テラーノベル
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「頭を使って糖分を消費しただろ。だから3時のおやつは、きっちり甘い路線だ」
今度は、ホットケーキかな。
色が茶色くて、中にちょっとピーナツっぽいのが混じっている。
「ドングリのパンケーキだ。ドングリはナッツとしても使っているし、粉としても混じっている。ジャムはすもも。スーパーで熟しすぎて安くなっていたのを買って、ジャムにしてみた。バターと糖蜜も用意したから適当に食べてくれ。
ドリンクはタンポポの根のコーヒー。そのままではちょっと土の香りがするから、少し豆乳を混ぜてみた。なんなら適当に甘くしてみてくれ」
なるほど。
パンケーキは、焼いたばかりを持ってきたんだろう。
まだ温かい。
あまりパンケーキを食べた事はなのだけれど、この香ばしいのはドングリ効果だろうか。
「このピーナツみたいなのも、ドングリなのですか」
「ああ。スダジイの実。しっかり煎ってあるから、ちょい固めかも」
「美味しいです。ピーナツと栗の中間みたいな感じです」
まさに、美洋さんが言うとおりの味だ。
基本はピーナッツだけれど、ちょっと栗の甘みがある。
ドリンクは、言われなければ普通の味。
よーく味わってみると、確かに遠くに土の香りがしないでもない程度。
甘くないミロ、というのが正しいかな。
ちなみに、ベジョータさんは、糖蜜を入れてかき混ぜ、甘くしている。
「疲れた頭に、ちょうどいいのだ」
なるほど。
「去年はスダジイが不作で、マテバシイが豊作だったからさ。今年はスダジイが豊作になると思う。何故かドングリは、1年交替サイクルで豊作と不作になるらしいから。去年は3回採取して大量に採ったけれど、なんやかんやで今日のパンケーキで全部使い果たした。今年は、もっと採取して保存しておこうと思う」
「このパンケーキは、どれ位ドングリを入れているのですか」
「ホットケーキの粉の半分くらいかな。粉のデンプンが足りなくなったので、スダジイのナッツをすりつぶして使った」
その割合が多いのか少ないのか、僕にはわからない。
わかるのは、このパンケーキが確かに美味しいという事くらいだ。
「そういうレシピとかは、どうやって探すのですか」
「ネットに色々載っているぞ。食べられる野草とかも、調理方法なんかもさ。勿論、作ってみて失敗したのも色々あるけれどな。例えば、シイ以外のドングリで餅を作ってみたら、青臭いし渋いしで食べられない代物になった。アク抜きが上手く行かなかったんだな。そういう挑戦も含めて、楽しいお遊びという事で」
未亜さんは、頷きつつ、疑問を挟む。
「ただ、ドングリの殻を剥くのは、どうするのですか。大変だと思うのですよ」
先輩は、そこでにやりと笑う。
「それに対する、ちょうどいい四文字熟語があってな。何だと思う」
何だろう。
「人海戦術、夜鍋仕事。皆で、黙々とやるだけだ」
何か、微妙に辛そうだ。
「女工哀史、まではいかないのですか」
未亜さんが、とんでもない四文字熟語? を出してくる。
「軽く熱を通せば殻が割れるからさ。簡単ではあるんだ。数が多いだけで」
そういう事か。