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#恋愛
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『りえちゃんやトオル君も、君の事を心配していたよ、君と最近めっきり連絡のやり取りをしてないって、だから心配になったんだ、あんなに仲良かったのに』
そう聞かされてなぜ信二が電話をかけて来たか、なんとなく理解できた
リエちゃんとトオル君は、いわゆる「カップル友達」だった、トオル君は信二の親友で、りえちゃんはその彼女、信二と付き合っている時は。4人でよくスキーやバーベキューなどをして遊んだものだ
しかし信二と別れた後、藤子は彼らとの関係ともうまく行かなくなった、それはやはり彼らは「信二」の友達だからだ、信二と別れてから「りえちゃん」とも何度かお茶をしたが、やはり会話の内容には信二が今、北海道でどうしているとかの話になるし、あきらかにりえちゃんは信二のために、藤子に北海道に行って欲しそうだった
そんな彼らを藤子は息苦しく感じ、当然の様に疎遠にしてしまっていた
『彼らは君が仕事で無理していないか、心配していたよ』
信二が思いやり深い声で言った
「心配してくれてありがとう、無理なんか全然していないわ」
『それに彼らがどれほどお節介だったか君も覚えているはずだよね?りえちゃんなんか、君が誰かと付き合っていて辛い恋をしているんじゃないかって―』
彼はあくまでさりげなく、ごく軽い冗談めかした言い方をしたが、藤子はその奥に余計な探りを入れている気配を察した
『僕と付き合っていた時の様に・・・ちゃんと笑えているのかって―』
「もし私が友人に一年も昔の元彼のことを聞かれたら、余計な詮索はしないほうがいいと彼らを諭すわ」
『もちろんだ』
しばらく沈黙が続いた
『もし、りえちゃんとトオル君が君に会いたいって言ったら・・・』
フンッと藤子が鼻を鳴らしたのを、信二も聞き取ったはずだ
「信二・・・もやめましょう、こんな話、私は彼らに会うつもりも無いし、あなたにも会うつもりは無いわ、こんな風に話していても無駄な時間を過ごしているだけ、そうね・・・でも・・・後悔していることは一つあるわ」
『それは何?』
信二がゴクンと唾を飲む音が聞こえた、藤子は今こそ信二に告げるべき言葉を言った
「一年前にこの言葉をちゃんと言うべきだったわ、さようなら信二」
藤子は通話を切った、そして大きく深呼吸をして信二の電話番号を削除した、ついでに「りえちゃん」と「トオル君」の番号も削除した
・.。. .。.:・
『今夜は、竜ちゃんのご両親の命日なんだ、毎年のことなんだけど、僕の家族と墓参りに行って、夕食を取って、竜ちゃんのご両親が交通事故に遭った日に、竜ちゃんが一人で過ごすことがないようにね・・・だから今夜はそっちに行けないけど、食事が終わったら電話してもいいかな?』
花の金曜日の夜・・・藤子はスマートフォンを握りしめ、うなずきながら文也に言った
「もちろんよ」
今夜は一人で過ごすのも悪くない、なんせ韓国から帰ってから、彼は毎日のように藤子の家に来ていたからだ
「今夜はあなたのご家族と過ごして、そんな日も大切よ、明日うちに来ればいいわ」
詳しくは聞いていないが、メビウスの社長「松下竜馬」はご両親を高校生の時に亡くしたそうだ、従兄弟と言えども、文也にしたら彼は兄のような存在なんだろう
『僕がいないから、今夜は羽を伸ばそうと思っているんだろう?』
「あら、どうしてわかったの?」
クスクス笑いながら、彼がいないベッドで今夜一人で過ごすのは寂しいだろうなと思った、でも考えることは沢山ある
「あなたのバカ高い腕時計と、汗拭きシート忘れているわよ」
『実は人質にわざと置いてるんだ、時計はいらないけど汗拭きシートだけは返してほしい、サラリーマンの真夏の長袖ワイシャツは、脇汗が地獄の事情を2時間ぐらいかけて、今度聞かせてあげる』
クスクス・・「それは壮大な物語ね」
『続編もあるよ』
彼のからかうような低い声が大好きだ・・・彼の電話の声は普段よりワントーン低くなる・・・それがたまらなくセクシーに聞こえる、男性の声を好きだと思ったのも初めてだった
