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attention
麻天狼
一二三視点
ヒプアニ曲『Fallin’』イメージの二次創作作品です。
コミカライズ dramatrackのネタバレがあります。
過去捏造
死ネタ
BADEND
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『なぁ一二三』
『ど…どうかしたん…?』
『お前さ、本気でホストやり続けんの?』
『あ、あぁそれか、あ〜。まぁそうかな…』
『どうしたんだよ、お前普通に就職したらもっといけると…』
『みゃー、どぽがきにする、ことじゃ…』
『お前ってホントに…』
『まあ俺達ズッ友だって!な!』
『この話との関連性は無いだろ…』
『なんか、今言わなきゃいけない気がして!な!』
『なんだよ…』
『それと、明日から店来んなよ』
『なんでだよ…?』
『みゃーみゃー!き、にすんな!』
にこ〜っと笑って独歩に向かって手を振った。
『俺にまで愛想笑いは辞めてくれ…』
『どどどうも、ヒフミです。今宵は…』
『あーそういうのいいから、あたしそんなの気にしないし。』
雰囲気ぶち壊したな…俺が…俺が…
『ど、どうも…ヒフミです。お姉さんは何を飲みます、』
『うるさい。私今本命にメールしてんのよ、あんたが一緒に酒飲んでくれるって言ったから指名したんだけど?勝手に選んでよ』
ホストは一緒に酒飲む人じゃないんだから、どっか行けよ…
『ヒフミ!よく頑張ったね。新人にしては売り上げ多い方だよ〜!!!』
『あ、ありがとうございます!』
『ヒフミ、お前ふざけてんの?接客は大切にしろって言ったろ』
『え…?』
『雰囲気が無いとさっきのお客様言ってたぞ。明日までに治してこい』
『え、あ、はい。分かりました。』
『そんなに言わなくてもいいのにね〜オーナー。ヒフミに対してキツイよ…』
『あとな、ヒフミ』
『はっはい。』
『お前の代わりなんて何人も居る。お前のオサナナジミでもいいんだぞ?またやらかしたら次こそ捨てるから。』
『ど、独歩…?やっやめてください!アイツはっ!!』
『そうなりたくないんだったら頑張るんだな』
その時、独歩を選択肢に出された怒りとプライドが混ざって変なことを言い出してしまった。
『…名前を変えてやり直します』
オーナーはにやっと笑って
『はっやっとやる気になったか オウジサマ?』
『…俺はまだ王子様じゃなくていい、誰かの傍に居たいんだ!』
『ふーん、まあオサナナジミくんの為にも頑張れよ』
『一日、時間をください』
『一日もあげれねぇ。明日は早く来い』
『…はい!』
『ヒフミ、俺も応援してるよ!頑張ってね!』
この人いつも良くしてくれるよな…
『ありがとうございます。頑張ります…!』
『今日も急患、ですか?』
『すいません神宮寺先生、先生にしか手術が出来ないだろうと院長が…』
『なるほど、事故かなにかかい?』
『はい、墜落です。』
『墜落…またカブキ町かい?』
『はい…6階からだったらしく…』
『ありがとう、分かったよ。私も全力を尽くす。』
『は、はい!ありがとうございます!』
痩せた21才の女性だった。
『あぁ!神宮寺先生いらっしゃったんですか…!あの、もしかしたら助からない、かもしれなくて…』
暗い過去。
『私は私の全力を出すまでです。』
『せ、先生…!ありがとうございます…』
『この事件は仕方が無いでしょう。手術が成功したらカウンセリングを受けます』
『事件現場はカブキ町から少し外れた6階建ての廃ビルです。』
『少し外れた廃ビル…またホスト関連でしょうか』
『はい、そう見えます。カブキ町案件は基本そうですね』
『神宮寺先生!オペが!』
『はい』
『俺、どうすれば…あんなの言ったもののまだ…まだ決めねぇ…』
昔、ここに引っ越してきた時に置いた木の葉が色とりどりの枯れ葉となりはらりと堕ちていった。
怖い。俺もいつかこうなる思えば。
