テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
深夜一時四十四分。
ベッドの上でスマートフォンが震えた。
画面には見慣れないアプリの通知。
**《あなたの余命を予測しました》**
そんなアプリを入れた覚えはない。
タップしてしまったのは、好奇心だった。
黒い画面に、赤い数字が表示される。
**00:59:58**
一時間?
カウントダウンが始まる。
冗談だろう。悪質な広告か何かだ。
アプリを閉じようとするが、ホームにも戻れない。電源も切れない。
**00:58:41**
背筋が冷たくなる。
画面の下に、小さな文字。
《正確性向上のため、カメラを起動しています》
インカメラに切り替わる。
そこに映るのは、青ざめた自分の顔。
だが——
背後のクローゼットの扉が、わずかに開いている。
閉めたはずだ。
ゆっくり振り向く。
閉まっている。
再び画面を見る。
インカメラの映像では、はっきりと開いている。
暗い隙間から、何かが覗いている。
白い指。
**00:52:03**
心臓が喉までせり上がる。
「やめろ……」
画面の自分が、口を動かす。
音声はない。
だが、確実に何かを言っている。
——うしろ。
振り向く。
何もない。
また画面を見る。
インカメラの中の“私”は、ゆっくりと首を横に振る。
違う、と言うように。
そして、口を大きく開く。
黒い影が、肩に手を置いている。
冷たい感触。
実際に、肩が重い。
**00:45:10**
通知が追加される。
《逃走は推奨されません》
部屋のドアノブが、カチャ、と鳴る。
鍵は閉めている。
それでも、ゆっくり回る。
**00:32:27**
インカメラの映像が、切り替わる。
今度は——天井からの俯瞰。
部屋全体が映っている。
ベッドの上で震える私。
その背後に、黒い“何か”。
人の形だが、顔がない。
それが、ゆっくりと私の首に顔を近づける。
私は悲鳴を上げる。
だが、俯瞰映像の中の私は、動いていない。
じっと、正面を見つめたまま。
**00:10:00**
数字が赤く点滅する。
《最終確認》
画面いっぱいに、自分の顔。
しかし目が真っ黒に塗りつぶされている。
《同意しますか?》
YES
NO
指が震える。
押していない。
なのに、YESが選択される。
**00:00:03**
背後で、はっきりと声。
「ありがとう」
**00:00:00**
画面が真っ暗になる。
静寂。
恐る恐る、鏡を見る。
そこには、私が立っている。
だが、わずかに遅れて動く。
鏡の中の私は、にやりと笑う。
スマートフォンが再び震える。
新しい通知。
**《次の対象を検索中》**
その下に、小さく表示された文字。
《あなたの連絡先 237件 を読み込みました》
暗い画面に、赤い数字がまた灯る。
**00:59:59**
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