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2件
わちゃわちゃしててちょっとあんしn((((((((
カーテンのすき間から、朝の光。
先に起きたのはみことだった。
しばらく天井見て、ぼーっとしてから横を見る。
すちは、まだ寝てる。
布団に半分もぐって、髪ぐしゃぐしゃで、口ちょっと開いてる。
(……警戒心どこいったんだよ)
前なら、物音ひとつで起きてたのに。
今は、ぐっすり。
それがもう、うれしくて仕方ない。
みこと、少しだけ近づく。
じーっと見て。
小声で。
「……かわいいな、お前ほんと」
無意識に出た言葉。
そのまま、そっと前髪を指でよける。
やわらかい。
寝顔、近い。
(起きないよな…?)
そっと、頭をなでる。
ゆっくり。
指の腹で。
その瞬間。
「……ん」
すちの眉が動く。
みこと、固まる。
でも目は開かない。
すちは半分寝たまま、布団の中から手を伸ばして――
ぎゅ
みことの服のすそをつかんだ。
「!?」
心臓跳ねる。
「……どこ、いくの」
寝ぼけ声。
かすれてて、小さくて。
「い、いかねーよ」
「……ん」
それだけ言って、また静かになる。
でも、つかんだまま。
離さない。
みこと、しばらく動けない。
(なにこれ…反則だろ)
顔、ちょっと熱い。
仕方なくそのまま座り直す。
すると、すちがもぞもぞ動いて――
みことのほうに、ころん。
肩に額が当たる。
「ちょ、おい」
「……あったかい」
完全に無意識。
みこと、観念して小さく笑う。
「……朝から甘えすぎ」
そう言いながらも、また頭をなでる。
今度はためらわず。
すると。
すちの口元が、ほんの少しゆるむ。
安心した顔。
その表情見た瞬間、
胸の奥がじんわり熱くなる。
(あーもう)
逃げられないやつだ、これ。
そのとき、すちの目がゆっくり開く。
数秒、ぼーっと見つめて。
状況理解。
距離、近い。
手、つかんでる。
肩、くっついてる。
「…………」
「…………」
静止。
先に固まったのはすち。
顔がじわじわ赤くなる。
「え、あ、ちが、これは」
「お前が来たんだろ」
「しらない!」
でも手は離さない。
みこと、にやっとする。
「離していいぞー?」
「……」
ぎゅっ
逆に強くなる。
「……起きたばっかで力入んないだけだし」
苦しい言い訳。
みこと、笑いこらえながら、
ぽん、と軽く頭叩く。
「素直になれ」
「うるさい」
でも、離れない。
少し沈黙。
静かな朝。
「……さ」
すち、小さく言う。
「なでるの、やだった?」
みこと、一瞬きょとん。
「は?」
「さっき…」
目そらしながら。
「……なんか、安心した」
正直すぎる。
みことの動き、止まる。
それから、やわらかく笑う。
「やじゃねーよ」
そして今度はちゃんと。
逃げないように、ゆっくりなでる。
「好きなだけ使え、ここ」
肩ぽんぽん。
すち、目細める。
「……変なの」
「どっちが」
「……おまえ」
でも声、やわらかい。
日常って。
大事件がないことじゃなくて。
こういう朝が、普通になること。
ふたりはまだ気づいてないけど、
もう少しずつ、
「一緒」が特別じゃなくなってきてる。
それがいちばんの変化だった。
「……好きなだけ使え、ここ」
なんて言った数秒後。
みこと、ふと壁の時計を見る。
「…………は?」
目を見開く。
もう一回見る。
「……え?」
三度見。
「し、七時半!?!?!?」
叫び声で朝終了。
すち、びくっ。
「なに!?地震!?」
「学校!!!!」
一瞬の沈黙。
次の瞬間、ふたり同時に飛び起きる。
布団絡まる。
「ちょ、足!」
「引っ張るな!」
ごろん
すち、床に落ちる。
「いってぇ!」
「ごめん今それどころじゃない!!」
みこと、髪ぐしゃぐしゃのまま部屋飛び出す。
「顔洗え!歯!あと制服!」
「順番多い!!」
朝の静かな尊い空気、完全崩壊。
キッチン。
みこと、フライパン出してから固まる。
「……時間ない」
パン取り出す。
焼く。
焦がす。
「やっば!!」
煙。
「火ぃぃぃ!!」
「なに燃やしてんの!?」
すち、顔びしょびしょのまま登場。
タオル首にかけてる。
「朝は戦場だぞ」
「戦場に料理人置くな!」
パン黒い。
「これ食えそう?」
「炭」
みこと、即ジャム塗って誤魔化す。
「いけるいける色ついただけ」
「色の問題じゃない」
でもすちは受け取る。
小さく笑って。
「……ありがと」
その一言でみこと止まる。
「……お前さぁ」
「ん?」
「そのタイミングでそういうの言うな」
顔そらす。
すち、きょとん。
「?」
みこと、急に視線戻す。
「ほら牛乳!時間ない!」
玄関。
靴履きながらバタバタ。
すち、まだボタン一個ずれてる。
みこと、それ見つける。
「ちょっと止まれ」
「え」
無理やり引き寄せる。
近い。
すち固まる。
みこと、無言でボタン直す。
指、胸元かすめる。
「……じっとしろ」
「……うん」
鼓動、ちょっと速い。
カチ。
直った。
「よし」
離れようとした瞬間。
すちの手が、袖つかむ。
「……なに」
小声。
「今日も……一緒に帰る?」
みこと、一瞬も迷わない。
「当たり前だろ」
すち、ほっとした顔。
ほんの少し笑う。
「……よかった」
その顔見て、みこと内心。
(朝からHP削られる)
ドア開ける。
外の空気。
「走るぞ!」
「まってカバン!」
「持った!」
「それ俺のじゃない!」
取り違え。
戻る。
また出る。
全然スマートじゃない朝。
でも。
並んで走る。
息切らしながら。
「はぁ…はぁ…」
「遅刻ライン!?」
「ギリ!」
すち、ちらっと横を見る。
みことも同時に見る。
目、合う。
なんでもない朝なのに。
胸があったかい。
もう「守られてる場所」じゃない。
ここは、
一緒に生きてる場所になってきてる。