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悔しくて手に力が入った。
それを航太は優しく包み込む。
「失敗せずに生きてきたやつなんているのか? そんなやついたら、人生相当イージーモードだな。まさかチートか?」
「先輩も失敗したことある?」
「俺なんて失敗続きだよ。今日だって別にリカちゃんに告白するつもりなかったのにあいつのせいで告白しちまった。失敗したわー」
「失敗だったの?」
「返事貰えてない時点で失敗確定じゃん。当事者が何言ってんだよ」
「あ、そっか」
「でもいいんだ。今こうして一緒に酒を飲んでるんだから。楽しいな」
ニカッと笑う航太はやはり眩しくて、リカはまた胸が締めつけられる。
リカも航太みたいにポジティブに考えることができたらどんなにいいことだろう。
リカは新しくチューハイを開ける。
グビグビと一気に流し込むとアルコールが程よく回っていい気持ちになった。
ポツリ、とリカが呟く。
「私ね、高校生のときに友達に紹介されてあいつとシたんだ。その時はね、何歳で処女を捨てるかって話題で盛り上がっちゃって。それで流されるまま……」
「うん……」
「すごく痛くてつらくて。でも友達との関係も拗らせたくなかったから、よかったフリして過ごして。でもすごく後悔してて……。ちゃんと好きになった人とそういうことしたんだけど、どうしてもあの時のことが頭から離れなくて全然上手くいかなくて……。バカだよね、私。……なんでこんな話しちゃったんだろ。ごめんね、先輩」
リカは淡々と語ったのち、申し訳なさそうに僅かに微笑んだ。
なぜ話そうと思ったのかはわからない。
別に航太に聞いて欲しかったわけじゃない。
アルコールが回って脳がバグを起こしたとしか思えなかった。