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ruruha
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あおい
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雛
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第十一話 変わり始めた距離
「変化は、いつも本人より先に、周りの誰かが気づく。」
夏休みが始まった。
蝉の声が朝から響き、街は夏の色に染まっていた。
学校がない日。
それでも四人の連絡は途切れなかった。
くだらない話。
宿題の愚痴。
夏休みにどこへ行くか。
そんな何気ないやり取り。
湊にとって、
それは今まで知らなかった時間だった。
*
夏休み最初の日。
四人は駅前に集まっていた。
「今日は映画!」
美桜が楽しそうに言う。
「その後、カフェ行こう。」
「予定完璧じゃん。」
蓮が笑う。
「美桜って遊ぶ時だけ計画力すごいよな。」
「失礼。」
「褒めてる。」
いつもの会話。
でも、蓮は少し離れた場所から二人を見る。
湊と紬。
並んで歩く二人。
会話の数は多くない。
でも、自然だった。
無理していない。
蓮は少し笑う。
「……そっか。」
小さく呟く。
美桜が気づいた。
「何?」
「いや。」
「神崎と朝比奈。」
「仲良いよな。」
美桜は少し考える。
「うん。」
「でも、まだ本人たちは気づいてなさそう。」
蓮は笑った。
「だよな。」
*
映画館。
上映前。
ポップコーンを買っていると、
紬が財布を落とした。
「あ。」
湊がすぐ拾う。
「ありがとう。」
「気をつけて。」
「うん。」
その短いやり取り。
ただそれだけ。
でも、蓮は見ていた。
湊が以前とは変わったこと。
誰かを気にかけるようになったこと。
そして――
紬が、そんな湊の隣で安心していること。
*
映画の後。
四人はカフェへ向かった。
窓際の席。
夏の日差しが差し込む。
「夏休み、何する?」
美桜が聞く。
「海行きたい!」
「暑い。」
蓮が即答する。
「夏なんだからいいじゃん。」
「俺、暑いの苦手。」
「意外。」
紬が笑う。
「蓮くん、何でも大丈夫そうなのに。」
「俺だって苦手なものあるよ。」
「例えば?」
少し考えて。
「……幽霊。」
数秒の沈黙。
そして。
「え?」
全員が笑った。
「そこ!?」
「意外すぎる!」
蓮も笑う。
こういう時間が好きだった。
四人で笑える時間。
*
帰り道。
駅で別れる前。
蓮は湊と二人になった。
「神崎。」
「ん?」
少し迷ってから言う。
「最近、変わったな。」
湊は首をかしげる。
「そう?」
「うん。」
「前より笑うようになった。」
湊は少し黙る。
そして、小さく笑った。
「……そうかも。」
蓮は嬉しそうに頷く。
「いいことじゃん。」
「朝比奈のおかげ?」
その名前を聞いて、湊は少し考える。
「分からない。」
「でも。」
「紬といると、知らない自分になる気がする。」
蓮は何も言わなかった。
ただ笑った。
「それなら、大事にしろよ。」
湊を見る。
「そういう人、なかなかいないから。」
湊は返事をしなかった。
でも、その言葉は心に残った。
*
夜。
湊は今日撮った写真を見る。
映画館の外。
カフェの窓。
笑う三人。
そして、最後に撮った一枚。
夕暮れの駅前。
四人の影が伸びている写真。
湊は画面を見つめる。
写真に写っているのは影だけ。
でも。
そこには確かに、今の四人がいた。
📷 Photo.011『伸びた四つの影』
撮影日:7月27日
影は少しずつ伸びていく。
気づかないうちに、
僕たちの距離も変わっていた。
コメント
4件
ほんとですか!? 共感してくださってありがとうございます! そうなんですよ! 写真だからこそ意味があると思うんですよね! 目で見て心で感じるだけでもいいはずなのに、 あえてその写真を撮るってことは、 もしかしたら湊にとって永遠に残したいもので、永遠に見ていたいものなのかもですね! みなさんの時間をもらうものだからこそ、 どうせ読んでもらうなら最高なもの読んで欲しいじゃないですか! だから色々試行錯誤しながら頑張ってます!🤭 初めてなんですよー! ほんとですか?ならよかったですー! ありがとうございます! なら私も頑張って書きまくりますねー!
第11話、読み終えたよ! 夏休みに入って、自然と変わっていく四人の距離感がすごく丁寧に描かれてて、じわじわくる話だったわ。 特に蓮が湊と紬の変化を先に見抜いて、それで「大事にしろよ」って言うシーン、グッときたな…湊の「紬といると知らない自分になる」ってセリフも良かった。 最後の写真、影だけど確かにそこに四人がいるって表現、すごく好き。 M.Sさんの書く青春もの、心の機微が細やかで本当に刺さる🔥