよ!」
いつもの調子だが、隙はない。
カードが飛ぶ。
ラズ・ジョーカーズ
雷、火、風が現れる。
そして、意味の分からないものも混ざる。
一度、巨大なぬいぐるみが落ちてきた。
空斗「なんだこれ!?」
戦場が一瞬だけ混乱する。
あちらでは刃が分裂している。
ヴェルク・ハウンド
血液の主を追尾してくる。
海斗が軌道を読む。
陸斗が切る。
空斗が弾く。
三人で処理していた。
一角では毒の霧。
シエラ・トキシア
近づけない。
だが──
誰かが透明になる。
利亜だ。
利亜「見えないんね!」
太希が前に出て、結界で毒を防ぐ。
琉聖が道を指示する。
琉聖「こっち、安全だよ!」
三人が連携して毒を抜けていく。
彼のポケットから様々な物が飛んでくる。
ノアズ・ポケット
爆弾。剣。意味不明な物。
帝夜が囮を作り、帝偉が視線をずらす。
その隙に普巳が突っ込み、無理やり突破する。
光が強まる。
ルミナ・セラフィア
それと、およそ10体の分身。
どれが本体か分からない。
那知が目を細める。
那知「…一つだけ違う。」
分身に射撃。
分身が次々と崩れていく。
玩具の銃撃が襲う。
ピノ・マーチェ
翡翠が一瞬すくむが、陸斗が前に出る。
海斗が軌道を読み、空斗が弾く。
三人で守る。
翡翠は後ろで踏みとどまる。
舞台の鉄骨が動く。
グラン・マグネド
建物そのものを使って移動する。
速い。
重い。
だが、米太がぶつかる。
加奈登が支える。
彼らの連携は崩れない。
遠くの鏡が揺れる。
ミラグ・スペクトラ
どこからでも出てくる。
だが、紅葉が糸を張って場所を感知する。
嗣行が迎撃し、範囲を制限する。
そして、俺の前に立った
ゼイン・オルヴァン
目が違う。
さっきの冷静さはない。
ゼイン「いいな、これ。」
瓦礫が消える。
次の瞬間、目の前に現れる。
俺は戦鎚で弾く。
南実が横から入る。
南実「結構速いね…!」
ゼイン「まだだろ。」
南実とゼインの位置が入れ替わり、背後に回られる。
俺が振り向く前に、南実が斬り込む。
南実「こっちだよ!」
ゼインが笑う。
ゼイン「…はは、いい連携だ。」
床が消える。
天井から落ちる。
位置が狂う。
北実「南、合わせろ!」
南実「任せて!」
同時に動き、いつもの連携技を繰り出す。
重さと速度の正面突破。
ゼインが初めて後ろに下がった。
ゼイン「…いいな。今の、すごくいい。」
笑っている。
完全に楽しんでいる顔だ。
その奥で──
ラフレンが、じっと見ている。
まだ動かない。
だが、あいつが動いた時が──
本番だ。
戦いは長引いていた。
どれくらい時間が経ったのか分からない。
最初は余裕があった連携も、徐々に鈍ってきている。
息が荒い。
腕が重い。
それでも、止まれない。
俺の戦鎚がゼインの転移で空振りして、また位置が入れ替わる。
南実がすぐに踏み込む。
南実「僕が前に出る!」
ゼイン「いい判断だ。」
瓦礫がこちらに飛ぶ。
俺は戦鎚で受ける。
だが、衝撃が腕に残る。
北実(くそ…こいつ、本当に強い。)
本気で戦い続けたら、どちらが先に崩れるか分からない。
視界の端で、倒れていた五人が動いた。
夢から戻った。
日向「……っ、ここは…?」
湾海が周囲を見る。
湾海「夢から…戻ってこれた…」
国雲「爸爸、大丈夫アルか?」
清雨「我は大丈夫アル。」
戻ってきた五人もすぐ戦闘に入る。
だが──
全員、消耗している。
その時だった。
舞台の奥。
今まで動かなかった男が、歩き出した。
ラフレン・ヴォワ
その瞬間。
サーカス団員たちの動きが止まった。
そして──
一斉に距離を取る。
誰も、俺たちを見ていない。
全員、ラフレンを見ている。
理解した。
巻き込まれないためだ。
ラフレンが、ゼインの方を見る。
ゼインはすぐ姿勢を正した。
ゼイン「はい。」
ラフレン「ちょっと場所を変えようか。」
その瞬間。
視界が反転した。
劇場の光が消える。
足元が土になる。
森だ。
さっきの森。
だが──
いるのは、俺たちだけ。
サーカス団員はいない。
残っているのは
俺たち勇者、ラフレン、ゼインだけだった。
南実「……?」
南実が周囲を見る。
南実「団員がいない。」
