テラーノベル
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気がつくと、わたしたちは商店街の入り口に来ていた。
シャッターの閉まった店が並んでいる。いつもなら買い物客で賑わっている通りも、今日はほとんど人がいなかった。
看板の文字は色褪せ、街灯がぼんやりと点いている。
「ここ、よく来たね」
昴が言った。
「うん。帰りにアイス買ったりして」
「咲、いつも同じ味ばっかり選んでた」
「好きなんだからいいでしょ」
「わたしは毎回違うのを試してたのに」
「でも、結局わたしのを一口もらってたじゃない」
「だってそれ好きなんだもん」
二人で笑った。
その笑い声が、静かな商店街に響いた。
わたしたちは閉まった店の前を通り過ぎた。昔よくアイスを買っていた店も、今では看板の明かりが消えている。
少し先の自動販売機だけが、変わらず白い光を放っていた。
昴はそこで立ち止まった。
「飲み物、買う?」
「まだ売ってるのかな」
「試してみようよ」
昴がボタンを押すと、機械の中で音がして、缶がひとつ落ちてきた。
「おお、買えた」
昴は缶を取り出し、わたしに見せた。
「最後の買い物だね」
「それ、言わないでよ」
思わず口にすると、昴は少しだけ目を丸くした。
「ごめん」
わたしは首を振った。
ただ、最後だと口にするたびに、本当に終わってしまうような気がした。
昴は缶を一本、わたしに渡した。
冷たい缶を手のひらで包む。
その感触が、妙に現実的だった。
世界の終わりは、もっと特別なものだと思っていた。
空が割れるとか、地面が震えるとか、 そんなことは起こらず世界は案外いつもどおりだった。
自動販売機は飲み物を売り、街灯は道を照らし、遠くでは電車が走っている。
ただ、空に巨大な光の柱がある。
それだけで、世界のすべてが終わろうとしている。
わたしは缶を開け、一口飲んだ。
昴も同じように飲んだ。
「おいしい?」
「普通」
「そっか」
昴は満足そうにうなずいた。
わたしたちは、また歩き始めた。
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柘榴とAI

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Mist-404
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柘榴とAI

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ゑぬ。
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コメント
1件
読み終えました。商店街の静けさと、自動販売機から缶が出てくる「いつもどおり」の動作が、かえって世界の終わりを際立たせていて、じんわりきました。昴と咲が交わす「最後の買い物だね」→「それ、言わないでよ」のやりとり、言ったほうだけじゃなく言われた方の感情も描かれていて、二人の関係がよく見えた気がします。日常の延長にある終末、という設定の作り込みが印象的でした。