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※このお話を読むときのポイント💡
情景や、登場人物達を自分の自由に想像しながら物語を読むと、より楽しめますよ♪
第三章 謎の女性
「はぁ〜……」
「疲れた……」
などと、情けない声を出しながらベッドへダイブする僕
これぞ至福のひと時
そして、淹れたての温かいコーヒーを口にする
この習慣は勉強をするのには丁度いい
僕は数学の問題集を手に先ほどのことを思い出していた
あの人はいったい誰だったのだろうか?
そんないらない疑問が頭をよぎっては消えてなくなる
忘れようって言っていたのに
忘れるため僕はまたベッドへダイブ
ふかふかに干されたベッドは僕を包み込む
そして枕元に置いておいたスマホを覗く
そこには、先ほど帰路で清水に無理やり撮らされた自撮り写真が写っていた
清水は浴衣姿で橋の上ニカニカと満面の笑みを浮かべている
それに比べ僕は引きつった笑顔
ぎこちのない笑顔
あまり笑わないからこそこうなってしまう
だから写真なんて撮りたくなかった……
__写真の中で組まれた肩を眺めながら微笑む、
画面の向こうの僕
そんなことは言わなくてもいいだろう
清水は僕なんかより他の友達といてほしい
そんなふうに思ってしまうのは僕だけだろうか?
僕は他の子と違う
明るくもないし、話もしない
なんで清水はこんな僕にここまで笑える?
どうして肩を組める?
___考えても無駄だ
こんなこと精々勉強の邪魔になる感情なだけだ
僕はこの気持ちを振り払い、つらつらとペンを進める
___ポキッ
シャーペンの芯が折れた
普段はこんなことは絶対無いのに
___嫌な予感だ
もういい
集中も折れてしまった
もう寝よう
僕は暗い中ベッドへ潜り込み頭を抱える
そのまま深い眠りへと僕を連れて行く
「おやすみなさい」
___チュンチュンチュン
朝か…
僕はいつものように髪の寝癖を直し、ご飯を作る
僕には両親はいない
僕なんかに両親はいない
僕を捨てたんだ
ある日起きたら三人ともいなくなっていた
はは、馬鹿だな
本当に僕は馬鹿だ___
机に並ぶ4つの食器
机に並ぶ4つの椅子
ここでご飯を共にしたな…
懐かしい
こんなことを続けていたって帰ってくるはずもないのに
いつか__いつかって
ずっと信じてる自分がいる
憎い
どうせ裏切られるのは僕だ
この気持ちはいらない
これまでだって気持ちを断捨離してきたじゃないか
これだってできるはずだ
___できないや…
できるはずがない
僕はこれでも___
こんなでも両親を……妹を大好きに思っていたから……
そんな溢れ出てしまいそうな感情を押し込め
僕はスニーカーを履き扉を開けた
『お〜い!』
げ、なんでこんなときに会わなきゃいけないんだ…
『昨日は楽しかったな!』
『ありがとな!ニカッ』
ああ、眩しい
どうしてそんなにニコニコと楽しそうに、嬉しそうに笑える?
はぁ…、考えるだけ無駄だ
教室の扉を開ける僕の後ろでニコニコと笑って友達と話す清水
そうだ、それでいい
荷物を置き、椅子に腰掛ける
そして家から持ち出したお気に入りの小説を開く
1ページ1ページをしっかりと読んでいく
そうしたら登場人物の深い感情までわかる
これは得意技かも知れない
はぁ…、なんでこっちに来るんだよ
友達と話していろよ、清水
どうしてこちらへ来て興味深そうに小説を一緒に見ている
___まあ、いいか
なんて、甘えた気持ちが浮かび、面倒くさいから何も言わない
毎日のことだ
ガラガラ
先生が来た
[席に着けー]
着いてますって
そもそも動く意味がわからない
僕には話しかけに行く友達もいない
[今日は転校生が来るぞ〜]
は?
やめろよ、転校生なんて来たら絶対ここに来るじゃないか
ずっと僕の隣は空席だ
だからこそいつも静かに読書ができていた
サラッ…
わぁ…、綺麗な人…
赤茶色__いや、金髪に近い色の髪
例えるならば向日葵…たんぽぽのようだ
そんな見惚れるような髪をなびかせながら
教壇の前へ移動する彼女
そして口を開いて___
〈はじめまして!〉
〈私は、日比谷 夕華(ひびや ゆうか)です!〉
は??
どういうことだ、何が起きている?
あの声は……
昨日の女の人そっくりじゃないか
いやいや、違うかもしれない
ただの似てる人かもしれない
〈!!〉
〈君!昨日会ったよね!?〉
げ…、話しかけてくるなよ…
ほら、みんなこっちを見ている
羨ましそうな顔をするなよ
僕だって会いたくてあったわけじゃない
譲れるものなら譲りたかったよ
[お、なら丁度いい]
[早海の隣の席へ行きなさい]
〈はい!〉
やめろ、こっちに来るな…
〈昨日ぶりだね!〉
〈早海君って言うんだね!〉
やめろ、僕の名前を呼ぶなよ…
〈私は日比谷夕華!夕華って呼んで!〉
聞いたよ…さっき
そもそも僕が名前で呼べると思っているのか?
3年の付き合いの清水ですら名前で呼んだことは1度くらいしかない
なのに君を呼べると思うのか?
ましてやこんなキラキラ女性の名前など僕のような超陰キャが言ってしまったら周りの目より恐ろしいものはない
ただでさえ、知り合いってことでもう周りの目が痛いのに…
〈あ、ゆうちゃんとかでもいいよ!〉
だから…
あだ名なんて以ての外
無理だよ
なんて…ズバッと言えたらよかった
心のなかではなんとでも言える
〚夕華ちゃん!お話しよ〜!〛
ほら、そっちの女子生徒と話しておけよ
〈で、でも…〉
〚あ〜、そいつは大丈夫だよ!〛
〚1人が好きだから1人でいるだけ〛
〚なんの問題もないでしょ?〛
そうだ、僕は好んで一人でいる
一人は気楽でいい
何にも気を使わなくて済む
だからっ…
僕に話しかけないで……
___本当は、1人は嫌なくせに
___強がらないでよ
おい、誰だよ…
僕は1人がいいんだ
邪魔をするな
いや…これは僕の記憶…、?
思い出せない……
とても大事な誰かからの言葉だった……
君は…、誰だっけ……、??
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第四章 3人で
コメント
6件
ハート100まで押しといたよー!もちろん、面白いし気に入ったし、何よりも書き方が上手いから!