コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
体が痛い、熱い、お腹の中がぐちゃぐちゃする。でも『痛い』と叫ぶほどじゃない。どうしよう、起きようか、このまま我慢しようか……。
しばらくじっとして、迷った結果、私は起きる事を選んだ。
(喉が渇いたわ、水が飲みたい)
ベッドで横になっていた体を起こし、隣で眠る夫のティオを起こさないように気を付けながら布団を出ようとした。すると何故かずるんとパジャマが肌から落ちて、意図せず胸元が肌蹴てしまう。
(おかしいわ、このパジャマはピッタリサイズのはずなのに)
不思議に思いながら下を向いて胸元に手を当てたのだが、どうしてか、あるはずのものが……無い。
「……え?」
マットレスの上にペタンと座り、真っ暗な寝室で自分の体を何度も触る。着ていたパジャマはブカブカで全くサイズが合っておらず、自慢のクリーム色をした長い髪は切ったみたいに短くなっている。豊満だった胸は跡形も無く消え去り、すっかりまな板だ。
(——な、な、何が起きたの⁈)
この状況が理解出来ず、俯いて、自分の小さな手を見て呆然としていると、ティオが眠そうな声で「どうしたんだ?」と声をかけてくれた。
「アナタ……ご、ごめんなさい。起こしちゃったわね。何でもないわ、大丈夫」
反対側を向いて寝ていたティオの頭をそっと撫で、安心させるため、小声でなだめるように言った声は自分の知っている声ではなかった。
「……エリザ?その声……風邪でもひいたのか?」
「ダ、ダメ!見ないで!」
静止を無視し、ティオが体を起こしてこちらを向いた。部屋は灯りもついていないし、私の事はほとんど見えないはずではあれども焦ってしまう。
自分でも、我が身に何が起きたのかわかっていないのだ、夫に心配などさせたくない。何とか誤魔化してこの場をやり過ごさねば、迷惑をかけてティオに嫌われたくないわ。
でも何を言えば、何をしたら誤魔化せるのかが咄嗟に思い浮かばない。元々機転がきくタイプじゃ無いのだ、そんな事は出来る訳がなかった。
「ちょっと喉が乾いただけなの。水を飲んでくるわ、アナタは寝ていて。明日も早いんだから」
「……エリザ、その姿——」
ティオは私の話も聞かず、こちらの方へ近寄りながら、私の方をジッと見ている。
おかしい、おかしいわ……夫の目線が随分上で、いつもより彼がとっても大きく見える。何が起きたの?怖いわ、どうしたらいいのかしら、ティオが私を見て『その姿』って言っていたわ。私の姿が何か変なのね?
「ご、ごめんなさい!何が起きたのか私にもわからないの。体が痛くって、起きたらこうなっていて!」
パニックになり、ティオから必死に距離を取る。だが直ぐに背中がヘッドボードにドンッと当たり、これ以上後ろへはさがれない。
「大丈夫、落ち着いて!もうどこも痛くはないのかい?」
ティオの気遣う声が耳に優しい。頰をそっと触れられ、私の目には一気に涙が溜まった。
「えぇ、もうどこも痛くないわ。でも変なの、パジャマはブカブカだし、胸は消えているし、髪も……髪も……」
感情のブレがいつもよりも激しい。ボロボロッと大粒の涙が頰を伝ってしまう。手で拭い、強く目を擦ると、ティオがそれを止めた。
「体を見せてもらうね。怯えないで、大丈夫だよ」
「アナタ……」
目が暗闇に慣れてきてティオの表情が少しわかる。声と同じの優しい笑みに、心がちょっと落ち着いてきた。
ティオの両手が私の頰に触れ、その手が体のラインに沿うように下へおりる。喉を触り、鎖骨を撫で、着ているパジャマでは隠しきれず露わになったままの胸にそっと指先が触れた。その触れ方がいつもよりも丁寧で真剣で、なんだか変な感じがする。
