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会議の日は懇親会のような催しが開かれた。

もちろん二人の君主から酒を出せと言われたので俺は大盤振る舞いをした。

日本酒は冷や酒から熱燗に合うラインナップを出し、ウイスキーは山◯のシングルモルトから海外の物まで、ワインはスパークリング、白、ロゼ、赤を出した。

乾杯は勿論瓶ビールだ!

「これは喉越しが良かろう?」

「素晴らしい飲み物だ…我が国でも作れないだろうか…」

ちなみにビールは現地で冷やした。

氷は魔法で出してタライに入れてもらい、そこに塩とビール瓶を入れた。

氷に塩をかけると温度が0度を大きく下回るのは結構有名な話しだよな。

一分もせずにキンキンに冷えた。

「王子にはこちらを」

「これはなんだ?」

「こちらは炭酸は入っていますがアルコールは入っていないのでどうぞ」

年齢が理由でアルコールを飲んではダメだとは聞いたことはないが、お酒に興味を示していなかった為、瓶コーラを出した。

「…黒いな。頂こう」

銀で出来たワイングラスのような物に注いだ。確かに色だけ見たらやばそうだよな。

「うっ!ゴホッガハッ」

王子が激しく咳き込んだので、騎士が俺に向かってこようとしたがそれを王子が手を翳して止めた。

「アンダーソン殿下。大丈夫ですか?」

「大丈夫だ…ふう。これは不思議な味だがクセになるな」

コーラの良さがわかるとは。

地球でも生きていけるぞ!

この日は皇国に泊まり、翌日帰ることとなった。






「では始めにカイザー様を送ります。アンダーソン殿下は次ですのでお待ちください」

ここは皇都の外にあるナターリア軍とエンガード軍の仮設基地だ。

今日この日をもって解体するから無くなるけど。

「わかった」

王族が転移で帰ったタイミングでこの部隊も漸く祖国へと帰還する。

順番的に国王であるカイザー様を先に送れたけど、国王同士なら誰を初めに送ればいいんだ?年齢?

とりあえず、仲間達は朝早く一足先にリゴルドーへと送った。

態々歩いて広い皇都の外に出るのは面倒だからな…俺は逃れられないけど。




カイザー様を送り届け戻ってきた俺は、次にアンダーソン殿下と共にエンガードの王城へと転移する。

俺が転移先からすぐにリゴルドーへと向かわないのは、バーランドと遊ぶ約束があるからだ。

「では、行きますよ?」

「頼む」

『テレポート』

俺達の視界は瞬時に切り替わった。





ん?何だか慌ただしいな?

アンダーソン殿下の私室に転移した俺は、室外の足音の多さに不安を感じる。

「何かあったようだな。誰ぞ!」

アンダーソン王子も異変を感じたようだな。

王子の呼び掛けによりすぐに扉が開き、人が入ってきた。

「何の騒ぎだ?」

「はっ……」

「何だと聞いている。答えよ!」

入ってきた人は返事をしたきり黙ってしまった。そこに王子が畳み掛けると・・・

「…バーランド殿下、お隠れになりました」

「…下がれ」

それっきり王子は黙ってしまった。

ただ、俺にはその静寂が重すぎて、口を開かずにはいられなかった。

「お隠れって…何処かに行ったのか?

バーランドもお茶目な所があったんだな」

「セイ」

「隠れんぼなんて子供の時以来だな!

よし!一緒に探すか!」

「セイ」

王子やめろよ。

合いの手が長◯剛みたいになってるじゃん!

笑えてくるぜ。

あっ…今気づいたらアンダーソン王子にタメ口聞いてしまったな。

でもバーランドの弟だからいいのか?

いやダメだろ!相手は王族で未来の王様だぜ?

