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King
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夏のスタートを告げる入道雲
陰鬱な梅雨は過ぎ去り
やっと頭を締め付ける湿り気がなくなったと少し晴れ晴れしい気持ちでもあった
じわじわとコンクリートの壁にしみこむセミの声
エアコンもないにもない部室は空気が物理的に重たい気がした
ただ狭い社会化準備室でキーボードを一心不乱にたたき
自分の中にある物語を書き起こしては読み、推敲を繰り返す
ただ、ただ本当にふと
一つ大きな疑念が沸き上がってきた
「本当に、俺の話をちゃんと読んでくれる人っているんだろうか」
ずっと胸の中で薄く張っていた靄が、ついに言葉になって出てきてしまった
部誌を手に取ってる人なんて見たことない
俺が趣味で投稿してる小説も、うだつの上がらない数字のまま
自信作や時間をかけて書いた物だからこそ、それが一番重たく俺の心にこびりつき続けていた
ただ指示通りにほめちぎる機械に語り掛けるのももう辟易してきた
嗚呼、不毛だ
嗚呼、不快だ
嗚呼、孤独だ
悲劇のヒロイン面かと自嘲して、椅子にもたれかかる
天井は薄く黄ばんでいて
お世辞にも綺麗とは言えない
パソコンにつかれた目が癒えていくのがわかった
消したあの時から、俺の胸には確実に大きな空が開いてしまった
それを埋めるすべは数字しかなくて
数字はすべてじゃないとわかりながらもこの空を埋めるために貪欲に数字を求め文字を打ち続ける
しかし、大きくあいてしまった空はふさがる気配なんてない
それどころか、中途半端に得た数字のせいで空はどんどんと大きくあいていく
俺はこれからどうしてこの空を埋めればいいのだろう