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(佐久間視点)
俺は1人、深澤と一緒に公園のベンチに腰掛けてた。
なんで1人かって?
しょうがないじゃん。
だって、舘さんと蓮はもともと仕事だし、康二とラウは急遽仕事入っちゃったし…
ピロンッ!
スマホに小さくバイブが鳴る。
阿部ちゃんからかな?
隣で俺に肩を抱かれて俯いてる深澤の顔を見る。
………こいつも、そろそろ限界だな。
悪いことしちまったかな。
1人にするなって言われたから強引に抑えてたけど、こいつにとってはストレスだったか…?
「深澤、大丈夫か?」
離さないって掴んでいた手を背中に回す。
俺の手の感触に気付いてないのか、俯いた顔を上げようともしない。
でも、あの貼り付けの笑顔は無くなってた。
むしろ、こっちの方が“本物“みたいだ。
俺は、少し強めの力で深澤の背中を叩く。
「……うっ!?」
「よーしわかった!!!」
俺は勢いよく立ち上がる。
急な衝撃に目を見開く深澤に笑顔を向けて、俺は深澤の後ろに視線を映す。
「あとは、“そっち“がお前の相手してくれるってよ。」
「……へ…?」
深澤が驚いたように情けない面を上げる。
ゆっくり、顔を後ろに振り返る。
「……ひ、かる…?」
もちろん、後ろに立ってたのはやることを終えて帰ってきた阿部ちゃん、翔太、照。
「さてさて!阿部ちゃん、翔太〜、おっちー!か〜えろ!」
あとは、照に任せるべきじゃん?
(深澤視点)
なんで、ここにいるの、?
どういうこと?
なんで阿部ちゃん、翔太はいるの?
いや、違う違う違う違う…!!
気にするとこはそこじゃない!!
3人が来た方向……
倉庫、だ……
今日は、あいつに呼ばれてた。
いつもなら遅れた時には夥しい量の連絡が来る。
でも、今日は全く来なかった。
つまり、あいつの方に何かがあった。
そして、佐久間は頑なに俺を離そうとしなかった。
なんで、照たちは倉庫の方から来たの…?
一気に、体温が下がっていく感覚がする。
………全部、バレた……?
照たちに…?
必死に、必死に守ってたのに?
倉庫で何してきたの?
一体、なにが………!?
「……行くぞ。ついてこい。」
「は……?」
何、言ってんの?
顔の前に、照の大きな手が差し伸べられる。
……どこに連れてくつもりなの?
………助けて…
小さく胸の中に声が響く。
これは、確か…
あの日に聞いた声、まだ残ってた消したい感情。
壊れた子供みたいに泣き叫んでた“俺“の声。
なんで、今更聞こえてくるんだよ。
なんで、今更戻ってきてんだよ!!!
「ほら。」
思考を遮るように、照が腕を掴んできた。
強い力で、少し乱暴に。
でも、久しぶりな感じがする。
………あったかいな…
照に連れてこられた場所は、誰もいない静かな場所。
連れてこられたものの、照は、問い詰めるのも、責めることだってしない。
ただ、俺が口を開くまで待ってくれてる。
やめて……
そんなことされたら、もう……
“ふっか“じゃ、いられなくなっちゃうじゃんか……
いや、いや……
なんで、ここまでしてきたのをこんなすぐに終わらせようとしてるの?
大丈夫だよ。
まだ、いけんだろ?
「ねえ、照。急にどうしたの?」
まだ、笑えるでしょ?ね?
でも、手の震えが止まってない。
それでも、それでもまだ“ふっか“でいないと…!
「俺、元気だよ?みんな、変じゃない?わら」
「………“辰哉“。」
「……ぇ?」
何、なんで名前……?
今まで、名前呼ぶなんてなかったのに…
でも、“俺“ の名前を呼ぶ声は、ひどく低くて優しかった。
「もう、嘘なんてつかなくていいよ。俺の前では、もういいからさ。」
その言葉が、隠してたはずの“俺“の胸に染み込んでいく。
だめだよ……やめてよ……
「……っ…な、んで…っ…!なんで…そんな、必死に……っなるの……っ!?」
もう、隠せなくなっちゃうじゃん…!!
「お前が、辰哉が大事だからだよ。」
「………っ」
なんだよ、それ……
大事……
“俺“、……俺が大事って……
それだよ。
俺は、俺はずっとそれが欲しかったんだよ。
どうしよ、目が熱い……
なんだろ?これ?
