岩本「…友達いた?」
深澤「うーーん、全くいない」
深澤「まあいっか…友達なんてすぐ作れるしね」
高校3年生のクラス替え。
照は1つ下で高校2年生。
ただ、この日はなぜか照の様子がおかしかった。
深澤「照、何か言いたげだね」
岩本「いや、なんでもないよ」
照が少し目を泳がせていたのを見逃さなかった。
でも、言ってくれるまでは言わない。
深澤「…わかった」
深澤「じゃあ行こっか」
岩本「ふっか」
俺の言葉を遮るように、照は俺の名前を呼んだ。
深澤「ん?」
岩本「言わなきゃいけないことがある」
その言葉を聞いて、思わず俺の心臓が跳ねた。
深澤「言わなくちゃいけないこと?」
岩本「俺、医者になりたいんだ」
岩本「でも、相当難しくて…」
岩本「いい大学に進学して勉強しなきゃいけない」
深澤「……」
岩本「だから、今から頑張らないと間に合わない」
岩本「恋愛なんてしてる暇ないっていうか…」
岩本「今までのことが無駄だったって事じゃなくて、なんていうか…」
深澤「別れたい?」
なんとなく照が言いたいことはわかっていた。
大切な人の夢を壊すことなんてできない。
自分の気持ちを殺してでも、照とは離れなくちゃいけないんだ。
仕事って人生のために大切なことだから。
俺の我儘なんかで台無しにしてはいけない。
岩本「あ…、うん」
岩本「ごめんなさい」
深澤「…大丈夫だよ」
深澤「照も俺もまだまだこれからなんだし」
深澤「離れてもお互い頑張ろうね」
岩本「…うん」
深澤「じゃあ、ばいばい」
深澤「今までありがとう。だいすきだよ 」
岩本「っ…、こちらこそ…ありがとう」
『だいすき』は返してくれなかった。
最後なのにそんな言葉を言ってしまう俺は頭がおかしいのか。
少しでも、いや…ずっと、照の頭の片隅に俺が残るようになんて考えてしまったんだ。
深澤「はは…、」
深澤「照の中にもう俺はいないのに…。」
気付けば、俺は大勢の生徒が通る廊下で涙を流していた。
見られないよう、顔を隠しながら歩く。
ただでさえ友達がいないクラスなのに泣きながら入ったら引かれるだろうから。
?「あの…、」
深澤「はい」
?「えっ、?」
?「泣いてる」
?「大丈夫ですか?」
深澤「あ…すみません」
深澤「なんでもないです」
見られた。
恥ずかしい。
見たことがない初対面の男に。
…ひとつ言えることは、イケメン。
少し見惚れてしまっていた。
?「良かったらハンカチ使ってください」
深澤「ありがとうございます…、」
深澤「ごめんなさい心配かけてしまって 」
?「いえ、大丈夫なら良かったですけど…」
?「あの…3年生ですよね」
深澤「はい、」
?「3年B組ってどこか分かりますか…? 」
3年B組。
まさかの俺と同じクラスだった。
深澤「俺も3年B組です!!」
?「ほんとですか…!?」
?「俺、転校してきてなにがなんだかわかんなくて」
深澤「転校生!?」
深澤「3年生で転校…?」
?「一応家の事情で…」
深澤「そうなんですね…!」
深澤「あの、名前って」
目黒「目黒蓮っていいます」
目黒「あなたは?」
深澤「深澤辰哉です」
目黒「辰哉…なんか、かわいいですね」
深澤「へ?」
かわいいだなんて初めて言われてびっくりした。
こんなイケメンに可愛いと言われると、乙女な気分になってしまう。
目黒「ぜんぶ…かわいいです」
深澤「は、はぁ…」
深澤「あ、蓮って呼んでもいいですか?」
目黒「ぜひっ…!!」
目黒「じゃあ、辰哉で」
名前で呼ばれるのは初めてだ。
親が俺のことを”ふっか”って呼ぶから俺の一人称もふっかになってしまい、友達へと広がっていった。
流石に今は俺って呼んでるよ。
でも、蓮に名前で呼ばれるのは悪くないと思い了承した。
目黒「友達いなくて少し心配でした」
深澤「大丈夫ですよ」
深澤「俺も友達いないんで笑」
目黒「じゃあ、お互い第1号ですね」
深澤「第1号…笑」
俺は、それから照と関わることがないまま卒業した。
それでも、俺の頭の中から照が消えることは無かった。
——-❁ ❁ ❁——-
どうも!!!
れあです!!!!
まだ前作品が完結していないのに新作です!!!!!
誰とくっつくかは今回はまだ内緒で…🤫🤫
その方が面白いかなと思いまして!!
それと、名前の表記の仕方を今回変えました…🙇🏻♀️
ぜひこちらもよろしくお願いします✍🏽💟
コメント
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あの!秘密の恋は続編ないんですかる