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(帰郷千衣沙)「……んん」
(ラウール)「千衣沙」
(帰郷千衣沙)「……あれ、私寝てたの?」
(ラウール)「もうぐっすりと!」
(帰郷千衣沙)「そっか」
(帰郷千衣沙)「ねぇ、真都」
(帰郷千衣沙)「私ね、昔の夢を見た。」
(ラウール)「へぇ、どんな夢。」
(帰郷千衣沙)「紗代子の時の夢。」
(帰郷千衣沙)「……」
(ラウール)「辛かったね。」
(帰郷千衣沙)「……あなたの前世、真一郎は紗代子のことが好きだった。でも、それはもう叶わない恋。」
(帰郷千衣沙)「あの子が言ってくれた。」
(帰郷千衣沙)「私を愛してるって。」
(帰郷千衣沙)「……」
(帰郷千衣沙)「あの子の生まれ変わり、あなたがいる。真都がいるだけでいい。」
(帰郷千衣沙)「私は……それだけでいい。」
(帰郷千衣沙)「紗代子の事を覚えていなくてもいい。真都のそばにいることだけでいい」
(ラウール)「……俺はいつまでもそばにいる」
(ラウール)「千衣沙の事を大切に思ってる」
(帰郷千衣沙)「……ありがとう」
私は恋という気持ちは知らない。
他人を好きだということは1度もなかった。
この体質で子に受け継がれないように
その感情を心の奥にしまっている。
あの子たちの事を大切に思っている。
愛している。この想いはいつまでも。
(帰郷千衣沙)「真都、私ね四季が好き。」
(帰郷千衣沙「長い時間で生きてきた中で」
(帰郷千衣沙)「変わりゆく時代の中で変わらなかった唯一のものなのよ。」
(帰郷千衣沙)「春、夏、秋、冬。」
(帰郷千衣沙)「戦火の渦でもそれは」
(帰郷千衣沙)「変わらなかったもの。」
(ラウール)「……」
(帰郷千衣沙)「四季はね」
(帰郷千衣沙)「どんな時代でも」
(帰郷千衣沙)「色褪せない四季達よ。」
(帰郷千衣沙)「それは変わらずに」
(帰郷千衣沙)「永遠に……」
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