でも待てよ…いずれ元帝国を聖奈さんが治めたら俺が王様になる可能性も微粒子レべ……

「セイ。兄上の元へ行こう」

「…うん」

この時の俺は酷く情けない顔をしていたのだろうな。

アンダーソンは15くらいなのにしっかりしすぎだろ。

やっぱりこの世界の住人は凄いな。

俺も覚悟していたつもり・・・だったけど、所詮・・・

つもり・・・だったな。







「父上。戻りました」

アンダーソン王子がエンガード王に挨拶をした。

連れられてきたここは後宮らしく、陛下とは呼ばなくて良い場所のようだ。

俺は明らかに部外者だが、絶対に追い出されんぞ。

この目で確かめるまでは、信じない。…信じられない……

「よく戻ってきた。知っていると思うが、バーランドが天に還った。

別れを済ませてきなさい」

「はい」

アンダーソン王子は奥の扉へと消えていった。

この部屋には国王以外にも人がいた。

目を腫らし憔悴した様子の王妃と、会ったことのない少女達が泣いているのだ。

「セイ。よく戻ってきた。

バーランドの友よ、ありがとう」

何故お礼を言われているんだ?

「セイ殿。バーランド殿下は貴方に感謝していました。弟を守ってくれたこと、そして友となってくれたことを」

「まっ、待ってください!俺にはまだ信じられない…一目会わせてください!」

王妃にまでお礼を言われたが、何のことかわからん。

それよりも、何よりも、俺は会いたいんだ!

ここの風習はしらん。

だが、何としてでも会う!

俺はこの能力を月の神様から授かった時から、自分のやりたいことを我慢するのはやめたんだ!

「勿論だ。アンダーソンの後に顔を見せに行ってやってくれ」

「は、はい…」

会えないかと思ったけど、どうやら会えるみたいだな……

何だか張り詰めていたモノが少しだけ緩んだ気がした。

暫く無言の時が流れた。

ガチャ・・・

静寂を壊さない程度のドアを開く音が、優しくその時を告げた。

「セイには頼み事ばかりで悪いが、会ってきてくれるか?」

「殿下に言われなくとも会います。友人に会うのは当たり前ですから」

俺はアンダーソン王子が出てきた部屋へと足を向けた。


ガチャ。バタンッ。


その部屋は独特の香の匂いがした。

棺は無い。

テーブルに大量の花が置かれている。

その上に眠る友人の姿を見つけた。

「今にも起きそうだな」

スッキリした顔をして、まるで眠っているように見える。

苦しまずに逝けたんだよな?

「『魔力視』…やっぱり見えないな…ホントに…」


___死んでしまったんだな___


くっ…うっ……




そこからの記憶は曖昧だった。




次の日、国民にバーランドの死が布告されたようだ。


そして俺は何故かまだ城にいた。


「バーランドが残した文がそれぞれにある。受け取ってくれ」

エンガード王から貰った手紙を握り、リゴルドーの家へと帰った。





家では昨日帰らなかったことを詫びて、バーランドの死を伝えた。


みんなに断ってから部屋へと入り手紙を開いた。


『セイ・シノノメへ。

どうやら私は死んでしまったようだな。

これまで私には友と呼べる人はいなかった。

そんな中、セイは家族以外で初めて私を一人の人として見てくれた。

嬉しかったよ。

今度はそれを弟に向けてくれると嬉しく思う。

ありがとう。さようなら。

唯一の友人に向けて。バーランドより』


手紙はバーランドらしく簡潔なものだった。

俺にはもったいない友人だ。

俺が渡した薬がどう作用したのか、今となってはわからない。


ただバーランドの最期の時が、痛みではなく安らぎに満ちたものであったことを願うばかりだ。






side聖奈

「セイさんは大丈夫でしょうか?」

ミランちゃんが聞いてくる。もちろん私にもわからない。

「大丈夫だよ。セイくんは優しいから今は悲しんでいるけど、必ず立ち上がるから」

「はい。信じています」

いい加減なことを言っちゃったな……

聖くんの友人を須藤くん以外は知らないけど、セイくんの友人はナターリア王、ライルくん、バーランド王子の三人。

ナターリア王はどんな関係であってもやっぱり国王だから線引きはあったと思うし、ライルくんは友人というより弟みたいなものだから、バーランド王子が付き合いは短くても本物の友人だったよね。


今は立ち止まっていいよ。

でも、すぐに悲しい事を考える時間なんて無くしてあげるから、覚悟しててね。

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