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『ビルドアップ・レゴリス』
「いい加減、現実を見なさい。いつまで子供みたいなこと言ってるの」
耳にタコができるほど聞かされた言葉が、放課後の夕道に虚しく響く。
17歳のハルは、道端に転がる変な形の石コロをポケットに仕舞い直しながら、小さくため息をついた。
ハルの目には、世界がもっとカラフルに見えていた。
路地裏の古い泥壁は怪獣の顔に見えたし、夕暮れの雲は巨大な戦艦に見えた。けれど、そんな「妄想」を口にするたび、同級生や大人たちは呆れたような、どこか冷ややかな視線を向けてくる。効率と現実、決められた規則。大人になるということは、胸のワクワクを捨てて「説明書通り」に生きることらしい。
自分はこの街で、ずっと浮いている。
自分の居場所なんてどこにもないのかもしれない——そう思っていた、その時だった。
空が、割れた。
「……え?」
前触れもなく、上空の空間がガラスのようにひび割れ、不気味な灰色の光線が街へと降り注いだ。
光が触れた場所から、色が消えていく。アスファルトも、街頭の看板も、鮮やかな街並みが一瞬にして無機質なコンクリートのような「灰色」へと侵食されていく。
『グレイズ……無価値ナ感情ヲ……消去スル……』
歪んだ空から這い出てきたのは、空間を浮遊する灰色の異形。
悲鳴を上げて逃げ惑う人々は、怪物の放つ波動を浴びるたび、表情を失い、動きを止め、置物のように静止していった。街全体が、まるで死んだように凍りついていく。
「逃げろ! ハル!」
通りかかった大人がハルの手を引こうとしたが、その手もまた、瞬く間に灰色に固まってしまった。
絶望と静寂が、街を支配する。
誰もが諦め、膝をつき、心を無にしていく中で——ハルだけが、踏みとどまっていた。
「なんで……なんでみんな、諦めちゃうんだよ……!」
ハルは溢れ出る涙を乱暴に袖で拭い、ギュッと両拳を握りしめた。
大人たちは「無駄だ」「現実は変えられない」と笑う。でも、ハルの目には違って見えていた。灰色のガレキと化していく街の奥に、まだ見たこともない無限の「可能性」が、確かに眠っているのが見えていた。
「壊されたなら……僕がもっとカッコよく、作り直す!!」
胸の底からの叫びに応えるように、ハルのポケットがカッと熱を帯びた。
手を入れて引きずり出したのは、夕道で拾ったはずの石コロ——いや、違う。それは、内部で激しい炎が渦巻くような、見たこともない鮮烈な「クリアレッドのコアブロック」だった。
同時に、ハルの腰に未知の力によって「ベースドライバー」が実体化する。
何も書かれていない、無地の基礎板(ベースプレート)。
ハルは迷わない。そのコアブロックを、ドライバーの突起へと力強く突き立てた。
ガチャンッ!
静まり返った灰色の世界に、重厚でメカニカルな機械音が響き渡る。
『READY…』
目の前の怪物が、無機質な視線をハルへと向けた。
ハルは一歩も引かず、まっすぐな瞳で前を見据え、魂の底から叫んだ。
「変身!……ビルドイン!!」
ガチャガチャガチャッ!カチカチカチッ!!
空間が大きく歪み、ハルの頭上から無数の赤、黄、青、そしてクリアパーツの光るブロックが雪崩のように舞い散った。大量のブロックを豪快にぶちまけたようなポップで力強い重低音が、張り詰めた空気を揺らす。
『CREATE! BUILD-UP!』
飛来した赤いブロック群が、磁石に引き寄せられるようにハルの身体へ殺到する。
カチッ!カチカチッ!
足元から脛、膝、太ももへと、狂いなくパーツが超高速で噛み合わさっていく。重厚な赤い脛当てが構築され、腰回りには強固なプロテクターがアセンブルされる。
胸部には巨大なエンジン状のブロックが組み上がり、ハルがコアブロックをさらに深く押し込むと同時に、内部で圧倒的な熱エネルギーが爆発した。
ボーッ!シュウウウッ!
接合部の隙間から高熱の蒸気が吹き出し、胸中央の赤いクリアパーツが太陽のように眩しく発光する。両肩にはゴツゴツとした大型アーマーが「カチリ」と音を立てて固定され、腕部には巨大な拳を補強する強力なフレームが展開された。
最後に、ハルの頭部を包み込むようにヘルメットパーツが自動構築される。
頭頂部へ炎を象ったクリアレッドのツノが噛み合わさった瞬間、バイザーの奥で二つの瞳が鮮烈な赤に発光した。
『FIRE! FIRE! …BUILD UP! RED FIRE!!』
余剰となった光のパーツ粒子が、爆風とともに「シュパンッ!」と円状に弾け飛ぶ。
灰色の世界の中央に立ち上がったのは、圧倒的な熱量を放つ「燃える赤」の戦士——クリエイト・レゴリス。
「完成図なんて……僕が今から決める!」
赤く熱を帯びた両拳を「ガツン!」と叩き合わせると、金属とプラスチックが重なり合った硬質なサウンドが鳴り響く。
レゴリスは激しい炎の粒子を全身から撒き散らしながら、灰色の怪物に向かって力強く駆け出した。
コメント
1件
読ませていただきました!🔥 「大人になる=ワクワクを捨てること」という冒頭の一文から、もう胸がギュッとなりました…。灰色に侵食される街で、それでも拳を握りしめて「作り直す」って叫ぶハルくん、本当にかっこよかったです。 変身シーンのブロックが組み上がっていく描写が細かくて、まるで映像が浮かぶようでした。「完成図なんて僕が今から決める」というセリフ、刺さりました…。続きが気になります!🌷
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バナナパスタ
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福岡好きすぎ人@あと3日 17
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平家 芳一
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