『う、うぇっひっぐ…』
まだ店が開いていない夕方。1人窓を眺めながら曖昧な気持ちのまま泣いた。
結局欠勤してしまい、1夜ずっと窓を眺め続けた。
職場から近いところ、となかなか都会のアパートに住んだ。
最初は景色がビルしか見えなくて、あまり良くないなどと思っていた。
今は違う。半年しか見ていない景色だが、ビルの所々の光に安心する。
何時しか俺もシンジュクの住民になっていたみたいだ。
その景色を眺め、包まれながら眠りに落ちた。
はっと起きたら遠くの壁に飾っていた時計が4時45分を指していた。
この時間ならまだ…
欠勤した事を申し訳ないと思いすぐに支度し、眠気がまだ頭に残ったまま家を出た。
5時の始発に乗り、窓を見た。
昨夜の景色と見比べて、この街は夜と朝でこんなに変わるのだな、と実感した。
ガタン、
『オーナー、いますか…?』
『うるせぇな、お前のせいで今日はここだよ』
『もしかして、待っててくれたんですか…』
『自分のところの大切な従業員だろ?待つしかない』
『あ、ありがとうございますっ、』
『ほら、名前と方針を教えろ』
『あの、名前は…』
MC.GIGOLO
『子猫ちゃんからシャンパン頂きました〜!』
わずか1年程で僕は成長した。
ジャケット着た僕とジャケットを着ていない僕は違う。
ジャケットを着た僕はホスト用だ。ホストにしか使われない、僕は生きるためには必要な訳では無い。
ジャケットを着ていない僕は通常。女性恐怖症の僕だ。この僕を失ったら多分”伊弉冉一二三”じゃない。
俺は『子猫ちゃん』しかいない。
アイツは、『観音坂独歩』が居ていいよな。
俺は、お前の生活に手助けするだけの『ドール』
肩をとんとんと叩かれた。
『最近〜一二三が居ないと生きてけないよ…』
『困ったらすぐに、こちらに電話してきていいよ?』
『えっいいの!?一二三、ありがとう、!シャンパン入れちゃう!』
『はは、ありがとう。無理しないでね。』
『命は取り留めました。安心してくださいね』
『ありがとうございます…あいつ、俺が店辞めるって言ったら死ぬって言って…』
『成程、後日カウンセリングをする予定ですのでその機会に1度話してみてはどうでしょうか?』
『いや、ほぼほぼ俺が殺してしまったみたいなもんです。あいつは俺と話したいだなんて思うはず…』
『いいえ、貴方の事で飛び降りたのです。私は貴方が鍵だと思いますよ。』
『あいつは…俺を許してくれるのか…』
『それは貴方次第でもありますよ。』
『おれ、次第…?』
『ええ、声のかけようによって変わるかもしれません。頑張ってください』
『えーと、神宮寺先生。俺にまで相談ありがとうございました…』
『いいえ、気にしないでください。医者として当然のことです。』
コンコン
『先生!次の患者さんが…』
『9時…時間も遅いね。病室を訪れて帰るか、そのまま帰るかは貴方次第です。重く感じなくていいですよ。』
『は、はい!ありがとうございました。』
ガラガラ…
『あの、お疲れの所すいません。観音坂です』
『君は…医療機器メーカーの営業の方だね?』
『は、はい!覚えていてくださり光栄です!』
『それで、どうかしたのかい?』
『あの…将来の不安で眠れなくて…』
『ふむ、将来の不安…』
ピンポーン
『一二三!』
インターホンを押したがドンドンとドアを叩く。
少ししてガチャ、とドアが開く。
『んだよ独歩か〜静かにしろよ〜』
『良かった!お前、死んでるのかと…』
『やだなぁ、勝手にお空に行かないよ俺っち〜』
『お空に行く、て…お前は幼稚園児か』
『みゃーみゃー、表現の仕方くらい自由っしょ』
表現の仕方…
『夜のここからの景色、すげーいいんだよ!前は仕事欠勤して1夜ずっと見ちゃっててさ!』
『し、仕事を欠勤んんん!?!?』
俺には到底できない事で少しびっくりした。
少し…
『んー、独歩んとこはできんの?』
『出来るわけないだろ…!!』
俺の会社がブラックかは知らんが急にはどこでも欠勤出来ないだろ!!
