???「……はぁ……はぁ……」???「あっ小春くんだ!」
???「あ、雨花さん?こんにち……わ、はぁ……はぁ……」
???「おぉおぉ!とにかく休もう!」
ここは、『トウヒガ学園』。「小春」が部活の練習をしていると「雨花」が話しかけてきた。とりあえず休憩する小春。
雨花「小春くん。サッカー部なんだね」
小春「そうなんです。今レギュラーになるための試験の資格を取るための練習してるんです」
雨花「そうなんだ!無理はしないでね」
小春「ありがとうございます!……あの一つ頼んでも良いですか?」
雨花「ん?なぁに?」
小春「その……」
「「おれの練習に付き合って欲しいんです!!」」
雨花「あぁ、良いよ!」
小春「ほ、ホントですか?!みんな自分の練習に付きっきりでおれの練習みてくれないんで助かります!」
雨花「それでわたしは具体的に何すれば良い?」
小春「えっと、そのタブレットに移ってる動画とおれの動きが合ってるかどうかは比較してみて下さい!」
雨花「はぁーい」
数分後
小春「ど、どうですか?」
雨花「うーん。五分五分……か、それ以下」
小春「そ、そうですか……」
雨花「小春くん。しっかり休みながらやってね。自分を追い詰めるように努力しちゃダメだよ?」
小春「でも結果出さないといけないんで」
雨花「…………そっか」
その後も練習に勤しんだ小春。それを観る雨花。
小春「もう夕方ですね……もう雨花さんは帰って頂いて構いません」
雨花「でも小春くん残るんでしょ?なら付き合うよ」
小春「でも……」
雨花「付き合うって約束を先にしてくれたのは小春くんでしょ?」
雨花はニコッと笑う。
小春「…………!はい!」
その後、夜まで練習をし続けた。
小春「はぁ……はぁ……はぁ……はぁ……」
雨花「…………」
小春「どう……ですか?」
雨花「上達はしたよ。でも満点にはまだ……かな」
小春「…………クソっ」
小春は柱に掌をぶつける。
雨花「…………」
小春「努力って、頑張るってこんなに辛いことなんですね……ずっと悪いことばっかりしてた罰ですかね……」
雨花「それは違うよ。……と言っても今は小春くんには聴く余裕がないと想う。小春くんは今自分の過去や頑張ったことへの結果のなさに潰されかかってるからね」
小春「…………努力って裏切らないんじゃないのかよ」
小春は俯いてしまった。
雨花「小春くん。努力は裏切るよ」
小春「え」
想わぬ言葉が小春を撃ち抜く。
雨花「努力すれば良い結果が出るなんて、そんなことない。努力すればするほど努力したぶん以上に、結果が追いついてくれなかったり、周りがライバルですらなくなったり、心への反動が大きい。努力は人を平気で裏切り続けるよ」
小春「そ、そんな……」
雨花「でもね、そうやって努力に裏切られ続けることは夢を叶えるにあたってとても必要な条件。努力が報われなくても、それが何度も続いても、挫折しても、諦めても、努力に裏切られた経験はとても大切なこと」
「「努力に裏切られ続けないと夢を叶えるなんてできないんだよ」」
小春「雨花さん……」
雨花「…………わたしに言えるのはこれくらいだよ」
小春「……覚悟が必要……なんですね……」
雨花「覚悟は大切だね。でも気負うのはダメ。覚悟を決めなきゃいけない時、恐い時、その時は、自分が頼れる人に頼ってみたり、とにかくひたすら休むこと。休めないなら休むのを止める人に反抗して、強制的に休ませる。覚悟を決めるには余裕があるのが大切。だからとにかく休むことが大切なんだよ。小春くんは自責する癖があるから、休むことをとにかく覚えて、その上で覚悟を少しずつしていけば良いの。そして、休む暇がない時や人に頼れない時に覚悟をしなくちゃいけない時は、焦らず自分が正しいのかなと想った考え方で向き合えば良い。それでも後悔は残るけど、自分が決めた考え方なら少しでも後悔は薄れると想うから」
小春「……!はい!おれ頑張ります!」
雨花「あとそれから海音ちゃんともっと帰ってあげてねぇ〜ぬふふ」
小春「!?、ま、まさかおれたちが付き合ってること知ってるんですか?」
雨花「さぁ?何のことやら」
小春「ちょ、雨花さん!!どうなんです?!」
こうして、小春のサッカーの練習は終わった。
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???「この資料書き留めておかないと」
雨花「じゃあわたしこれやるよ!」
雨花は「桃時」と生徒会室で資料を作っていた。
コンコンコンコン
雨花「小春くんだぁ!」
桃時「どうぞ」
小春「失礼します!」
雨花「どったの?小春くん」
小春は片手に紙を持っている、
桃時「何か生徒会室の来客数多いわね。特に多いのは紅蓮先生だけど」
小春「みて下さい!これ!」
雨花「どれどれ」
『レギュラー試験資格合格のお知らせ』
雨花「すごいじゃん!!小春くん!!」
小春「頑張りました!!これでレギュラーの試験に挑めます!!雨花さんの言う通り、努力に裏切られ続けることは夢へ繋がってるんですね!」
雨花「……あの、あんまり言わないでね……?周りにその言葉」
桃時「あんたの後輩くん素直ねぇ。あんたの本音なのかよく分からないやつを信じるなんて……」
雨花「本当に周りに言って欲しくない……」
小春は喜び、桃時はそれを楽しそうにみつめている。
雨花は、小春の合格を喜びたい気持ちと自分のセリフを周りに口外して欲しくない気持ちとで渦巻いていたのだった。
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