藤子は思った、自分は完全に文也に色ボケしている・・・たとえ彼があの筋肉モリモリの体でバニーガールの格好でウサギのカチューシャを頭に付けていても、素敵だと思うだろう、結局の所、恋は盲目で、彼が何をしても涎を垂らすのだろう、恋とはそういうものだ
それから暫く彼の冗談攻撃に、藤子はお腹が痛くなるまで笑って、目に涙を溜めながら、電話を切る際にスマホの画面に外国人のように音を立ててキスをした
リビングのテーブルに置いてあるオーデマ・ピゲの彼の腕時計を手に取ってみる・・・スポーティ腕時計の最高峰のシルバーのいかつい腕時計は、彼の存在感そのものだった
夕べ彼がこれを外してベッドに飛び込んで来てから、夜中彼が帰るまで記憶がなかった様な気がする。今夜は特に自炊もする気がなかったので、中華を一人夕食にウーバーして義務的に食べ、オフィススーツを脱ぎ、シャワーを浴び、Tシャツと下はピンクのショートパンツに着替えた、そして韓国で購入した、とっておきのアロマパックを顔に貼り付け、ソファーに落ち着いた
茶々丸と歌麻呂をおなかの上に乗せ、母から来ているLINEメッセージの画面を見る、今回のお盆休みは和歌山の実家に帰省するのかどうか知りたいらしい
ふと文也を連れて帰ることを頭の中で想像した・・・きっと両親や親戚一同に質問攻めに合うだろう、思わずゾッとしてやっぱり却下と頭を振る
しかし・・・おばあちゃんのみかん畑の収穫を、彼なら楽々手伝えそうだなとも思ったら楽しくなった
みかんを育てるのがとても上手なおばあちゃん・・・しかし年々歳をとるごとに、収穫が大変だとぼやいている、思わず長ぐつに黒Tシャツ、両肩にみかん箱を抱える文也を想像した、あまりにもピッタリ似合い過ぎて、藤子はしばらく一人でお腹を抱えて笑った
でもメビウスのお坊ちゃまにそんなことをさせられる訳はない、藤子の人生で、これほどセックスライフが充実している時はいままでなかった
正直な話、文也とのこの三週間の方が、信二と付き合っていた二年よりも多くの愛を交わした
しかも、それはどっちか一方が欲情して、それにどっちかが義務として答えるというものではなく、お互いを思いやって、同時に二人が燃え上がり、同時に絶頂の瞬間を迎える、素晴らしいものだった
彼は藤子の身体を隅から隅まで探検する、飽くなき冒険者だった、藤子の体の部位で彼に舐められていない所はもうおそらくないだろう
この間も罰ゲームだと言って、彼が藤子の足の指を一本ずつ舐め出したときは、笑いの発作で過呼吸になりかけた
自分は完璧に彼のものだ、藤子は連日の仕事と疲れ知らずの若い彼の相手とでたしかに、感じたことのない疲労はあったが、気分はサイコーだった、彼に満たされ、まるで高級エステを受けた後みたいに、女性ホルモンは活性化し、お肌は艶々になった
明日も彼とここで過ごす事を考えていた・・・彼が美味しいお料理を作ってくれて、映画配信サイトで観る映画を二人で決める
藤子はロマンティックな恋愛映画が好きで、彼はとにかく人が沢山死ぬ、アクション映画でないと映画じゃないと言いはった、なので二人は変わりばんこにお互いの好きな映画を観た
そこで思い出してまた藤子はクスクス笑った、どっちみちどの映画を観ても、途中で激しく愛し合うものだから、決まってどの映画も最後まで見れないのだ
そろそろ眠ろうかと思った時、玄関のチャイムが鳴った、また藤子は笑った
―もうっ!文也君!今夜は来ないでと言ったのに、しょうがない子!―
・.。. .。.:・
そんなことを考えながらリビングを通り過ぎ、あの可愛らしい年下の彼の筋肉と、えくぼを目にするつもりで、玄関をあけた
ガチャッ!
「北海道からサプラーーーーイズ!」
藤子は思わず驚いて声をあげた
「信二!!!」
コメント
1件
あら、これはまさかの展開ですね…!前の彼氏との電話で綺麗に区切りをつけた直後、まさかのサプライズ訪問。藤子さんが完全に心を決めて「さようなら」と言った後の、あの玄関のシーンは鳥肌が立ちました。しかも文也くんとの甘い日常が描かれた後だからこそ、その対比が際立ってますね。次が気になりすぎます!