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テラーノベルの小説コンテスト 第3回テノコン 2024年7月1日〜9月30日まで
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私は「行ってきます」と言い、扉を開ける。

天気は快晴。雲一つなく暖かい光が差し込む。

門を右に曲がり、三分少々歩いたところにある停留所でバスを待つ。

ふと時計を見たが今は朝の6時34分。

「問題ないですわ」

そしてやってきたバスに乗り込む。

バスはふわりと飛び立つ。

今日は新学期初日。留年になったものや、飛び級、転校生など元のメンバーと入れ替わって色々と忙しい時期だ。

今年は四級生…。

進級が難しくなってくると言われる頃合いだ。

(さて…どんな困難が待ち受けてるものかしらね。見物だわ)

勿論経済を回す片手を担っている会社の令嬢という肩書があって緊張はすれどその反面周りから注目の的となり流行の先端となるのは気持ちの良いものだと思う。

スッと紫色の空から機械的な建物が目に映る。

(あんなものあったかしら…?こんな短時間で建つとは建築術魔法を使った類ね。安物だわ)

その家の門にバスは止まり、誰かが乗ったようだ。

コツコツと足音は近づく。そして通り過ぎた、と思ったがまた近づき、隣で止まる。

「隣、座るね」

嗚呼、と思いその声の方を振り返る。

「えぇどうぞ」

私はまた窓に目を移し、足を組む。彼女の髪はボサボサで、服は汚れている。そして地球製と思われる、ここらでは珍しい眼鏡を掛けていた。

「皆は嫌な顔をするのに君は優しいんだね」

「そんなことないわ。当然よ」

(まあ、心の中では瑞穂らしいなんて思っているけれど)

頬杖を付き、彼女に微笑む。

「それに君の身なりを見て令嬢っぽいけれども。…本当にそういう人って珍しいんだよね」

少し私は彼女の言葉を聞いて驚いた。

「あら、貴女は凄いのね。初対面の人じゃ私が言うまで気付かないのが九割よ」

「ただ、勘で言っただけだよ」

褒めたのに、彼女は嬉しそうではなかった。

そういえば、今思えば彼女の服は実験兼実戦用の服だ。

「…貴女は研究でもしてるのかしら?」

「そうだね。…親の手伝いってだけれども」

好きな話題を振られたのか、少し笑っていた。

「名前はなんて言うの?」

「私は…エリア。君は?」

「ジュプエですわ。よろしくですの、エリア」

「こちらこそ、ジェプエ」

意外とこの人悪くないかもしれない。

バスが止まり、学園前と着き、扉が開く音がする。

エリアに立つように促す。

「ほら、行きましょう」

「私、親の都合で転校してきたんだよね。だから分からないことがあったら教えて欲しい」

立ち上がりながらそう、不安そうな顔する。

「問題ないですわ。その時はまた教えてくださいまし」

エリアはにっこりと微笑み、「うん」と答える。

この時、少しだけ、ほんのちょっとだけエリアのお姉様になれるように頑張ろうと思った。

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