テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
荒々しい足取り。手首を強引に掴まれ、向かう先は…カビ臭いあの部屋…
彼はポケットから鍵を取り出すと忙しない様子で鍵を開ける。中に入るとドアを閉め、後ろ手に鍵をかける。
掴まれてた手首を引っ張られて、壁に打ち付けられた。
背中と後頭部に鈍い痛みが走って
一瞬息が止まった。
ふらっとして体が倒れそうになると、壁に突いた彼の腕に抱き留められる。
「んっ……」
壁に押さえつけられて、乱暴に奪われる唇。
舌を無理やりねじ込まれる。
息をつく間もなく唇を求められて、頭がクラクラする。
体に力が入らないから、相手にされるがままになる。
苦しさから逃れる為に突き飛ばせばいいのかもしれないけれど、なぜかそれはできない。
これが彼とオレの日常……
彼はオレを建物の1番奥にあるカビ臭くて薄暗いこの部屋にいつも連れて来ると、唇を求めてくる。
乱暴なその行為はいつから始まったのだろう。
もう覚えていない。
たぶん一年以上は経っていると思う。
激しく唇を求められる。ただそれだけで、それ以上を求めてくることはない。
オレは、その行為に体が崩れ落ちそうになる。
それを彼の腕が支える。
力強い腕。
悔しいけど、体を委ねる。
彼の真意はわからない。
わからないまま、彼にされるがままになる自分。
しかし、彼の行為を決して許してるわけではない。
でも恐怖心が先に立つ。
人間、予想のできないことには恐怖や不安を感じる。
大人しくしていれば、痛いことはされないと思って、好きにさせている。
なんて愚かなんだろう。
許せないのに、彼に嫌だと言えない。
苦しい。やめて。離して。怖い。
何一つ言えずに今日まで来てしまった。
もともとは、もちろんこんな関係じゃなかった。
きっとオレは彼の気に障る事をしてしまったんだ。だからこんな仕打ちを受けているんだ。
カビ臭い部屋。砂煙が舞う。
決して綺麗とは言えない壁に押さえつけられて、キスして……
そしてオレはたゆたう……
shioli(しょたシナ)
909
コメント
1件
うわあ…重くて苦しい空気が最初からビシバシ伝わってきたよ…😭💦 「オレ」がなんでこんな関係を受け入れてるのか、自分を責めてるところが特に胸に刺さる…。 許せないのに嫌と言えない、っていう心理描写がリアルすぎて読んでて苦しかった、、 でも彼の腕に支えられるところとか、一瞬の弱さも感じてしまって…もう続きが気になりすぎる!! この薄暗いカビ臭い部屋の描写、めっちゃ臨場感あったよ…✨続き待ってるね📖🌟