『では、これから第二審査を始めます。ダンス又は歌、もしくはその両方、自分が選曲したものを披露して下さい。』
 
 
 
 
 第二審査が始まった
 昨日とは打って変わって、審査員の目付きが変わり、穏やかな空気などひとつも無い。
 これからを共に歩んでいくメンバーを見つけるのだから、厳しい眼差しで見るのは当然だろう
 
 会場内には
 
 歌だけを披露する者
 ダンスだけを披露する者
 そして両方を披露する者がいる。
 
 
 
 応募した者のこのオーディションにかけてる思いが、審査を通して痛いほどに感じた。
 
 
 
 
 『では続いて6番の吉田くん、お願いします』
 
 
 
 はい。
 
 「仁人選曲どーすんの?」
 
 「迷ってる…別にM!LKだけじゃなくてもいいらしいから」
 
 「そうらしいよね。仁人らしさが出る曲何かねぇの?」
 
 「俺らしさ?」
 
 「うん。まぁ、お前らしさっていっても、踊った曲大体全部お前らしさになるんだけど笑」
 
 「俺らしさって…なに」
 
 「ん〜なんて言うんだろ…歌詞から出る感情がそのまま乗る?みたいな。まぁ悪い癖じゃないし、仁人のいい所だから」
 
 「ん〜…まぁ、とりあえず1回聴きながら探すわ」
 
 「決まったら教えて」
 
 
 
 
 
 俺らしさ…
 そこまで気にしたことがなかった
 
 
 
 自分らしさ,,,自分の癖,,
 
 
 
 
 でも、1曲だけ、、踊りたい曲がある。
 
 
 
 「永遠〜、決まった」
 
 「何?」
 
 
 BUDDiiSさんの"Lack"
 
 
 「あーよく歌ってたやつだな笑」
 
 「好きなんだよね歌詞が…あとピアノの音が」
 
 
 あとは
 
 M!LKさんの"topaz"
 
 「おぉ、これは?」
 
 「なんか曲聴いた時に、得意かもって思ったから。」
 
 「あ〜あ、確かに笑得意そうだな、いいじゃん。そんで最後はどうすんの?」
 
 最後は、、
 
 
 
 
僕が選曲したものは、
 M!LKさんで"topaz"です
 
 
 『おー、僕たちの曲なんだね。吉田くんはダンスだけ…かな?』
 
 
 はい…。
 
 
 『それでは、お願いします。』
 
 
 
 会場にいるみんなが注目する
 
 
 
 曲がかかるとともに体内のスイッチが入れ替わった
 
 緊張なんてものはなくなって、
 
 ただこの曲を、この歌詞を感じて
 
 それを音に乗せるだけ
 
 たった数十秒の中に最大限俺の良さを入れて
 
 この曲を審査員に届けた
 
 
 
 
毅「仁人ってさ、本気になったとき途端にスイッチが変わるよな」
 
 仁「は?」
 
 毅「いや、直前まで不安そーな雰囲気全面に出てるのに、いざ始まれば不安なんてひとつも無いような顔になるじゃん」
 
 仁「そう?まぁでも確かに不安は無くなってるかも…?」
 
 毅「なんか、"あ、こいつ今マジだわ"ってわかんだよね。なんて言うんだろうな、、なんか…一瞬にして惹き込まれる。歌ってる時の表情っていうか表現」
 
 仁「ん〜、まぁよくわかんないけど。俺はただ、この曲を聴いてる人に届けたいっていう一心で歌ってる」
 
 
 
 
 
 塩﨑太智side
 
 吉田仁人…くん、ねぇ。
 誰とも会話せず一人でいる感じか…
 変に独特な雰囲気を纏って、凄く不安を感じてそうというのが第一印象。
 
 アイドルである以上、ファンの人を幸せにするのは当たり前で
 自分の不安が全面に出ているようじゃ、アイドルにはなれない。
 
 第二審査でも、それは相変わらずで第一審査よりも緊張が伝わった
 
 
 
 
 「選曲したものはM!LKさんで"topaz"です」
 
 
 へぇ…
 今回のこのオーディションは、EBiDANの曲であれば、別にM!LKの曲じゃなくてもいい。
 それでもM!LKを選んでくるということはなかなかに勇気があると思った。
 
 
 
 『それでは、お願いします』
 
 
 
 曲がかかった瞬間
 彼の顔つきが変わった
 
 今まで不安そうな顔をしていたのが
 まるで嘘だったかのように
 
 そんな彼の踊りはどこか他とは違った
 
 この曲の歌詞がそのままダンスに乗っているかのような…
 
 
 そう感じたのは俺だけではなかったらしい
 みんながこんなにも彼を真剣にみている
 
 
 
 
 それは、
 
 
 
 
 「審査」と言うよりも
 「鑑賞」に近しかった
 
 
 
 
 
 
 気づけば曲が終わり、いつもの彼へと戻った
 
 
 
 
 
 へぇ笑
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 俺が思ったことはただ1つ
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 彼は"天才"だ____.
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さすがよっしー