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スタートヽ(*^ω^*)ノ
次の日の朝。
昨日もらったカニのぬいぐるみをぎゅっと抱きしめながら天井を見つめるレトルト。
(……夢じゃなかったんやな)
そう思った瞬間、また心臓がドクンと跳ねた。
顔を洗って、歯を磨いて、スマホを開く。
画面をタップする指が、いつもより慎重になる。
ホーム画面に、キヨからの通知はない。
レトルトは深く息を吐いて、思わずスマホを抱きしめた。
「……はぁ。よし!送ろう!送った方が……」
でも、なにを?
昨日のお礼?
「ありがとう」って、普通に言えばいいのに。
それすら打ち始めた途端、手が止まる。
(変なテンションなったらどうしよう)
「おはようございます」
――いや、よそよそしい?
「昨日はありがとう」
――うん、それは大事。でも重いかな?
アプリを開いたり閉じたり、文章を書いては消して、
数分のあいだに3回くらい深呼吸して、
やっと「おはよう」と一言だけ打って送信しようとした、そのとき。
ピロンッ
通知音が鳴って、指が止まった。
キヨくん:
おはよう、レトさん!
昨日はありがとう。会えてすっごく嬉しかった!
もしレトさんが予定ないなら、今週の金曜日
会えないかな?
昨日より、もっとちゃんと話がしたくて。
……レトさんに、会いたいです。
「…………は……?」
声にならない声が漏れた。
会いたい――って。
こんな朝に、こんな真っ直ぐな言葉。
心臓が跳ねて、視界が揺れて、
思わずスマホを落としそうになる。
「……ちょ、ちょっと待って……心の準備……!」
ベッドの上をぐるぐる回ってからうずくまり、
カニのぬいぐるみをぎゅうぅっと抱きしめた。
でも、自然と頬が緩んでる。
もう抑えられないくらい、笑ってしまってる。
(……また、会えるんや……)
まだ「うん」って返事もしてないのに、
レトルトの心はもう、キヨのもとに向かっていた。
つづく