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94 - 第94話*愛し愛され食べごろ果実*5

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2025年06月19日

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***




「ねえ、まーくん」


真夜中に、シャワーを浴びて寝室に戻った雅人をまじまじと優奈は見つめる。


(……うっわ、ヤバい)


呼びかけたくせに布団に潜り込み顔を隠した優奈に「どうしたんだ?」と、穏やかさの戻った声色で近づく気配。


先程まで組み敷かれていたはずの、その身体はどこか夢の中のようで朧げだったのに対し。

今は間違いなく現実だった。


(筋肉最高だし胸板逞しいし、待って私ほんとにまーくんとしたの!? 凄くない!? 明日突然死んだりしない!?)


「優奈?」


心配そうな声に、優奈はそろりと顔を見せてみる。


「まーくんの身体……超絶イケすぎてて直視できない……」


真顔で言った優奈に、ぶは!っと豪快に吹き出した雅人はニヤリと意地の悪い笑顔になって。


「ひどいな、身体だけか?」


軽くキスを落とし、ベッド脇に座ると同時に優奈を抱き寄せ膝の上に座らせてしまう。


「……声も顔も好きだし、イジイジしてたとこも、あと女癖悪そうなとこも……含めて好き」

「女?」

「そう。色々、噂とか聞いてたけど。ネットニュースとかでさ。でも」


言い淀むと、雅人は背後から縋るように抱きつき首筋に顔を埋める。


「名草?」


優奈の言いたいことは伝わっていたらしい。


「うん。会いたいって言えばいつでも来てくれるって言ってた、名草さん。やっぱ特別な人なの?」


聞き返すと、観念したかのように大きく息を吐き出した後、雅人は後ろに倒れ込み腕で、その目を隠す。


「……何度も言うが、違う。お前以外に特別な人間なんていない」

「じゃあ、何?」


隠す腕をのけると、困り果てたと言わんばかりの頼りない瞳が揺れている。


「優奈が、高校を卒業する頃……あれ、結構キツかった」


ガーン。

そんな擬音が形になって見えそうな衝撃だ。

それが指す出来事などいくつもなく。


「……話、逸らされたうえにキツイって?」

「違う、優奈。聞いて」


「何よ」と口を尖らせていると、雅人は愛おしそうにその唇を親指で撫で、手のひらは頬を包む。


「あの後、だいぶ飲んだ。初めて記憶飛ばすくらいにな。そのまま名草に会って、抱いたんだよ。優奈のつもりで」

「は?」


目を丸くしたなら、バツが悪そうに雅人はふいっと横を向く。

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