おかしいなぁ……
涙、止まんないよ……
「……いいよ、おいで。」
俺は、照に促されるままに大きな腕の中に飛び込んで泣き喚く。
「……うああああっ!!!!」
久しぶりな感覚に、もうストップが効かない。
泣いてなかった分が、今身体にきてる。
でも、照はこんな俺をめんどくさそうにしないで、こんな俺を受け入れてくれてる。
「照、俺さ… わかんなくなっちゃってさ…多分、知ってるとは思うけど…俺、あのスタッフさんと、ね……」
「うん。」
「俺、ずっと…その、枕……」
「うん。」
「それを続けてくうちに、疲れちゃってさ……そこから、急に頭が切り替わった気がして……」
「うん…」
「そこから、もう俺がわかんなくなって、だったら、もういいかなって。もう、俺なんて隠して…“ふっか“と“深澤くん“でいればいいって……」
「うん…」
照は、ずっと俺の話を静かに聞いてくれてる。
それが、俺にはちょうどいい距離感だった。
攻め込まれすぎずに、でも俺を離さない。
それが、すごいありがたかった。
「頑張って笑ってたけど、俺は、ずっと助けて欲しくて…でも、あの人が…俺が言ったら、他のみんなを巻き込むって……」
「………それが、お前を縛り付けてたんだな。」
「……うん…いつの間にか、もう何も思わなくなっちゃってね。」
「……ありがとね、話してくれて。ありがとう。」
照の優しくて温かい手が俺の頭を撫でる。
それだけで、また涙がこぼれそうになる。
「頑張ったな、辰哉。」
「………うっ…ひか…っ…照…!!」
ずっと無視し続けた助けを求めてた俺。
ごめんね、今まで隠してて。
もう、大丈夫だよ。
照が、みんながいてくれるから…
もう、本当に大丈夫なんだよ。
(阿部視点)
あの倉庫の日から3日、急にふっかから呼び出しされた。
それも、撮影とか関係なしに、全員揃ってね。
「お待たせ〜!呼び出しなんて珍しいじゃ〜ん?」
佐久間と一緒に呼び出された場所の扉を開ける。
佐久間の大きい声が部屋中に響き渡る。
みんなはもういるみたいで、静かな空気が流れてた。
「佐久間、ちょっとミスったんじゃない?」
「にゃははぁ…そうかも?」
佐久間を軽くこづいて、俺らも部屋の中に入ってく。
呼び出した本人は、照の隣で静かに目を閉じていたけど、真っ直ぐに顔を上げてた。
そこには、貼り付けの笑顔でも、苦しんでる顔もなかった。
照は、ふっかの隣で、しっかりと手を握ってる。
ふっかは静かに目を開けて、俺らの顔を見渡す。
そして、口を開いて少し力なさげに微笑んだ。
「みんな、今日はありがとね。」
取り繕ってない、自然なふっかの声色、表情。
それを見れば、ふっかが戻ってきたんだなっていうのがわかる。
照、救えたんだね。
「今日、みんなのことを呼んだのは、話したいことがあってさ。」
静かに響いたふっかの言葉。
佐久間の口から、あ、って小さな声が漏れた。
佐久間、ふっかの口から直接聞きたいって言ってたよね。
俺らは、静かにふっかの言葉を待つ。
「気付いてる人もいると思うけど……」
ふっかは、一呼吸おいて話し始めた。
「ごめん。俺は、ずっとみんなに嘘ついてた。」
情けなく笑いながら、姿勢正しく座ってた足であぐらをかく。
「全部、演技だったんだよ。ただ笑ってたけど、ほんとは何も思ってなかったんだ。」
ぽつりぽつり言葉を紡ぐふっかの声は、すごく震えてた。
それでも、ふっかは最後まで話してくれた。
隣にいる照に支えられながら、泣きそうになるのを抑えながら。
ふっかから聞いた話は、俺の想像を絶するものだった。
「……頑張った、ね。」
自然と口から溢れた言葉。
俺の言葉で、みんなの糸が切れたみたい。
「ふっかさ〜〜〜ん!!!!!!!!」
「おまえ、お前ーー!!!」
真っ先に康二と佐久間がふっかに抱きつきにいく。
その後も、バラバラに立ったり座ったりしてたメンバーがふっかを囲むように集まってく。
「…………みんな…ありがと…ありがとう……っ…!」
ふっかは、抑えてた涙をこぼす。
ずっと、抑えてたんだね。
「ふっか、頑張ったね。」
もう1回、俺はふっかに優しく笑いかけた。
コメント
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みぅ🤍🥀です。 第11話、読み終わりました……。 深澤くんの心が壊れる寸前で、照くんが「辰哉」って名前を呼んだところ、本当にぐっときました。今まで必死に“ふっか”を演じてたのに、大切にされることでやっと本音を出せたのが切なくて、でも温かくて。 照くんがただ待って、受け止めてくれる大人な対応がかっこよすぎた……。そしてラスト、みんなに囲まれて涙する深澤くんを見て、私も泣きそうになりました。救われてよかったね、って心から思える話でした🥀🤍
junp
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