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目黒さんと連絡先を交換した日、私は勇気を振り絞って大勝負に出た。
目黒【了解しました。被らないように良さげなところいくつかピックアップしてみますね。今更ですけど、日曜は何時ごろ待ち合わせだと嬉しいですか?】
本当は1日デートをしたい。
素直に言えば良いのは分かっているけれど、出会って数日の女にこんな事言われても迷惑だろう。
だから、自分も良さげな店があったら共有する、なんて可愛げの欠片もない業務連絡みたいな返信をしてしまった。
その後、当たり前だが返信は来ない。
自分が続け辛い返信をしたのが悪いのは分かってはいるが、何故か嫌な妄想ばかりが頭を過ってしまう。
--この間にもきっと他の人から連絡が来てるのかな。
--あんなに素敵なんだもん。そりゃ女の人の1人や2人、親しい人くらいいるよね。
全部全部自分の嫌な妄想。
自分が目黒さんに釣り合わないなんて自信がない故の妄想。
1度考えてしまうと止まらなくなってしまう。
最初出会った時は、格好良いな、ドキドキするなって憧れに似た感情だったのに。
目黒さんと話すようになって人柄に触れるたびにどんどん独占したい、私だけを見て欲しい激しい感情を抱くようになった。
涼子さんの言うとおり、これが恋愛感情なんだって自覚した。
自分から一歩踏み出さないと、また他の誰かに取られてしまう。
前もそうだった。自分が傷つくことを恐れて何もしなかった結果、好きな人が別の人の恋人になってしまった。
だから、他の人にとっては些細な勇気かもしれないけれど。
私にとっては一世一代の大勝負に出た。
【1日でも半日でも、数時間でも嬉しいです】
1日一緒にいたいって送れば良いのに。
目黒さんに選択させるように仕向けたのは私の弱さのせい。
夜遅い時間だったから、もちろん既読にはならなくて。
迷惑じゃなかったかな、でも朝返信来たら良いな。と無理矢理目を瞑って眠ることにした。
翌朝、目が覚めると目黒さんからの返信が入っていた。
【1日出掛けませんか?でも、いきなり1日は俺が緊張しちゃうから、佐久間さんが嫌じゃなければ今晩もご飯行きませんか?】
「うひゃ・・・え、本当に?ていうか今晩も?」
自分の想定してなかった返信に朝から身体が熱くなっていく。
震える指で”嬉しいです、今晩も行きたいです”と打ち込んで送信した。
-–
「すいません、遅くなって」
「全然!私もちょっと仕事していたので」
待ち合わせは会社の最寄りの隣駅で。
少し走って来てくれたのか、額に汗が浮かぶ目黒さん。
今朝のメッセージを思い出してしまって、顔が熱い。
「康二とラウールに飲み誘われちゃって、ちょっと撒いてました」
「営業部、本当仲良いですね」
「仲良いね。あ、でも最近はこっちとカナダのプロジェクトの関係で、阿部さんも一緒に仕事してるから、最近は阿部さんとも仲良くさせてもらってるかも」
阿部ちゃん。
この前ご飯行ってから事務所で会ってもいつも忙しそうで。
「この間は変なこと言ってごめんね」って謝られたきり、ちゃんと話せていない。
たまに目が合っても、反らされてプロジェクトメンバーの人達と一緒に出ていってしまう。
「・・・阿部ちゃん、無理してないですか?」
「・・・どうして?」
「ずっと一緒にここまでやってきたので・・・大切な同期だから・・・」
「阿部さんは元気です。ちゃんと仕事量もコントロールしてますよ。」
「・・・それなら良かったです」
「今は色々忙しいんだと思います」
目黒さんに背中をそっと押されて歩き出す。
ふと目黒さんを見ると少し眉間に皺を寄せて険しい表情をしていた。
