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コメント
3件
何モタモタしてんだ!はやく結婚しろ! よーしこれでトラブルもないままハッピーエンドなんだ、そうに決まってる(最後の一文に目をつむりながら)
いろいろ落ち着いたから一気読みしてコメントしに来たわ!!! 鳥肌止まらないよーーーー!!! だんだん縮まっていく二人の距離も、地の文の美しさも全部愛おしくてたまらないよーーーー!!! 鶏肉になっちゃうよーーーーー!!! 褒め方がワンパターンしか無いんだけどとにかくめちゃくちゃ好きだよーーーー!!!
残り2話です
レイラは筆を取り、真っ白な世界に色を付けた。夜明け前の空気は冷たく、窓の外には薄く靄がかかっている。絵の具の匂いがわずかに漂い、静まり返った部屋の中で、その香りだけが現実の存在を主張していた。
また、星空を美しいと思いたい。
ハーロルトが言った言葉が、胸の奥で響いている。筆先が青をすくい、白いキャンバスの上に流れるように走る。濃い群青、薄い瑠璃、星屑のような銀色。夜空が生まれ、やがて光の粒がひとつ、またひとつと灯っていく。筆が静かに動くたび、絵の具が溶け合い、夜の深さが増していく。青の上に、さらに淡い紫を重ね、星明かりを滲ませるように白を置く。指先でそっとぼかすと、まるで遠い銀河が息を吹き返したように光った。
筆先がキャンバスの上で止まり、レイラはそっと息を吐いた。その瞬間、朝の気配がカーテンの隙間から差し込み、絵に描かれた星々をやわらかく照らす。夜明けの光が、彼女の描いた星空と現実の境界を溶かしていく。
「星空の美しさを思い出してもらえますように。」
その祈りのような言葉とともに、最後の星が描き足された。それはまるで涙のように輝いて、キャンバスの中心に降り立った。レイラは筆を置き、手についた絵の具を見つめた。青と白と銀が混ざり合い、まるで星屑をすくったような色になっている。その指先を見て、ふと笑みがこぼれた。
「……これで、きっと。」
立ち上がり、絵を乾かすために窓を少し開けた。冷たい風が入り込み、カーテンがふわりと揺れる。朝日が地平線から顔を出し、描かれた夜空に反射してきらめいた。その光の中に、足音が近づく。扉が静かに開かれた。
「起きていたのか。」
低く響く声。ハーロルトだった。レイラは振り返り、微笑んだ。
「ええ、完成しましたよ。」
ハーロルトは彼女の後ろに立ち、絵に目を向けた。
しばらく何も言わず、ただ見つめる。
星々が、まだ朝の光の中で消えきらずに輝いていていた。ハーロルトの胸の奥で、何かが音を立てる。
「……美しい星空だな。」
彼は呟くように言った。朝日が星々の上に朝露のような光を落としていく。そして、ハーロルトは小さく微笑んだ。
「ありがとう、レイラ。」
ハーロルトの声には、わずかな震えがあった。それは感情の揺らぎか、それとも長い間、胸の奥に押し込めていた痛みが滲み出たものだったのか。窓の外では鳥の声が響き、遠くの山々の向こうから金色の光が昇っていく。窓からは暖かな風が吹き、冬の寒さはいつの間にか消えていた。
「春が来ましたね。」
そう微笑む彼らに、新たな赤い光が近付いていた。