テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
74
バナナパスタ
69
福岡好きすぎ人@冬聖さん神!!
1,019
#転生
平家 芳一
45
「ガ……アァァッ!?」
灰色の怪物『グレイズ』が放った鋭い触手が、レゴリスの胸元を襲う。
ガチンッ!と硬い衝撃音が響き、ハルの体が数メートル後ろへと弾き飛ばされた。
(くっ……重い! でも——)
足元のアスファルトを蹴りつけ、体制を立て直す。
視線を落とすと、直撃を受けた胸部の赤いブロックアーマーに亀裂が入り、バラバラッ! と派手な音を立ててパーツの一部が弾け飛び、消滅した。
ダメージが、そのままアーマーの「崩壊」となって現れる。
だが、バイザーの奥で発光するハルの瞳に、恐怖の色はなかった。むしろ、その口元には少年のような不敵な笑みが浮かんでいる。
「壊れたなら……直せばいい!」
ハルがグッと拳を握り締め、胸のコアブロックに意志を送り込む。
すると、足元に転がっていたコンクリートのガレキが熱を帯び、赤く光る立方体のブロックへと一瞬で変換された。
カチッ!カチカチッ!
「うおっ!?」
ハルが右腕を振り抜くイメージを浮かべると、変換されたブロックたちが磁石のように右腕のフレームへ吸い寄せられ、ガッチリと噛み合っていく。
ほんの数秒前まで胸を守っていたアーマーは消え去り、その代わりに右腕には自身の胴体ほどもある巨大な「赤いブロックハンマー」が即興で組み上げられていた。
『無駄ダ……感情ナド……破壊スル……!』
グレイズが複数の触手を同時に伸ばし、ハルを押し潰そうと迫る。
「無駄じゃない! 僕の頭の中には、もっと面白い完成図がいっぱいあるんだ!」
ハルは巨大ハンマーを豪快に振りかぶった。
重圧に負けるどころか、全身のコアから溢れ出る熱気(ファイヤー)がハンマーの隙間から吹き出し、灼熱の炎となって巨大な槌を包み込む。
ボーッ!シュウウウッ!
「喰らい……つけぇぇっ!!」
ドカァァァンッ!!
振り下ろされた炎のハンマーが、迫り来る触手群を一括りで粉砕する。
激しい爆風とともに、灰色の破片が空中に飛び散った。衝撃波で街のコンクリートが揺れ、グレイズが苦悶の叫びを上げて後退する。
「すごい……! 思いついた通りに、形になる……!」
ハルは自分の両手を見つめ、胸の高鳴りを抑えきれずにいた。
教科書も、大人の指示もいらない。ここにあるのは、自分の直感とワクワクする気持ちだけだ。
だが、グレイズは倒れていなかった。
破壊された触手を急速に再生させると、街の灰色をさらに吸い上げ、その体を倍以上の大きさに膨らませていく。
『絶望ヲ知レ……子供ヨ……』
巨大化した怪物が、街全体を押し潰さんばかりの巨体でハルへと覆いかぶさってくる。
あまりの圧迫感に、一瞬息が止まる。
(どうする……? ハンマーじゃ届かない……もっと高く、もっと強く……!)
ハルはドライバーのレバーを力強く握り直し、脳内でブロックを組み替える。
「説明書(マニュアル)なんて知るか!……僕だけのやり方で、ぶち抜く!!」
ハルが地面を叩きつけると、足元から一直線に、鮮やかな赤と黄色のブロックでできた「立体跳躍台(ビルド・ジャンプ台)」が高速で組み上がった。
カチカチカチッ!『JUMP BUILD!』
「いっけぇぇぇ!!」
跳躍台を踏み抜いた瞬間、爆発的なバネの力でレゴリスの体が空へと打ち上げられた。
灰色の空を切り裂き、巨大な怪物の頭上へと一気に躍り出る。
空中でハルは右脚に意識を集中させた。
腕のハンマーが分解され、超高速で右足の周囲に再構築されていく。先端に尖ったドリルパーツを配した、巨大な「ファイヤーキックアタッチメント」の完成だ。
ドライバーから甲高い待機音が鳴り渡る。
『READY… FIRE! FINAL BUILD-UP!!』
「はぁぁぁぁっ!!」
太陽のような赤熱の炎を纏い、レゴリスは空から一直線に急降下を開始した。
決められた形などない。少年の溢れ出る想像力が、灰色の絶望を打ち破る一撃となって怪物の核へと突き刺さる——!
コメント
1件
わあ、めちゃくちゃ熱いバトル回でしたね…!「壊れたなら直せばいい」っていうハルの発想の転換、最高にかっこよかったです。マニュアルなんて知るか、自分だけのやり方でぶち抜く——その自由な創造性がグレイズの灰色の閉塞感を打ち破る感じが、読んでいてすごく清々しかったです。跳躍台からの空中で部位を組み換えるファイヤーキック、映像が浮かぶ躍動感でした🦋