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「さてと、粥でも食べますか?というよりも、粥しかないんですよねぇ」
調理場で、橘が急にごちた。
「いやいや、女房殿、今はそれどころではなくて……」
「ですけどね、もおー、私も嫌になりましたよ!なぜ、一度に色々、起こるんです?」
「わー!タマお腹減ってたんです!橘様!熱いのは、タマ苦手ですからね」
新《あらた》の腕の中から、飛び降りて、タマは、橘に駆け寄った。
「あら、タマは、猫舌なの?」
わんわん!と、タマは、鳴いて答えた。
「ですよね!なんだか、私も、疲れました!」
「ええ、紗奈、あなたが、一番、働いたのですから、もう、いいでしょう」
「はい!橘様!なんだか、馬鹿らしくなってきました。なんというか、働き損って、感じで。もう、来るならこい!で、いいんじゃないんですか?」
あーあー、と、何か投げだすかのように、背伸びする女二人に、新と髭モジャは、顔を見合わせた。
「……髭モジャ、女房さんは、どうしちまったんだ?」
「うーん、新しい策かのぉ?」
「いや?違うと思うぞ?」
「と、いうことで、粥と、粕漬けはありますから、ご自由に」
と、吐き捨てるように言うと、橘は、立ち上がった。
「紗奈、お前の房《へや》へお邪魔して良いかしら?ここだと、流石に、横にもなれないわ」
「はい!構いませんよ、橘様。行きましょう。そうだ!お方様から頂戴した、菓子が残っていたはず!」
「わー!タマも行きます!粥より、菓子が良いです!」
二人と一匹は、わいわい喋りながら、調理場から出ていった。
「……なんだか、一気に静かになったのぉ」
「なんつーか、嵐が、去ったって感じか?」
しいーんと、いう音が聞こえそうな程、静まり返った調理場で、新と、髭モジャは、座り込んでいる。
「のお、こうしていても、仕方ない。一旦、一息いれようぞ。粥位い食っても、バチはあたらんじゃろう」
「……おお、そうだな、そうするか」
では、と、髭モジャが立ち上がり、竈《かまど》へ向かう。
「新よ、すまんが、棚から、椀と盆を出してくれ。女房殿にも、持っていってやらんといかんだろ?」
「ははは、後が恐ろしいか!」
「まあ、そうゆうことじゃ!」
髭モジャと、新は、粥の準備に取りかかりながら、大笑いした。
一方、調理場を出た、橘達は、難しい顔をしていた。
「橘様、私の房《へや》には、行かない方が、よろしいのでしょ?」
「おや、良くわかりましたね」
「だって、橘様とは、長い付き合い、調理場で、ぴんと、きました」
「はい、私もです。どうも、おかしい」
ん?と、女二人は、顔を見合わす。私もです。と、聞こえたが、それは、誰が、発したのだろうかと。
「ええーーーー!!!ちょっと、タマ!!!!」
腰を抜かす勢いで、叫ぶ、二人に、
「どうか、お静かに、悟られます」
と、太刀を持つ丸顔の若人が、諭してきた。