テラーノベル
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住宅街に入ると、周りはすっかり静かだった。
街灯の下を通るたび、繋いだ手が照らされる。
そのたびに照れくさくなって、でも離したくなくて、ぎゅっと握り返してしまう。
彼はそれに気づいたみたいに、小さく笑った。
pr「……今、握り返したやろ」
ak「気のせい」
pr「絶対ちゃうやん」
嬉しそうな声。
こんなことでそんな顔するんだ、と思うと、胸の奥がふわっと温かくなる。
しばらく歩いていると、前の方で猫が道路を横切った。
ak「あ、猫」
pr「ほんまや」
二人で足を止めて見送る。
猫はちらっとこちらを見ると、のんびり塀の向こうへ消えていった。
pr「……なんか、平和やな」
彼がぽつりと呟く。
ak「うん」
pr「好きなやつと帰っとって、猫おって、夜涼しくて」
そう言ってから、少し照れたように笑う。
pr「青春っぽい」
ak「なにそれ」
pr「ええやん、青春」
楽しそうに笑う横顔を見ていると、
こっちまで自然と笑ってしまう。
気づけば、家の近くまで来ていた。
ak「あ……もう着く」
言った瞬間、彼が目に見えてしょんぼりする。
ak「そんな顔しないでよ」
pr「だって帰したくない」
あまりにも素直な言葉に、胸が跳ねた。
家の前で立ち止まる。
少し沈黙が落ちた。
帰りたくないのは、多分お互い同じだった。
彼は繋いだ手を見下ろして、小さく息を吐く。
pr「……明日、ちゃんと学校来る?」
ak「行くけど」
pr「ほんまに?」
pr「なんか照れて休みそう」
ak「休まないって」
pr「じゃあ朝、迎え行こかな」
ak「近所迷惑」
pr「ひど」
くすくす笑い合う。
でも笑いながらも、どっちも手を離せない。
彼は少しだけ真面目な顔になると、そっとこちらを見る。
pr「……おやすみ言う前に、あとちょっとだけ一緒おってええ?」