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第一話 「今日から家族」
【今日も疲れたな〜】
「僕も疲れた〜!」
俺の名前はみけ。学生で、いつも通り授業を受け、いつも通り部活をやっている平々凡々に暮らしている。
隣にいるのはシュウ。俺と同じ部活動に入ってて一緒に下校している最中だ。
「なぁ、みけ。あそこにいるのは何?」
突然、シュウが立ち止まりそんな事を言ってきた
【あそこって?】
俺が問い返すと、電柱の近くにダンボールが置かれているのが見えた。
そのダンボールが気になって俺とシュウが近づいてみると鳴き声が聞こえてきた。
心配になったシュウがダンボールのとこに行き、蓋を開けてみると……
『にゃあ〜!』
そこには猫がいた。
まさか、猫がダンボールに捨てられてるなんて……漫画の中でしか見ないのに…!
「みけ、この子どうしよう……」
シュウは猫を抱き抱えながら俺に聞いてきた。シュウは猫好きだけど、家には沢山の猫がいて、飼える場所がない。
【俺が連れて帰る】
シュウから猫を取り上げて、頭を撫でながら。
「大丈夫なの?みけの家っておばさん許してくれるの?」
そう、俺の母親は猫に少し苦手意識があるのだ。
俺が小さい頃、猫を飼いたいって言って、ペットショップに行ったんだ。そこでふれあい場があって、そこの猫に母さんが触れようとした時、爪で引っ掻かれてそれ以降猫が苦手になった苦い思い出がある。
【俺の頼みなら聞いてくれるだろ】
ペットショップに行った時、猫は飼えなかったけど、今回は……
今この子を見捨てれば、弱って死んじゃうかもしれない。
「みけが大丈夫ならいいけど…もし飼うってなったらなんでも聞いて!」
【おう】
そう返事をして、猫を連れて家に帰り、母さんを説得することに。
【母さん、この子、捨てられてたんだ】
˹ でも、引っ掻いてくる可能性もあるのよ…?˼
˹ みけが怪我をしたら大変だし……˼
一度怪我をしたから、俺に怪我があったら心配だということ。
でも、見てる感じだと、飼いたそうなそんな雰囲気なのだ。何せ、母さんは人や動物を救う仕事をしているから。
弱っている人や動物を見て見ぬふりができない母さんは、条件付きで飼っていいと。
˹ うーん…飼ってもいいけど、猫の爪切りはみけがやってね…?˼
この条件だけだった。俺は頷いて猫を抱き上げて、母さんに見せてあげた。
『にゃあ〜!』
この猫は引っ掻きもせず、母さんの頬に擦り寄った。
この時、母さんは嬉しかったのか俺から猫を取り上げて、お風呂に入れに行った。
【……ここまで人間が変わるのか……】
なんて思いながら、猫の名前を考えて、お風呂から出てくるのを待った。