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「正直、これからお願いする事は、個人の自由な選択とか、そういう事に反していると思います。でも、どうしてもお願いしたいんです。私と一緒に野外活動部に入って下さい。お願いします」
そう言って竹川さんは、椅子に座った姿勢では最大限に頭を下げる。
「そんな頭を下げないで下さい。頼まれなくても、入部するつもりだったし」
隣で栗原さんも、うんうんと頷いている。
「そうですか。ありがとうございます。嬉しいです」
そう言って、竹川さんは今度は軽く頭を下げた。
「実は、あの場の雰囲気がどうしても気に入ってしまって。それに、3人いれば同好会として存続できますし。
ところで、仲代君と栗原さんは元々のお知り合いですか。とても仲がよさそうにお見受けしたのですが」
いやいや、滅相も無い。
ちょっと嬉しいけれど。
「元は、教室で前後ろの席になっただけです。周りが内部生ばかりで、話す相手が他にいなくて」
取り敢えず、無難かつ事実の説明をしておく。
「そうなんですか。何か申し訳ないです」
ん?
ちょっと疑問。
「何故、竹川さんが謝る必要があるんですか」
「少しは、私の家の責任もあるような気がして」
僕には、その言葉の意味がわからない。
何か、前に先輩が言っていた事と関係があるのだろうか。
「でも、あの身内のルールで固まっている雰囲気が私は好きでは無くて。それで内部生の多い活動を避けて、野外活動部を選んだんです。そうしたら何かとっても楽しくて。
だから、あの場所をどうしても確保したかったんです」
背景の理由は、今一つわからない。
でも、何となく、竹川さんがどういう思いなのかは理解出来た。
「では、これから宜しくお願いします」
「こちらこそ」
僕は頭を下げる。
そして。
「あと、お願いなのですが、出来ればお互い名前で呼びませんか。実は、そういう関係、憧れだったんです」
そう竹川さんが申し出る。
うーん。ちょっと、これは気恥ずかしい。
でも、お願いと言われると……
「わかった。よろしくね、美洋さん、悠君」
あ、栗原さんが受け入れてしまった。
なら、やむを得ない。
「わかった。よろしく。美洋さん、彩香さん」
だったよな、栗原さんの名前は。
「私も宜しくお願いします。悠さん、彩香さん」
あっていた模様だ。
ちょっと安心。
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