「これは……もしかしたら、呪われたんじゃないのか?じゃないとこんな事、ありえないだろ」
「……そ、そんな」
落胆する私とは裏腹に、ティオは恍惚とした眼差しを私へと向ける。私の体をそのまま丹念に触り続け、息遣いが早くなっていっている気がした。
「エリザ、横になって?君の姿をもっとよく見せて」
「い、いや。見ないで、姿が変わったのでしょう?嫌よ、アナタに嫌われてしまうわ!」
必死に首を横に振り、ティオの体をグッと押して抵抗したが容易く姿勢を変えさせられた。私の体は広いベッドの上で仰向けになり、ティオが私の脚の間にすかさず移動する。
「平気だよ、嫌いになんてならないさ。どんな君だろうが好きだから、怖がらないで」
ティオが私の脚を持ち上げて、内腿へチュッとキスをしてきた。初めてだ、そんな場所にキスをしてくれるだなんて。
自分の脚がとても細い事にも驚いた。よく働く私の健脚は本来こんなに細くなどない。立派な筋肉と……残念なことに脂肪にだって覆われていたというのに、どうしたことか。
啄むようなキスを何度も細い脚にしながら、着る意味を無くしている私のワンピースタイプのパジャマをティオが捲りあげる。端正な顔が高揚し、うっとりしている様に見えるのだが……私の気のせいだろうか。
「や、やめて……恥ずかしいわ」
「可愛いよ、とっても」
甘い声で囁かれ、胸のあたりがキュッと疼いた。
(どうしたの?ティオも呪われたのかしら。太腿へのキスといい、こんなことを言ってくれた事など今まで一度もなかったのに)
サイズが合わなくなったショーツを脱がされ、下腹部が露わになる。するとそこに、私にはあるはずが無いモノが存在していた。
「気持ちいいんだね、すっかり硬くなっているよ。……ボクがもっと良くしてあげる」
そう言うティオが私の下腹部に近づき、双丘をいやらしい手つきで揉んでくる。
「いやぁ!そんな……やめて、汚いわっ」
腰を持ちあげられ、双丘の奥にある蕾をティオが舐めてきた。無理矢理脚を広げさせられている様子が、姿勢のせいで全て見えてしまう。
「ア……アナタ、何でそんなとこっ!」
「今の姿では、ココを使う他ないだろう?」
「こ、怖いわ。お願いアナタ、そんな事は止めてぇ」
「……どんな君でも愛せるんだって教えたいだけだから、怖がらないで」
必死に抵抗してもやめてくれる気配はまるで無く、この光景が、淡白な夫による行為だと信じられない。荒い呼吸、蕾を解きほぐす舌の丁寧な動き。部屋を満たすいやらしい空気感に、お腹の奥が疼いて止まらない。
シーツを必死に掴み、感じてしまう快楽を必死に逃がそうとするが、こんな夜伽は経験がなくって我慢し切れずに淫靡な声をあげてしまう。聞き慣れない自分の声のせいか、段々と『これは夢なのかもしれない』と思い始めた。
(夜伽に興味の無い夫がこんなに積極的で、必死に私を求めてくれるなんてそもそもあり得ないんだもの。呪われたのだって夢なんだわ……そうよ、きっとそう)
閉じた蕾からぬぷっと指が入り、私は声にならぬ声をあげた。
「エリザ、エリザ……」
ティオが私の名前を呼び、掴んでいた私の脚を離して、自身が着ている夜着を片手で器用に脱ぎ始める。初めて見る夫の逞しい裸体に、私の鼓動がどんどん早くなった。
(あぁ……なんて素敵なご褒美かしら。きっと私……平気なフリをしていただけで、本当は欲求不満だったのね。だからこんな夢を見るんだわ)
「アナ……ティオ」
アナタと呼ぶのを止めて、夫の名前を甘い吐息混じりで口にする。ティオへ両腕を伸ばすと、私の手を取り、彼が指を舐め始めた。一本一本丁寧に舌を這わせ、口付けもサービスしてくれる。
