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午後6時ごろ、ご近所さんが集まって来る。
大体が裏のアパートの住人達だ。
「こんばんは、スイカ持って来たよ」
「うちはお肉を持って来ました」
みんなでバーベキューの準備をして、6時半ごろスタート。
結局、うちの夏祭りはご近所さんとみんなでバーベキューなのだ。
最初は女神様が皆さんにご挨拶。
そのあとで、ぼくと護で各テーブルに挨拶回り。
一通り、ご近所さんに挨拶を終えて、ぼくはタカシくん達、仲のいい友達の所へ行く。
「お疲れ様、はい、コップ」
れんさんが言った。
「ありがとう」
もう一度、このテーブルで乾杯。
そこへ、お客様が増える。
「師匠ー、遅れましたー」
隣町で動物園を経営してる神様。
そしてそこの狛犬さん。
「お土産にうちの町のお酒持って来ました」
「あら、ありがとう」
女神様達のテーブルで日本酒がふるまわれている。
「こっちにもお土産あるよ」
勇さんがエビとイカを持って来た。
「近所に新しくスーパーができたのよね。
魚介類の安売りしてて」
飛鳥さんが言った。
そう言って二人は焼き始める。
「いやぁ…美味しいなぁ…魚介類って高いからなかなか手が出なくって」
タカシくんが言った。
「タカシくんは自炊派?」
「まぁ、大体自炊。
たまにコンビニ弁当ってくらい」
勇さんがさらにイカを追加する。
「じゃぁ、もっと食べなよ」
ぼくは大きめの紙皿にお肉とイカと野菜をのせ、美子達の所に持って行った。
「ありがとう、イカ大好き」
「野菜も食べるんだよ」
美子は大きく頷く。
「もちろん」
美子は友達と二人で分け合って食べていた。
「おーい、エビも焼けたぞ」
護がエビを2匹持ってきてお皿に移す。
「ありがとう、エビも大好き」
ぼくは市松さんに聞いてみた。
「市松さんは食べ物は…」
「雰囲気だけで」
さすが市松人形。
「じゃぁ、まぁ、ごゆっくり」
ぼくたちは自分のテーブルに戻る。
「え?タカシくん彼女いるんだ」
「うん、いるよ」
勇さんがタカシくんと盛り上がっている。
「じゃぁ、動物園の割引券いる?」
隣町だからちょっと遠いけど、と飛鳥さんが言った。
「大丈夫だよ、車持ってるからね」
ぼくも口をはさむ。
「電車でも駅から10分くらいだよ」
タカシくんは笑った。
「今日食べ過ぎてるから歩いてもいいかもね」
食べ物も半分くらいなくなった頃、美子達が花火を持って来た。
「ねぇ、コマ兄、花火しよう」
「あぁ、いいよ」
ぼくは暗めの人気の少ない場所で打ち上げ花火に火をつける。
パッと、赤や緑の光が吹き上がる。
子どもも大人も大喜びだ。
ぼくは終わり次第、次々に打ち上げ花火に火をつける。
自分のテーブルに戻ると、美子とれんさんが線香花火をしていた。
それをみんなで見ている。
花火が落ちないように、みんな静かに…
淡い光がみんなをほんのりと照らす。
そろそろ終わるかな、といった感じになったとき、美子と市松さんが両端に移動した。
そして二人は祈るように胸の前で手を組む。
すると、二人はほのかに光り、その光が境内全体を包む。
そのあと、二人は戻って来た。
「ふぅ…疲れた」
「これでみんな、しばらく幸せに過ごせるね」
さすが座敷童子。
皆さんはそれぞれ挨拶をし、帰って行く。
また来年も集まりたいね、そんなことを言い合いながら。
境内が少しずつ静かになっていく。
「さて、私も帰りますね」
市松さんが言った。
「あら、そう?
じゃぁ、お土産ね」
そう言うと、今日のバーベキューで焼いた食材とおにぎりで小さなお弁当を作っていた。
「おばあさんに、どうぞ」
「ありがとうございます」
ぼくは犬の姿になり、犬ぞりを準備する。
「じゃぁ、送って行くよ」
「何から何までありがとうございます」
美子はテンション高めに言う。
「はいはーい、私も行くー」
「もう遅いからダメよ」
女神様に止められる。
美子はテンション低めに言う。
「はーい」
女神様は園長さんに言う。
「泊まっていくでしょ?」
「ぜひとも」
今から、2次会の始まりだ。