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「うわっ……!?」
床に放置されていた誰かの脱ぎ捨てたジャージに足を取られ、勇馬の体が大きく後ろに傾いた。
「え!?ちょ、あぶな……っ!」
拓也が反射的に手を伸ばし、勇馬の腰を抱き寄せる。
グイッと引き寄せられた反動で、二人の体が強くぶつかった。……はずだった。
「……っ!?」
「…………っ!!」
ドサッ、という鈍い音。それと同時に、柔らかな、けれど弾力のある感触が唇に当たった。
一瞬、何が起きたのか分からなかった。
拓也が勇馬を支えた勢いそのままに、二人の顔が重なり——偶然、唇と唇が真っ正面からぶつかってしまったのだ。
「…………。」
「…………。」
時が止まったような沈黙がスタジオを支配する。
先に動いたのは拓也だった。弾かれたように体を離し、酸素を求めるように数歩後退りする。
「あ、……っ、ご、ごめん! 今のは、わざとじゃなくて……その……!」
拓也は顔どころか首筋まで真っ赤にして、手足の置き場に困ったようにおどおどと動かしている。完全にパニック状態だ。
「勇馬……あの、大丈夫、……? 怪我、してない?」
恐る恐る拓也が顔を上げると、そこには
その場に立ち尽くしたまま、ピクリとも動かない勇馬の姿があった。
「……ゆ、勇馬さん…?」
拓也はびっくりして、おどおどしながら勇馬の顔を覗き込む。
「怒ってるのか?」「軽蔑されたのか?」……そんな最悪な想像が拓也の頭をよぎる。
けれど、勇馬がゆっくりと顔を上げた瞬間、拓也はさらに目を見開いた。
「…………っ、こっち見んな」
勇馬は、拓也が今まで見たことがないくらい、それこそリンゴみたいに真っ赤になっていた。
潤んだ瞳で拓也を睨みつけながら、震える手で自分の唇をギュッと押さえている。さっきまでの強気な態度はどこへやら、捨てられた子猫みたいに肩を震わせて、必死に視線を逸らしていた。
「え、勇馬……照れてる……の……?」
「……うるせぇ!! 照れてねーよ! 死ぬほどびっくりしただけだわ! っ、……とにかく、こっち見んな、バカ!!」
勇馬の声は裏返っていて、怒鳴っているのに全く迫力がない。
拓也を茶化していた余裕なんて微塵もなく、ただの「初恋を知った少年」のような初心さが、全身から溢れ出していた。
「……っ、でも、今の、事故だし……」
「わかってるよ! 事故だよ! だからお前、今のこと、絶対誰にも言うなよ!」
「……言わないけど。……でも、勇馬があんまり可愛い顔するから……」
おどおどしていたはずの拓也だったが、あまりにも無防備に照れまくる勇馬を見て、心臓がトクンとまた跳ねた。
罪悪感よりも、「今の、もっと……」という、抑えきれないドキドキが勝ってしまう。
「……あの、もう一回、ちゃんと……」
「……っ!するわけねーだろ! 無理! 帰る!!」
勇馬は真っ赤な顔のまま、ひったくるように荷物を掴むと、靴を履くのもそこそこにスタジオを飛び出していった。
残された拓也は、自分の唇に触れ、それから爆発しそうな顔を両手で覆った。
「……なんなんだよ、もう……。……可愛すぎだろ……」