「もっとボクの名を呼んで、エリザ。美しい声だ、可愛いよ、とっても……あぁ」
解した蕾から指を抜き、今にもはち切れそうな程に硬くなった屹立を当てがい、ティオが私のナカにゆっくり挿入ってくる。お腹の奥がとても苦しく、息が出来ない。破瓜の時のような苦しさに、私は陸にあがった魚みたいに口をパクパクとさせてしまった。
「ゆっくり口で息をして、力を抜いて……そう、いい子だね」
私の頭に生えるヤギに似た獣耳を甘噛みし、耳元で囁きかけてくれる。言われた通りにしたいのに体は言うことを聞いてくれない。そもそも互いのサイズが合っていない気がする。裂けるように痛い、苦しい、キツイ……あぁ……でも、奥に切っ先が触れると全身がビクッと快楽に跳ねた。
「……ココが、いいんだ?」
ティオは私の反応を細かく伺っていたのだろう。反応が激しい箇所を知るなり、重点的にソコばかりを突いてくる。
「ティオォッ!ダ、ダメェェェ、あぁっ」
私を抱き締める大きな体のティオが、激しく私を求め、淫猥に浸り、執拗に攻め、何度も穿つ。
「……愛しているよ、エリザ」
——夢のような夜は、永遠とも感じられるほど長かった。結婚して初めて……『私はティオに愛されている』と実感出来た夜だった。
ぺちゃ……ぬちゅっ——濡れそぼった音が薄暗い室内に響いている。カーテンは閉まっており、『朝なんだから早く開けて光を入れなきゃ』と思うも、こんなコトをしているので開けにも行けない。
ベッドに腰掛け、浅く呼吸するティオが、彼の前で床に座る私の髪を優しく撫でてくれた。私の髪と獣耳の側にある小さなツノをそっと撫でながら、ティオが「上手になったね、エリザ」と甘い声で囁いてくれる。小さな両手で彼の屹立を掴み、決して入らぬと知りつつも出来る限り口を大きく開けながら切っ先を舐める私を、ティオが褒めてくれた。
(朝からこ、口淫だなんてすごく恥ずかしいわ……)
そう思うもティオには言えず、彼の求めるままに行為を受け入れ続け、夢のような呪われた晩からもう三週間が過ぎた。淡白だった夫が一夜にして豹変し、毎日、毎朝、毎晩……時間を問わず、暇を見付けては、こうやって何度も何度も私を求めてくれる。ティオと結婚してもう三年近くが経過したのに、まるで今こそが新婚期のようだ。
「小さな尻尾をそんなに振って、エリザも気持ちいいの?」
ティオに指摘され、顔がカァと赤くなった。自身の下腹部も熱くって、もじもじもと脚と尻尾が動いている。あぁ……そうだ、私も気持ちがいい。熱い舌が大きな屹立で擦れ、溢れ出してくる先走りの汁のほのかな苦味と淫猥な香りにトロンと瞳が溶けてしまう。
「あぁ、そんな顔されると……もっぉ」
私の髪をティオが強く掴み、彼の屹立が私の頰と手の中でどくんっと脈打つ。その途端、切っ先から白濁液が溢れ出し、私の顔に勢いよくかかった。
「ご、ごめん。エリザが可愛くって……」
恍惚としていたティオの顔が慌てた顔になり、袖口で汚れを拭ってくれる。
「服が汚れちゃうわ」
「あ、そっか。ごめん。今タオル持ってくるね」
吐精して落ち着いたモノをトラウザーズの中にしまい、ティオが慌てて立ち上がって部屋を出る。
床にぺタンと座り、『……さて、自分の熱はどうしたものか』と私が脚をもじもじさせていると、「すみませーん!誰か居ませんかぁ?」と言う声が庭先の方から聞こえてきた。
「あー……残念。お客さんが来たみたいだ。エリザのは、後でたっぷりしてあげるね」
お湯で濡れたタオルを片手に戻って来たティオの一言が体に響き、私の下腹部がずくんっと疼いた。