抱き締められた腕の中で、
「……本当は、こんな風にずっと……、君を、優しく抱いてあげたかった……」
耳元をくすぐるように、切なげに囁きかけられると、彼と過ごしたかつての夜が、私の頭をふとよぎった。
「……責め立てて泣かせるつもりまでは、本当には、なかったのです……」
彼を受け入れるような思いで、抱かれている胸に、自ら顔を埋める。
「……君の心を手に入れようとして、あんな形でしか愛せなかった私を、君は……」
続けられた告白に、その胸の中で小さく首を横に振った。
「……もう、いいので……」
今はもう、あなたを咎めたりする気はないからと、もう一度首を左右に振って応えた。
「だから、先生、抱いていて……」
ただ彼の温もりに包まれていたくて、そう口にすると、
「抱いて……離しませんので……」
きつく身体が両腕に抱き寄せられ、唇で食んでより深く貪る激しさで接吻られた──。
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