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その中へ水を入れることは必要なのかな?

僕は心臓がバクバクと鳴っていることに気付くと、裏の畑でバラバラにされた子供たちのことを思い出した。

少し勇気が湧いてきた。


一連の動作を終えると、田中さんは裏路地から商店街の方へと歩いて行った。

後を追おう。

僕は木箱から這い出て、服に付いた生ごみの臭いに顔をしかめながら、体中にくっついた木くずを叩いた。

商店街に行くと、田中さんはどこにも見当たらなかった。

目の前の陽気な主婦たちは相変わらず買い物袋をぶら下げていた。


僕はその日は一人で家に帰った。

玄関で幸助おじさんと出会う。


「遅かったじゃない」


溝の深い幸助おじさんは、木刀なのか真剣なのか解らない脇差を、2年前からある玄関の刀箱に入れる。

刀箱はおじいちゃんが昔、骨董品売り場で買ったものだった。


「幸助おじさん。今日はおじいちゃんに勝てるかな?」


「今度は勝つ。剣の道と同じく真剣勝負でしょう」


ゆっくりと頷くと、幸助おじさんは二階へと上がって行った。

残念。また負けるよ。だって、おじいちゃんは今まで誰にも負けたことがない人なんだ。可哀想だけど幸助おじさんは勝つことはないと思う。

僕はキッチンで夕食を作っている母さんに、野菜を水に漬けるとどうなるのか聞いてみた。

テーブルにランドセルを乗っけて、座り直した僕にオレンジジュースをだしながら、母さんは首を捻り。


「さあ、お野菜に水?」


「うん。どうなるの?」


「さあ……。長持ちするのかしら? そうすると……? 母さん分からないわ。でも、大根なら水に浸すと辛味が抜けたりするわよ」


「そう……。どれくらい浸すの?」


「5分から10分くらい」


僕は納得した。田中さんは、あの時。買い物袋に入った野菜(恐らく大根)に裏路地のバケツから水を大量に入れていた。異常なことじゃなかったんだ。

きっと、田中さんは一人暮らしだから、家に帰るとすぐに大根の調理をするからだろう。

でも、何故すぐに調理するのかな。


あ! 夕食を早めに終えて、何かの作業をするためなんじゃないかな?

やっぱり田中さんが犯人?

でも、隣町のバスの中の子供たちと先生や運転手が全員いなくなったのは、関係するのかな?それと、花壇に落ちてきた羽良野先生のような体格の人は?


しばらく考えていたけど。

今の段階では、なんともいえないや。

白いスープと死者の街

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