テラーノベル
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「走って!」
美咲の声が聞こえる。
俺たちは人混みの中を走り続けた。
背後から足音。
一人じゃない。
何人いる?
分からない。
でも、追ってきている。
31番が俺の腕を引っ張る。
「こっち!」
細い路地に入る。
さらに曲がる。
建物の裏を抜ける。
ようやく足音が遠ざかった。
俺たちは物陰に隠れた。
息を切らしながら、俺は31番を見る。
「……話してくれ」
31番は黙っている。
「俺が狙われた理由」
「何なんだ」
31番は答えない。
俺はもう一度聞く。
「俺は何をした?」
31番が顔を上げる。
「何もしてない」
「じゃあ、なんで?」
「あなたのお父さん」
その言葉を聞いた瞬間。
心臓が止まりそうになった。
「……父さん?」
「あなたのお父さんが、昔――」
31番の言葉が止まる。
その時。
美咲が口元に指を当てた。
静かに。
誰かいる。
俺たちのいる路地の入口。
人影が一つ。
男だった。
俺たちを探している。
31番が震える。
「また……」
俺は男を見る。
その姿。
どこかで見た。
「……あいつ」
俺は思い出した。
病院。
母さんの病室の前。
あの男だ。
俺たちをずっと監視していた。
「お前は誰だ!」
俺が叫ぶ。
男がこちらを見る。
そして。
ゆっくり歩いてくる。
「神谷悠真」
俺の名前を知っている。
「お前の父親は――」
その瞬間。
男が突然、苦しそうに胸を押さえた。
#闇バイト
るしゅ
847
油味噌
17
2,331
翠
36
「……っ」
その場に膝をつく。
「え?」
俺たちは動けなかった。
男の手からスマホが落ちる。
画面には、一枚の写真。
古い写真だった。
俺は思わず近づく。
そこに写っていたのは。
若い頃の父さん。
その隣に。
見知らぬ男。
そして。
その男の胸元には――
**「蒼葉システム」**
の社員証。
「……父さん」
俺の声が震える。
父さんが。
蒼葉システムと関係していた?
「そんな……」
美咲が写真を見る。
「悠真」
「これ……」
俺は男を見る。
「お前は、父さんを知ってるのか?」
男は苦しそうに笑った。
「……知ってる」
「昔、一緒に仕事をしていた」
「何の仕事だ」
男は答えない。
ただ。
最後に一言だけ。
「お前の父親は」
「組織を作った人間じゃない」
俺は息を止める。
「なら……」
男が俺を見る。
「組織を止めようとした人間だ」
その言葉に、頭が真っ白になる。
父さんが?
そんな話。
一度も聞いたことがない。
男はポケットから古い鍵を取り出した。
俺の手に握らせる。
「これを……」
「お前の父親に返してくれ」
俺は鍵を見る。
数字が刻まれている。
**204**
同じ数字。
「……どういうことだ」
男は答えなかった。
そのまま目を閉じる。
「おい!」
俺が肩を揺らす。
反応がない。
美咲が男の首元を確認する。
「……生きてる」
でも。
その顔を見た瞬間。
俺は気づいた。
男のポケットから、紙が落ちている。
拾い上げる。
そこには。
俺の名前。
そして。
一行だけ。
**『神谷悠真は、二人目の候補』**
俺は紙を握りしめた。
二人目。
じゃあ。
一人目は誰だ?
(第四十二話へ続く)
コメント
1件
読んだわ。 いやー、第41話、めっちゃ熱かった! 「選ばれた理由」ってまさか父親が組織と関係してて、しかも「止めようとした人間」だったとは。 途中の美咲の「走って!」から始まる追跡シーンも手に汗握ったし、最後の「二人目の候補」って紙、もう完全に次回が気になるやつじゃん! るしゅさんのこの“情報の出し方”、絶妙すぎる。続き待ってる🔥