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東西からダブルパンチで襲い来る魔力の奔流に挟まれてしまったシパイは如何にして人々の命を繋ぎとめたのだろうか?
まだ幼さの残るラマスが自身の事のように胸を張り捲ってレイブに告げた。
人々が東西の違いなく脅え震え続ける中で、中心に立つシパイは変化を遂げたらしいのだ。
レイブが訪ねた所、興奮気味にラマスは答えてくれた。
シパイが嘘みたいな奇跡の力を発揮させて人々を守ってくれたのだと言う。
具体的に言えば、魔力災害、草木まで石と化す暴力が身近まで迫り、脅える人々を飲み込もうとした時……
宙空から一筋の光、銀鼠(ぎんねず)に輝く灰色の光が降り注ぎ、次の瞬間、周囲の人々を護らんと立ち続けていたシパイの体を包み込んでしまった、らしい。
グレーの光に包まれたシパイは、瞬(しゅん)の間を置く事無く、静かに落ち着き払った声で言ったそうだ。
『因果混沌領域(カオスティックフィールド)、展開』
と……
その日以来、シパイはなんちゃらフィールドを展開させ続けて人々の生活圏を守り続けているらしい…… 結構辛いんじゃあないだろうか? そうレイブは思ったが、続いたラマスの言葉で少し安心するのである。
曰く、日中は結構暇そうだったと、ラマスはじめ、集落の子供たちとのおしゃべりを楽しみつつ里を守る、そんな事にやりがいを感じていたように見えた、少なくとも彼女の目にはそう映っていたらしい事が感じられたのである。
ならば良かった、嬉しいに越した事は無いよね? そんな風に胸を撫で下ろしたばかりのレイブにラマスが告げた言葉は、
「とは言ってもですね、シパイ師匠もそろそろ限界、死んじゃいそうなんですよねぇ~! それでですね、最期の遺言、的な奴を聞いちゃったアタシが師叔(ししゅく)を探しにやって来た、そう言う事なんですよぉ!」
ん? んん? んんんん?
レイブは疲れも忘れて大きな声を上げる。
「ええぇっ! し、シパイ兄ちゃんって、し、死に掛けてるのぉっ!」
「はぁいっ♪」
無邪気な笑顔を浮かべるラマスの顔をレイブは戦慄を受けつつ見つめ続けながら思う。
――――えっ、えぇ? シパイが死ぬって言うのにこの娘ってぇ……? いやいやいや、育ってきた環境が違うんだからぁ、価値観は否めなーい、のかもな…… セロリ的に…… んでも、そんな危機的状況で、この娘、どうして僕に会いに来たって言うんだろうか? うん、直接聞いてみるとするか? 良しっ!
覚悟を決めた表情を浮かべてレイブは告げる。
「うん、それで俺の所を尋ねて来た理由は一体何なんだい? ラマス?」
「あ、はい! レイブ師淑(ししゅく)に弟子入りする為に来たんです! 弟子にして下さいねっ! よろしくぅ♪」
「へ?」