テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
空には星。
あの日と同じように、無数に。
「なんで……消えないんだよ」
思わず声が漏れる。
何もかも変わったのに、星だけが変わらない。
それが、どうしようもなく苦しかった。
旋律は静かに続いている。
彼の中で、止まることなく。
第七話:Var. VI—微かな再生
最初に音を出したのは、ほんの偶然だった。
指が、無意識に鍵盤に触れた。
弱く、小さな音。
それは旋律ですらなかった。
ただの一音。
だが彼は、手を離さなかった。
もう一音。
そして、また一音。
「……違う」
以前のように弾こうとしない。
うまく弾こうとも思わない。
ただ、音を置いていく。
すると不思議なことに、
旋律が“戻ってくる”。
ド、ド、ソ、ソ――
だがそれは、以前とは違う。
遅く、不完全で、揺れている。
それでも確かに“あの曲”だった。
「……いいのか、これで」
誰に向けたわけでもない問い。
答えはない。
だが、音は続いた。
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
522
439