NAME:ラウエル・アーライド(Rauwel Arelaid)
NAME :ケアレー・ミリナウェド(Kealey Mirinawed)
時は21世紀。誰も知らないような王国が存在していた。その王国について人々に聞けば、皆口を揃えて「知らない」と答えるほど今はもう廃れてしまったのだが、これでも昔は大層贅沢な暮らしをしていてとても潤っていたそうだ。その国の名を「ディーマレイドホールランドレクイラー王国」という。国民はホルレク王国と呼んでいたり、マレイド王国と呼んでいたりで人によって呼び方は違った。
そんな長い名を持つこの王国の城で、一部の人しか存在を知らないほどひっそりと隠れて働いている少年──と言える年か微妙だが、一人の若者がいた。彼は王や側近、料理長などに隠されていて、王に使える女も男も基本的には彼を知らない。逆も然り、彼も王や側近、料理長などしか知らなかった。
彼の仕事はいたって単純で、残飯処理。宴の残飯から普段の食事の残飯、時には飼われている山羊や馬の残飯まで毎日食わされていた。大量に廃棄される食べ物を彼はひたすら食べていた。彼は胃袋がまるでブラックホールのようで、毎日の残飯も全て食べきっていた。毎日残飯処理機のように扱われ、起きている時間の殆どを残飯処理に使っていた。彼はもううんざりしていたが、そんな本音を言ってしまえば瞬く間に魂を取られてしまうだろう。だからずっと耐え続けてきたのだ。
そんな彼には野望があった。彼は根っからのM気質で、「可愛い女の子に食べられたい」と毎日思っていた。そんな望みなど叶うわけがないとは分かっていたが、それでも彼は希望を捨てきれなかった。口や喉で包まれ、胃で溶かされて安らかに逝ってしまいたいようだ。そんな彼の野望は誰にも届くはずはなく、今日も明日もずっと残飯処理をしている。
城から随分と離れたとある村の屋敷に一人の少女──と言えるか微妙だが、若者がいた。彼女はその屋敷の主に仕えているというよりは、その屋敷に奴隷として運ばれてきた内の一人だった。一緒に来た仲間は過労やストレスなどによって次々と倒れていき、とうとう彼女一人になってしまった。彼女はその屋敷の誰よりも、その村の誰よりも孤独を知っていた。それと同時に、誰よりも食に飢えているのだ。
彼女の野望は食を極めることだった。だがそんな事など叶うはずもなく、今日も明日もずっと奴隷として働いている。
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