『そういえばさーヒプノシスマイク、使ったことあんの?』
『ヒプノシスマイク…あまり使いたくはないな。危なそうだし』
『え?まじ?独歩は率先してやってそーだと思ってたわ。』
『そ、そんな好戦的に見えるか、おれ…』
『いや、独歩って言葉とか好きだったじゃん』
『…は?おま、そんなこと』
『向日葵の漢字が明るい感じで好きだーとか言ってたっしょ?』
『…』
『あり?違った?』
『そうだよ…』
『詩を書くのも好きだったっしょ?だからラップしてんのかなーって』
『してない、つかする時間ない』
『ふーん…ってえ!?無い!?』
『ない。仕事だ。』
『頑張ってんね〜独歩!俺っちも頑張るしかないな〜』
『あ、そうだ。お前いけてんの?』
『いけてる〜GIGOLOって名前でやってんよん!』
『じごろ…あぁ、123456か』
『そーそー!独歩よく分かったな!』
『昔、言ってたろ』
『んえ?』
『ひふみ、だと続きがあっても良くないかって』
『そんな話、してたっけな〜』
『うわぁぁぁぁぁぁ…』
カブキ町の廃ビルの屋上でしゃがんで泣いた。
一二三とGIGOLOに挟まれながら泣いた。
いつの間にかジャケットは肩から少し脱げていた。
下を見ると真っ暗。そりゃそうだろう2部出勤の俺が終わったところだ。
あの無断欠勤をした日に見た夜景を思い出した。
あの時はまだ独歩は社畜になってなかったけど、俺もホストとしてやっていけてなかったけど。
今は2人で暮らしてなんだかんだし上手くやれてるんじゃ…
まあそれより今はGIGOLOと気づかれる方が怖い、な
王子様系ホストが廃ビルの屋上でしゃがんで泣いてるとかダサ…
これでもまあシンジュクNo.1だし、チャンピオンだし
プライドって物も持たなきゃいけないんだろうな。
『一二三!』
『一二三くん』
『あ、』
ガタンと音を鳴らして彼らは来た。
『やめて…やめて…!』
『一二三!?』
ストン、
あの昔のアパートにあった枯れ葉のように
人と違う色を持ち堕ちていった。
独歩とセンセはいつまでも俺を照らしてくれた。
クールな俺もダサい俺も。
ふと見ると昔住んでいたアパートが見えた。
新しく住んだ住民が置いたであろう植木が見えた。
俺、あの時なんて木置いたんだっけ。
やだなぁ、ホストは記憶力で勝負なのに。
小学生の時、独歩と出会ってそれからずっとだったな…
独歩にはセンセも紹介してもらって、シンジュク代表としてチャンピオンになることも出来た。
今更思い出が黄泉がえる。
今はもう、怖くない。そう思いたい。
この想い、忘れなさそうだな…
いつの間にか零れ落ちた塩水が頬を伝う。
自分が死んでも、独歩には生きていて欲しかった。
今回のことはすっげー悪かったと思ってる。
けど俺っちにジンセー左右されて欲しくなかった、
なんて言う言い訳でも許してくれっかな。
ごめんな、独歩。センセ。
『一二三くん!独歩くん救急車を』
『はい。先生は一二三の確認をお願いします』
最後に辛うじて聞こえた『仲間』の声。
俺っち実は独歩にも心を開いてなかったんだな〜
ホントの俺っちはこんなに弱っちいのに
よく一緒に居てくれたよな〜
とうとう俺っちの映画のエンドロールは最後の文字が画面から消えそうになっていた。
廃ビルの屋上には一二三ではなく、黄色い薔薇を刺したジャケットしか残ってなかった。
コメント
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切ない…普通にボロボロ泣いちゃいました…文章も綺麗ですごく読みやすかったです😔もし良かったら仲良くさせていただけませんか!?フォロー失礼します🙇♀️