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帰ったあと、お礼のLINEを送る。
[今日はありがとうございました。
そしてすみませんでした!!買い物とか楽しかったです]
不自然じゃないよな?な?
自覚してしまってからやりずらい。
違和感の正体お前かよ。
ジンさんと会って約一ヶ月。自分の鈍感さを呪いたい。ってか呪う。
今までで一番大きなタメ息を吐く。
どうしたものか…。
確か軽く腐っているはずの姉にメッセージを送った。
翌日の早朝…大学もないので一日中寝ようとしていたその日、家のチャイムが鳴った。
インターホンを覗くと、姉が紙袋を掲げていた。
「はっ?!なんで?!」
(開けておくれ~)
急いで玄関へ走り鍵を開けると、上機嫌な姉が入ってきた。
「いやぁまさかうちの弟に春がくるとは思わなんだ…ジェンダーレスの時代だねぇ」
そう言って何も許していないのにリビングてお菓子を広げ始める。
居座る気満々じゃないか。
「どんな人?」
「まだ好きな人出来たって言ってないだろ…」
そう、昨日送ったLINEの内容は
[ジェンダーレスの記事みてさ、
自分の弟が同性愛者だったらいやー?]
という…確信はついていないはずの内容だったのだが。
「姉舐めんなー?ってか全然嫌じゃないし」
「ふーん…」
「ほら!あからさまホッとしてる!!」
「してねぇよ!!」
図星なのを隠すため、意味もなくクッキーを頬張る。
あ、これうま。
「ふっふっふ…当ててしんぜよう…黒髪!」
「正解。ってかそんな人多いだろ」
「あ、居るんだ」
「あ”」
やらかした!
姉は嬉しそうにニマニマする。
クッソ顔似てるからめちゃ腹立つ…。
「うーん…年上だね?」
「…うん」
「なきぼくろ!」
「…うん…ちょっと待ってキモい」
ほくろまで当ててくる姉。
エスパーか何かなのだろうか。
ってか本当にちょっとキモいなんでわかんの?
「まじか…合ってるんだ…」
「あってるよ…」
ぶっきらぼうにそう言う。
姉はポテチを食べながらこちらを見つめていた。
「何」
「いやぁ…シンが恋ねぇ…って…」
「はぁー?」
「あんなちっちゃかったのに…ねー?」
「なんだよ」
昔話や恋ばなに花を咲かせる。
姉は社会人で忙しいから最近会っていなかったが、元気そうで安心した。
隈もないし、見た感じ怪我もしてなさそうだ。
「まあ、そういうのにめちゃ興味あるから、なんでも言ってよ」
「…ん、ありがと」
「ふふ…楽しみだねー」
そう言う姉の目は、とても優しかった。
お昼頃、ご飯が無かったので姉と一緒にスーパーに食材を買いに来た。
二人で買い物なんて、高校卒業以来だ。
「お肉食べたーい」
「ええ…」
姉の要望通り、すき焼きにした。
全額俺負担のつもりが、姉が払ってしまった。
「こういうのはね、年上に甘えときゃいいんだよ!」
「それジンさんにも言われたわ」
「へー…?好きな人?」
「バッッッ…カ…」
思わず言ってしまったが、まあ、これ以上隠すことないし…。
お肉や野菜を持って家に帰る。
今日はちょっと会わないでほしいなーとか思っていると、ちゃんと居ました^ ^
まだこちらには気づいていないようだったので、何も言わず曲がり角へ進んだ。
家に着くと、コンロなど諸々準備して食事を始めた。
関西では、肉を焼いてからすき焼きにするらしい。
片面だけ焼けた肉に醤油と砂糖…そして裏返す。
うわうまそ。
「んー!これ美味しいね」
「ウマイわ。すご」
「会社の人がやってたんだよね~」
姉の人脈すげぇ。
少し感心しつつ、いつもとは違うすき焼きを心から楽しんだ。
「ご馳走さまでした!」
「ご馳走さまでした」
食事が終わると、またジンさんの話になった…。
「どんな人?」
「もういいじゃん別に」
「よくなーい。気になるもん」
「いい人」
「で?」
「優しい」
「ほおー」
「…可愛い」
最後は聞こえるか分かんないくらいマジで小さな声で。
それでも姉は楽しそうに笑う。
「そっか~、良かったねぇ」
優しい笑顔で、またお菓子を頬張る。
良い姉を持ったな、と、暖かい気持ちで俺もお菓子を食べた。
夜になると、明日仕事がある姉は帰っていった。
改札の方へ消えていく背中を見ながら少し寂しく感じつつ、見えなくなるまで見届けた。
相談したからか軽くなった心。
また何回か会ったらぶっちゃけちゃおう。
ワンチャン脈あり。
そんな適当なことを思いつつ、また一人の家へ戻った。