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確かに後ろにいると、艇の動きがよくわかる。
重心が前に来ている分、艇の動きが変わったのも。
理論的にバランスを考えると、この場合は……
「先輩、次の指示で右右、お願いします」
そう言って僕は、本流のやや左側に艇を位置させる。
「了解」
先輩はパドルを上げた状態で待機。
僕は左右に漕いで、舟の向きを流れと同一に保って。
そして左へのカーブにさしかかる。
カーブは緩いが、流れが速い。
「右右、右右」
先輩に指示しながら、僕は左右に漕いでバランスをとる。
先輩の漕ぐ力の方が強い。
だから自然に艇は左にカーブ。
僕は漕いだり、ブレーキをかけたり、姿勢制御のみに徹する。
「上げて下さい」
僕は左へ微調整をして、艇は本流のど真ん中へ。
どうも重心が前にある分、先輩の漕ぐ力の影響が、僕より大きいようだ。
なら、次の急な左カーブも、先輩の力をあてにして勝負。
「次も右右からいきます」
「了解」
というわけで次のカーブにさしかかる。
急で、流れも速い。
「右右、右右」
先輩に指示しつつ、カーブのイン側を通過。
「上げて、次も右右行きます」
先輩は言うとおりに漕いでくれる。
イメージより、先輩の力というか、漕ぐ影響が強い。
でも先輩は、常に同じように漕いでくれているようだ。
だから漕いだ場合の動きがわかりやすい。
「右右、上げて下さい」
少し流れが緩やかになった。
うん、確かに後ろは色々大変だ。
漕ぎつつ、前の状況も確認しなければいけない。
しかも今は、前後のバランスがあまり良くない。
気を抜くと艇が回り出す。
そのたびに、僕が漕いで姿勢を保つ必要があるわけだ。