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第三章 はぐれ者編
第八話「気づき」
荒れ果てた路地。
黒のユーマとザッドが向かい合う。
「行くぞ!」
ユーマは能力『夢』を発動。
空中に数本の剣を創り出し、一斉に放つ。
ザッドは最小限の動きで全てを斬り落とした。
「甘い。」
一瞬で距離を詰める。
キィン!!
剣と剣がぶつかる。
ユーマは後ろへ飛び退く。
「速い……!」
ザッドは静かにユーマを見つめる。
「その能力。」
「どこか懐かしい。」
ユーマは再び剣を創り出す。
今度は壁を生成し、その影へ潜り込む。
ザッドは壁を一刀両断した。
「能力だけではない。」
「その戦い方……。」
胸に小さな痛みが走る。
「……何だ。」
頭の奥で、誰かの姿が一瞬だけ浮かぶ。
黒いコート。
一本の刀。
だが、次の瞬間には消えていた。
「思い出せない……。」
虚飾に蘇らせられた時。
ザッドの記憶は消されていた。
古流斬との戦い。
仲間との記憶。
自分が何のために戦ったのか。
その全てが失われていた。
それでも。
「何かが……。」
「引っかかる。」
ザッドは無意識に呟く。
ユーマはその隙を逃さない。
「今だ!」
無数の槍を創造し、一斉に放つ。
ザッドは跳び上がり全てを回避。
着地すると静かに笑った。
「面白い能力だ。」
「私に少し似ている。」
ユーマは首を傾げる。
「似てる?」
「ああ。」
「武器を自在に扱う戦い方。」
「どこか……懐かしい。」
しかし、その”誰か”だけは思い出せない。
「私は……。」
「誰と戦った?」
「誰を知っていた?」
記憶は霧の中へ消えていく。
ユーマは剣を構え直した。
「考え事してる暇はない!」
ザッドも静かに構える。
「そうだな。」
「今は戦いに集中しよう。」
二人は同時に地面を蹴る。
新たな激突が始まった。
――第九話へ続く。
コメント
1件
みぅです🤍🥀 第56話、読み終えました…。 ザッドの「思い出せない」っていう、胸の奥がぎゅっとなるような感覚、すごく伝わってきました。消された記憶の断片が、戦いの中でちらつくの、切ないですね。ユーマの『夢』の能力も、どんどん多彩になっててワクワクします。 二人の好敵手感が、この先どう変わっていくのか…続きが気になります。次も静かに読みに来ますね🌙