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そして、また今日も人を殺す。
自分の話をしていてすっかり忘れていたが、私の横には友人がいる。日外阿宇という。
今日阿宇を殺す。やっぱり人を殺すのは少し抵抗がある。しかも友人だ。でも友人も言い方を変えるなら他人。阿宇もまだ死にたくないだろうが、ここは自分の考えを優先したい。
阿宇に睡眠薬の入った薬を渡した。阿宇は何の抵抗もなく、美味しそうに飲み干した。私はそれを見て次の作戦の準備を始めた。睡眠薬の効果が出始めた頃に、阿宇を車に乗せ、車も走らせた。阿宇の家の駐車場に車を停め、バックから鍵を取り出し家の中に入った。そこまでは順調だった。
家に入ったら男が1人居たのだ。そういえば最近彼氏ができたと喜んでいた。
私としたことがこんなミスをするのは初めてだ。家に彼氏がいるなんて。顔から血の気が引いていくのが自分でも分かった。
「どなたですか?」
男は少し警戒しながら尋ねてきた。
「えっと…私の家に遊びに来たんですけど、途中で寝ちゃったので連れてきたんです。」
苦し紛れにそう言った。
それを聞いて男は安心したのか
「あぁ、そうなんですね!わざわざありがとうございます!」と言った。
私は阿宇をベッドに寝かせると急ぎ足で家を出ていった。
こんなことは初めてだ。次こそは殺してやる。
そう思いながら。
翌日
新聞を見たら阿宇が殺されたことが分かった。記事を見ると心臓をナイフで一突きで即死、部屋から金目のものが無くなっていたので泥棒の仕業だと思われる、そう書いていた。
その瞬間私はゾッとした。もしも、私が見た男は彼氏ではなく、泥棒なら…。
私が家を出たとき阿宇はまだ寝ていたので殺すのは簡単だろう。犯人はまだ逃走中らしい。
犯人が賢いならきっと次は私を殺しにくるだろう。
私の後ろで人の気配がするのは気のせいだろうか。
本当は振り返えたくない。
でも私は、振り返った。