ゼインが軽く笑う。
ゼイン「あいつらも、団長の遊びに巻き込まれるのは嫌らしい。」
ラフレンが手を広げた。
ラフレン「さて。」
地面から、建物が生まれる。
木造。
崩れかけたような小屋。
見た目はただの廃屋だ。
だが。
ラフレンが囁く。
ラフレン「入って。」
その瞬間、床が消えた。
俺は立ち上がる。
周囲を見て、息が止まりそうになった。
壁、天井、床、窓…全部、鏡だ。
南実「……鏡?」
俺は壁に触れる。
冷たい。
本物の鏡だ。
振り返るが、さっきまでいた場所に出口がない。
どこにも扉がない。
窓はあるが、動かない。
外から声が聞こえた。
ラフレンだ。
ラフレン「ようこそ。ここは鏡の館。」
軽い口調。
だが内容は重い。
ラフレン「君たちはここからは出られないよ。あ、ちなみに館を壊そうとすると──」
米太が拳を叩き込んだ。
次の瞬間。
衝撃が米太自身に返る。
米太「……っ!?」
加奈登「兄さん!」
米太が後ろに吹き飛ばされる。
ラフレンが笑う。
ラフレン「攻撃は全部、自分に返る。」
南実の顔が少し歪む。
ラフレンは続ける。
ラフレン「さて、ゲームをしよう。」
鏡越しに、ラフレンが見える。
外に立っている。
ラフレン「脱出条件を教えてあげる。」
一瞬、間を置く。
空気が凍る。
誰も動かない。
ラフレン「または。」
少し楽しそうに笑う。
静まり返る。
ラフレン「どっちでもいいよ。君たちが選んで。」
南実が低く言う。
南実「……ふざけないでよ…!」
ラフレン「じゃあ頑張って。」
そして、声が遠ざかる。
ゼインが一瞬こちらを見る。
だが、何も言わない。
ゼインside
小さな声で、あいつらに聞こえないように聞く。
ゼイン「……ラフレン様。」
ラフレン「ん?」
ゼイン「偽物、いないですよね。」
ラフレン「うん。」
あっさりと答える。
ラフレン「適当に言った。」
思わず苦笑する。
ゼイン「やっぱり。」
その声は、館の中には届いていない。
ラフレン様が手を振る。
ラフレン「楽しかったよ。」
次の瞬間。
俺たちは劇場ごと、消えた。
森が静かになる。
鏡の館だけが残った。
北実side
沈黙。
誰も言葉を出さない。
最初に動いたのは南実だった。
南実「まず整理しよう。」
南実は珍しく冷静だ。
南実「館の破壊は無理。」
米太が苦笑する。
米太「俺が証明済みだ。」
南実「次。」
湾海を見る。
南実「湾海、感情は?」
湾海は目を閉じる。
オーラを見る能力。
ゆっくりと周囲を見た。
湾海「……変な感じは、ない。」
南実「偽物はいない?」
湾海「そこまではわからない…」
困った顔をする。
湾海「みんな、いつも通りの感情…だと思う。」
国雲が不満そうに言う。
国雲「哥哥没用啊。」
湾海が珍しく怒ったように反論する。
湾海「……抱怨吗?你才是没用的吧?」
清雨が軽く睨む。
清雨「…住手。现在不要吵架。」
北実(……何言ってるかわかんねぇ…)
次は海斗。
南実「海斗。」
海斗は腕を組む。
海斗「一応、分析はした。」
全員を見る。
海斗「普段と違う行動はないと思う。」
陸斗「つまり?」
海斗「結論、誰が偽物なのかはわからない。」
短い。
南実が息を吐く。
南実「…出口を探そう。」
全員で館を調べる。
壁、窓、天井、床。
全部、鏡だ。
扉はない。
窓は動かない。
何時間も調べる。
それでも。
何も見つからない。
夕方になった。
窓から入る光が赤くなる。
誰も話さない。
疑心暗鬼──そんな言葉が、頭をよぎる。
誰も殺さない。
でも、偽物がいるかもしれない。
その考えが、空気を重くする。
南実が小さく言う。
南実「……詰んでるね。」
誰も否定できなかった。
鏡の館の中で。
俺たちは、閉じ込められたままだった。
エイラside
私は昼過ぎ、用事を終えて勇者たちの寮に戻った。
玄関を開けると、いつもの騒がしさがない。
エイラ「……あら?」
人の気配がほとんどない。
北実さんたちは、たしか森の依頼に行ったはずだ。
でも、そろそろ帰ってきてもいい時間だと思う。
エイラ「……まだ帰っていないのですね。」
少しだけ不思議に思ったが、まああの人たちのことだ。
