テラーノベル
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注意事項
○ オリキャラ出ます。
○政治的・戦争賛美の意図はございません。
○リハビリなので多めに見てやってくださいな。
○なかなか筆が乗らず……、投稿できなくてすいません… 。
だだっ広い食堂に、ひたすらに大きい机。
たった6つの大きな椅子と、それと比べて2回りほど小さな沢山の椅子たち。
ここは、元ソ連構成国達と、そのドール達が共に食事を取っていた食堂だ。
今でも3ヶ月に1度だけ、家族で晩飯でもどうかと、晩餐会の招待状が全員に届けられる。
けれども、全員がそれに応じ、全員が出席した事など、今の1度も無い。
少しの寂しさを抱えながら、首に掛けた革紐の先に付いた手の平サイズのノートを膝の上に置いて、ベラルーシのドールである白華は、定位置となった6つと比べて小さな椅子の1つに座った。
大きな椅子に座るのは、ソ連と、そのドールの主炎と、ロシアと、そのドールの炎露。
残り2つの大きな椅子に、誰が座っていたのかは、白華は知らない。
昔その事について白華は、兄である主炎や炎露に聞いてみた事がある。
けれど、返ってきたのは悲しそうな笑顔と、不器用に頭を撫でてくれる手。それと、悲しみの青に覆われた、幸福のシャンパンゴールドが視えただけだった。
急に色名が連なると、大抵の人は驚くだろう。だが、それが白華のドールとしての能力なのだ。
白華のドールの傷は難聴。ほとんど音が聞こえず、誰もが騒音だと思うような音量……、75dB程度以上でないと分からない。
ただ、そんな音の無い白華の世界をカバーするかのようにあるのが、彼女のドールとしての能力だ。
相手が抱いている感情を、その人の周囲に漂う「オーラのような色彩」として視認する能力。名を情彩視と呼ばれている。
一番奥に座るソ連の色は、退屈を表す〈薄いラベンダー〉。
その近くに座るロシアの色は、苛立ちを表す〈赤茶色〉。けれどそこに薄く、関心を示す暖かな〈アプリコット〉が混ざっている。
(ロシアさん、お腹が空いてるのかな……?)
ロシアの真横には、椅子をピッタリとロシアに寄せて一方的に話しかけ続けるベラルーシの色は、愛の〈山吹色〉と服従の〈オリーブ色〉、押し付けの〈赤橙〉の混じった〈芥子色〉。
(それとも、ご主人様のせい……?)
キッチンに今は居る主炎と炎露の方からは、祈りや願いを示す〈真珠色を帯びたオレンジ〉と、慈愛や献身を表す〈向日葵色〉が絡まり合って漂ってくるように視える。
ただその中には、薄く、薄く、悲しみの〈青〉が織り混ざっていた。
たったこのメンバーだけで何時も行われる晩餐会。
もう、昔のようには全員が揃って食事をする事は無いのだろう。
(……寂しい、な……)
__また、みんなで晩ご飯を食べたい。
アンティーク・ボルドーの革表紙の、膝上に置いたノートに手を伸ばして、松葉色のインクの詰められた万年筆でそう綴ろうとして、白華は手を止めた。
空席に浮かぶ、〈無色透明〉が目に入ったからだ。
胸がチクリ、チクリと痛み、机の下でグレー地に赤いチェック柄のは入ったロングスカートをキュッと掴んだ。
そんな中で、晩餐会は始まった。
会話の無い晩餐会。いや、会話はあったが、1言2言交わして終わりだ。
まともな会話の無い晩餐会だった。
悲しくて、虚しくて。ご飯は美味しいと言うのに、白華は俯いたままで晩餐会を終えてしまった。
そうして3ヶ月がたった9月1日。
何時も通りに白華は晩餐会に出席する為、ロシアや炎露の居る本邸に向かっていた。
その時、白華から少し離れた場所で、黒い車。トヨタハリアーが停まった。
(最近、トヨタ車って、よく見るな〜)
なんて呑気な事を考えながら、白華はそのまま通り過ぎようとした。
