都内の尽天堂大学病院に搬送された優子は、刺されてから一週間後に目を覚ました。
(ここは…………病院か。そうか。あの時、私……)
空港にいた日の事を思い出すと、優子の身体がゾワリと泡立っていく。
刺された腰の傷口が、まだ疼くように痛い。
優子の病室は個室を割り当てられたようで、小さめの薄型テレビ、ベッドの横にはテーブル、丸椅子が二つほど設置されていた。
個室にしては、やけに広く感じる部屋に、彼女は寂しさを感じてしまう。
(っていうか…………拓人は……? どこに……いるの?)
一緒にいた拓人の安否を知りたいと思った彼女は、ゆっくりと身体を起こすと、ナースコールのボタンを押した。
「岡崎さん」
数分後、病室の向こうから、ノックと優子を呼び掛ける声が聞こえてきた。
「どうぞ」
彼女が応答すると、女性看護師が入室してくる。
「体調はいかがですか?」
「まだ少し……傷口が痛みます」
看護師は、優子の答えた事を、カルテに記入した後、彼女と向かい合った。
「あの…………退院は、いつ頃になりますか?」
「岡崎さんの経過が、このまま順調でしたら、一週間後に退院になります。歩けるようでしたら、距離を少しずつ伸ばしていきながら、散歩するといいですよ」
看護師から柔和な笑みを向けられ、優子は、ホッとため息をついた。
「分かりました……。ありがとう……ございまし……た」
「お大事にして下さい」
看護師が彼女に会釈をして、踵を返し、退室しようとした。
「あっ……あの、すみません」
「はい」
優子が思い出したように、ワインレッドのスクラブ越しに声を掛けると、こちらに戻ってきた。
「ひとつ…………聞きたい事があるんですけど……」
彼女は一度顔を伏せた後、意を決して看護師を見つめる。
「何でしょうか?」
「私と一緒にいた男性なんですけど…………彼の具合は……どうなんですか? 恐らく、ここの病院に搬送されたと思うんですけど……」