どこかで寄り道でもしているのだろう。
私は居間の椅子に座り、本を開いた。
ページをめくる音だけが、静かな部屋に響く。
──二時間ほど経った。
誰も帰ってこない。
エイラ「……少し、遅いですね。」
窓の外を見る。
太陽はゆっくり傾き始めている。
そしてその時だった。
ゴォォォン……
教会の鐘が鳴る。
三時を告げる鐘の音が、街に広がった。
私は──僅かに肩を震わせてしまった。
エイラ(…やはり、いつまで経っても……直さなくては……)
小さく息を吐き、気持ちを落ち着かせる。
その時。
レイヴン「……誰もいないのか。」
玄関のほうから、低い声が聞こえた。
振り向くと、黒い外套の魔族──レイヴンが立っている。
エイラ「あら、レイヴンさん。」
レイヴンは室内を軽く見回した。
レイヴン「あいつらは?」
エイラ「まだ帰ってきていません。」
レイヴン「……遅いな。」
短くそう言う。
彼は窓の外を一度見て、少しだけ眉を寄せた。
レイヴン「…森の依頼だったな。」
エイラ「ええ。」
私は本を閉じて立ち上がる。
エイラ「……少し、様子を見に行きましょうか。」
レイヴンは肩をすくめた。
レイヴン「俺も行く。暇だ。」
エイラ「ありがとうございます。」
私たちはそのまま寮を出て、森へ向かった。
森の中をしばらく進む。
戦闘の跡はあった。
倒された魔物もいくつか見つかる。
エイラ「討伐の依頼自体は終わっているみたいですね。」
レイヴン「……だな。」
それでも、北実さんたちの姿はない。
さらに奥へ進んだときだった。
木々の隙間に、建物が見えた。
ボロボロの小屋。
……けれど。
エイラ「……これは…」
私は足を止める。
レイヴンも同時に立ち止まった。
レイヴン「……なんと言うか…懐かしいな。」
彼が小さく呟く。
見覚えがある。
というより、見覚えしかない。
エイラ「鏡の館、ですね。」
外見はただの崩れかけた小屋。
だがこれは、出口のない鏡の迷路。
レイヴンは壁に近づき、窓を覗き込んだ。
レイヴン「……いた。」
私も窓を覗く。
そこには──
北実たちがいた。
エイラ「……完全に捕まっていますね。」
レイヴン「今のあいつらじゃ、自力脱出は無理だな。」
レイヴンは淡々と言った。
レイヴン「壊すか。」
エイラ「ええ。」
私は頷いた。
鏡の館。
普通の攻撃はすべて反射される。
しかし──例外がある。
エイラ「では、少し下がってください。」
レイヴンは素直に数歩下がった。
私は建物の周囲に、透明な結界を展開する。
本来は外からの攻撃を防ぐもの。
でも──少し応用すれば、内側の衝撃を防ぐことができる。
エイラ「外へ被害が出ないようにしておきます。」
レイヴンが小さく笑った。
レイヴン「…相変わらず、魔力の規模がおかしいな。」
私は館のほうへ手を向ける。
鏡の館の裏技。
街一つ吹き飛ばすほどの攻撃なら反射できない。
エイラ「……では、壊しますね。」
次の瞬間。
閃光が走った。
轟音。
圧倒的な魔力の奔流が鏡の館に直撃する。
とてつもない轟音が響き、
建物全体に亀裂が走る。
そして、鏡の館は粉々に砕け散った。
しかし爆発も衝撃も、
すべて結界の内側で止められる。
外の森には、ほとんど影響がない。
煙が晴れる。
瓦礫の中に、呆然と立つ勇者たちの姿が見えた。
北実がぽかんと口を開けている。
北実「……は?」
南実も固まっている。
南実「……今、何が起きたの?」
レイヴンが肩をすくめた。
レイヴン「救助だ。」
私は微笑む。
エイラ「皆さん、大丈夫ですか?」
勇者たちはしばらく沈黙していた。
そして北実が、ゆっくりこちらを見る。
北実「……エイラ。」
エイラ「はい?」
北実「……お前、そんな強かったのか?」
私は首を傾げる。
エイラ「え?」
レイヴンが横で小さく笑った。
レイヴン「今さらだな。」
森の静けさの中で、勇者たちはまだ固まっていた。
to be continue
コメント
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最新話めちゃくちゃ良いです!というか、カンヒュの性格の解釈がほぼ同じな気がするのですが…語りませんか?