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小さな神社

24 - 夏祭り

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2023年08月13日

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午後6時ごろ、ご近所さんが集まって来る。

大体が裏のアパートの住人達だ。

「こんばんは、スイカ持って来たよ」

「うちはお肉を持って来ました」

みんなでバーベキューの準備をして、6時半ごろスタート。

結局、うちの夏祭りはご近所さんとみんなでバーベキューなのだ。

最初は女神様が皆さんにご挨拶。

そのあとで、ぼくと護で各テーブルに挨拶回り。


一通り、ご近所さんに挨拶を終えて、ぼくはタカシくん達、仲のいい友達の所へ行く。

「お疲れ様、はい、コップ」

れんさんが言った。

「ありがとう」

もう一度、このテーブルで乾杯。

そこへ、お客様が増える。

「師匠ー、遅れましたー」

隣町で動物園を経営してる神様。

そしてそこの狛犬さん。

「お土産にうちの町のお酒持って来ました」

「あら、ありがとう」

女神様達のテーブルで日本酒がふるまわれている。

「こっちにもお土産あるよ」

勇さんがエビとイカを持って来た。

「近所に新しくスーパーができたのよね。

魚介類の安売りしてて」

飛鳥さんが言った。

そう言って二人は焼き始める。

「いやぁ…美味しいなぁ…魚介類って高いからなかなか手が出なくって」

タカシくんが言った。

「タカシくんは自炊派?」

「まぁ、大体自炊。

たまにコンビニ弁当ってくらい」

勇さんがさらにイカを追加する。

「じゃぁ、もっと食べなよ」

ぼくは大きめの紙皿にお肉とイカと野菜をのせ、美子達の所に持って行った。

「ありがとう、イカ大好き」

「野菜も食べるんだよ」

美子は大きく頷く。

「もちろん」

美子は友達と二人で分け合って食べていた。

「おーい、エビも焼けたぞ」

護がエビを2匹持ってきてお皿に移す。

「ありがとう、エビも大好き」

ぼくは市松さんに聞いてみた。

「市松さんは食べ物は…」

「雰囲気だけで」

さすが市松人形。

「じゃぁ、まぁ、ごゆっくり」

ぼくたちは自分のテーブルに戻る。


「え?タカシくん彼女いるんだ」

「うん、いるよ」

勇さんがタカシくんと盛り上がっている。

「じゃぁ、動物園の割引券いる?」

隣町だからちょっと遠いけど、と飛鳥さんが言った。

「大丈夫だよ、車持ってるからね」

ぼくも口をはさむ。

「電車でも駅から10分くらいだよ」

タカシくんは笑った。

「今日食べ過ぎてるから歩いてもいいかもね」


食べ物も半分くらいなくなった頃、美子達が花火を持って来た。

「ねぇ、コマ兄、花火しよう」

「あぁ、いいよ」

ぼくは暗めの人気の少ない場所で打ち上げ花火に火をつける。

パッと、赤や緑の光が吹き上がる。

子どもも大人も大喜びだ。

ぼくは終わり次第、次々に打ち上げ花火に火をつける。


自分のテーブルに戻ると、美子とれんさんが線香花火をしていた。

それをみんなで見ている。

花火が落ちないように、みんな静かに…

淡い光がみんなをほんのりと照らす。


そろそろ終わるかな、といった感じになったとき、美子と市松さんが両端に移動した。

そして二人は祈るように胸の前で手を組む。

すると、二人はほのかに光り、その光が境内全体を包む。

そのあと、二人は戻って来た。

「ふぅ…疲れた」

「これでみんな、しばらく幸せに過ごせるね」

さすが座敷童子。

皆さんはそれぞれ挨拶をし、帰って行く。

また来年も集まりたいね、そんなことを言い合いながら。

境内が少しずつ静かになっていく。

「さて、私も帰りますね」

市松さんが言った。

「あら、そう?

じゃぁ、お土産ね」

そう言うと、今日のバーベキューで焼いた食材とおにぎりで小さなお弁当を作っていた。

「おばあさんに、どうぞ」

「ありがとうございます」

ぼくは犬の姿になり、犬ぞりを準備する。

「じゃぁ、送って行くよ」

「何から何までありがとうございます」

美子はテンション高めに言う。

「はいはーい、私も行くー」

「もう遅いからダメよ」

女神様に止められる。

美子はテンション低めに言う。

「はーい」

女神様は園長さんに言う。

「泊まっていくでしょ?」

「ぜひとも」

今から、2次会の始まりだ。


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