テラーノベル
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「しょーたぁぁぁあ!!」
楽屋の扉が開いた瞬間、ピンク色の弾丸がソファに座る渡辺翔太めがけて飛んできた。
「うわっ、危ねぇな! こっちくんな!」
「やだ!今日はまだ翔太成分を摂取してない!充電させろー!」
「知るか!コンセントに指突っ込んでろ!」
渡辺が手足をバタつかせて抵抗するが、佐久間はそんなことお構いなしだ。
小さな体からは想像できない力で渡辺の腰に抱きつくと、そのままグリグリと自分の頭を渡辺の胸板に擦り付ける。
「あー、翔太いい匂いするぅ〜!これ新作の香水?」
「……お前、鼻良すぎて気持ち悪いんだけど」
「えへへ、翔太のことならなんでも分かるもんね!」
佐久間が顔を上げ、至近距離でニカッと笑う。
その屈託のない笑顔と、真っ直ぐすぎる瞳。
渡辺は「チッ」と舌打ちをして顔を背けたが、耳がほんのり赤いことは隠せていない。
「……暑苦しいんだよ。離れろ」
「えー?本当に離れていいのぉ?」
「いいに決まってんだろ」
渡辺が冷たく言い放つ。
しかし、佐久間はニヤリと悪戯な笑みを浮かべた。
「ふぅん……。じゃあ、離れるけど……」
佐久間がパッと腕を解き、体を引こうとする。
その瞬間、渡辺の体がほんの少しだけ、無意識に佐久間を追うように動いた。
急に離れたことで、今まで密着していた部分がスースーと寒く感じてしまったのだ。
「……あ」
しまった、という顔をする渡辺。
佐久間はその隙を見逃さなかった。
「ほらやっぱり!翔太も俺にくっついてたいんじゃん!」
「ち、ちげーし!反動だよ反動!」
「はいはい、ツンデレ乙!もう逃がさないからね〜」
佐久間は再び、今度はもっと深く、逃げ場がないように渡辺を抱きしめた。
バックハグの体勢で、渡辺の首筋に顔を埋める。
「……なぁ、佐久間」
「んー?」
「……みんな見てるだろ」
「見てないよ。みんなご飯行っちゃったもん。今、ここには俺と翔太だけ」
二人きりの空間。
佐久間の吐息が首にかかり、渡辺の背中がビクッと震える。
佐久間は甘い声色で、渡辺の耳元に囁いた。
「翔太。俺は翔太がどんだけ塩対応でも、その奥にあるデレを知ってるからね。……愛してるよ」
「……っ、うっせぇ……バカ……」
渡辺はもう、抵抗するのを諦めたらしい。
両手で顔を覆い、自分の赤い顔を隠すようにして、そっと背中を佐久間に預けた。
「……ちょっとだけだぞ」
「うん、ちょっとだけ。…永遠にね!」
「日本語おかしいだろ!」
ギャーギャーと騒ぎながらも、重なり合った体温は離れない。
嫌がるフリをして、結局は佐久間の愛を全身で受け止めている。
そんな素直じゃない猫の捕まえ方を、佐久間大介は誰よりも熟知しているのだった。
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コンセントに足つっこんてろww マジおもろww 続き待ってます!