ハリアーの扉が自動で開く。白華に音は聞こえない。けれど、そこからは懐かしい彩が広がってきた。
白華の視界の先には、大きな花束を抱えた、エストニアのドールであり、白華の妹でもある共華だった。
運転席には、フィンランドのドールで、共華と婚約まで漕ぎ着けた炎雰が居た。
ただそこには、エストニアの姿は無いし、ましてやソ連構成国でないフィンランドの姿がある訳ない。
何やら共華は緊張した面持ちで炎雰と話していた。
が、共華から進む為の決意を示す〈白銀の帯とオレンジの火花〉が視えると、炎雰はフッと小さく笑い軽く手を振った。
共華の背中をしばらく眺めると、炎雰はまた車を走らせていった。どうやら炎雰は、ただ送る為に来ていたらしい。
気の抜けたようにボーと共華の姿を見つめていたが、ハッとしたような表情をして、白華は共華の元へ走った。
6,5cm程の身長差があるからか、白華が共華の背後から飛び付いて抱き着くと、丁度背中に引っ付けた。
共華の抱えた花束から、ピンクやオレンジ、丸くて小さな白の花びらがふわりと空を舞い、優しい花の香りが白華の鼻をくすぐった。
ビクッと肩を大きく跳ね上げた共華には、驚愕の〈鋭いスカイブルー〉がパチパチと弾ける。
しかし、満面の笑みを咲かせた白華を見つけると、容認の〈淡いミント色〉をふんわりと漂わせた。
白華はニコッと笑い、首に下げたノートを手に取って文字を綴る。
〔久し振り、共華!〕
文字を読むと共華は、小さく笑って首を縦に振る。
白華に言葉は聞こえなくとも、「そうだね」と言っているような気がした。
2人並んで手を繋ぎ、何気ない会話をノートに書き合う。
〔共華、ちょっと身長伸びたんじゃない?〕
〔この前、160,5cmだったわ〕
〔嘘!?私より6,5cm大きい!〕
そんなどうともない会話を続けていると、とうとう2人はあの家に着いた。
昔はこの家に全員が住んでいたと言うのに、今じゃロシアと炎露しか住んでいない。
なんとも寂しい家である。
白華がニコニコ笑顔のまま、インターホンを軽く押す。
『デェェェェェェェェェン!!』
相変わらずこの家のインターホンの音は爆音である。
何度か交換する事を検討はされたが、その度に白華に聞こえる音量だからと却下されている。
どこか不格好で、金具が錆びたのか、ゆっくりと門が開く。
足が竦み、歩き出せないでいる共華を引っ張りながら、白華はズンズンと中庭を進み鍵の開けられた玄関扉を押し開く。
だだっ広い食堂に、変わらずソ連とロシアとベラルーシは居た。キッチンからは、主炎と炎露がコソコソと顔を覗かせている。
白華が連れてきた共華の姿を見た時、全員から驚きの〈水色〉が見えたけれど、その中には幸福の〈シャンパンゴールド〉が覗いていた。
共華は1つ大きく深呼吸をすると、主炎と炎露に花束を押し付けて何か話している。
けれど、共華は愛の〈山吹色〉を嘘の〈ストレートグレイ〉で包みこんで照れ隠しをしているし、主炎と炎露はチカチカと眩い幸福の〈シャンパンゴールド〉を輝かせている。
(幸せ……。主炎お兄ちゃんも、炎露お兄ちゃんも、嬉しそう)
ふと視線を下ろした自分から、眩しいくらいの幸福の〈シャンパンゴールド〉が溢れ出ていて、白華も笑った。
らい
111
はな
853
#短編集
Miyu🌈🩵🦄3🎃
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コメント
1件
うわぁ…第30話、もう終わっちゃったんだね。寂しいなあ😢💔 白華の難聴と情彩視、その対比がすごく切なくて綺麗だった。全員揃わない晩餐会の〈無色透明〉が刺さる…。でも最後、共華が現れて家族の色がシャンパンゴールドに染まるところ、胸がぎゅっとなったよ🤍 「またみんなでご飯食べたい」って願い、ちゃんと届いてほしいな。日奈さんの描く色の表現、毎話好きです🌙