阿部ちゃんの話をしてから、険しい声とこの表情。
「目黒さん・・・」
「なんですか?」
「ごめんなさい。目黒さん忙しい中せっかく時間作ってくれたのに、こんな事聞いちゃって」
「・・・大丈夫です。ちょっとヤキモチ焼いただけです」
険しい表情から一変、へにゃと笑顔になった目黒さん。
「なに、それぇ・・・」
「いつも気にかけて貰えてる阿部さんが羨ましくなっちゃいました」
「・・・羨ましいなんて」
「着きましたよ、入りましょ」
目黒さんの言葉の真意が聞けないままお店に到着してしまった。
目黒さんが予約してくれたのは半個室席のあるお洒落なバルだった。
「日曜1日一緒だから、もう少しお互いの事知れたらと思って。少しお酒も入れた方が良いかなって」
ね?と促され、それぞれ好きなお酒や料理を頼んで、つつきながらお互いのプライベートな話や仕事の話をする。
もちろん、仕事の話ってなると営業部やプロジェクトの話になるから、阿部ちゃんの話題にもなってしまうわけで。
さっきのことがあるから、あまり阿部ちゃんの話したくないんだけどな・・・。
「阿部さんは、佐久間さんにとってそれだけ大切な存在なんですね」
お酒が入っていることもあって、先程よりも表情が分かりやすい。眉間の皺だけじゃなくて、むぅって子供が拗ねたような表情をしていて、ちょっと可愛い。
「ま、まぁ・・・仕事で辛い時はお互いを支え合って士気を高め合ってたというか・・・」
「お互いを支え合うね・・・」
「佐久間さんの、その阿部さんへの気持ちは恋愛感情ですか?」
「・・・え」
一緒にいる事が当たり前で、大切な存在。
恋愛感情かどうかなんて考えたことがなかった。
「阿部ちゃんは、私にとって大切な人だけど、独占したいとは思った事ないです・・・。ただただ幸せになって欲しいだけで・・・」
だって、私の好きな人はー・・・
目黒さんはやや考え込んで、小さく深呼吸をした。
「・・・目黒さん?」
「俺、今日は本当に日曜緊張しないために誘ったんです。2人だと変に緊張しちゃうから。別にそれ以上は求めて無かった。」
私の手に目黒さんの大きな手が重なる。
「えっ、めぐろさ・・・」
「俺は貴女を他の男に取られたくない」
「・・・佐久間さん」
真剣な表情で、私のことを見つめる目黒さん。
お酒が入ってることもあって、突然の出来事に理解が追いつかない。
「・・・俺は、貴女のことが好きです」
「佐久間さんが俺のことを知る前からずっと好きでした、気持ち悪いって思うかもしれないけど、それだけ大好きです」
「阿部さんは佐久間さんにとって大切な存在だけど、俺はもっと特別な存在になりたい。」
私、告白されてる・・・?
私が目黒さんのことを知る前からってどういうこと?
阿部ちゃんよりも特別な存在になりたい・・・?
「今返事くれなくて良いです。日曜、返事ください」
「ぁ・・・めぐろさ、私・・・」
「もう遅いし、家まで送ります。」
「お酒が入って顔真っ赤になってる好きな人を1人に出来るわけない。家には上がらないから、送らせてください」
目黒さんは足早に会計を済ませて、状況を理解できずに混乱している私の手を引いて店を後にした。
-–
お店から私の家まで、私も目黒さんも一言も話さない。だけど手は繋いだまま。
「私の家・・・ここです」
「俺の住んでる社宅から近いんですね・・・」
「ぁ・・・それなら、あがっていきませんか?」
ふいに出てしまった言葉。
少し硬かった目黒さんの表情がふっと柔らかくなる。
「佐久間さん、状況分かってます?今俺を家にあげたら、どうなるか分からないですよ?」
「ぁっ・・・っ」
ぐいっと繋いでいた手を引っ張られて目黒さんに抱き止められる。
ドクドクと聞こえる心臓の音。少し汗ばんだワイシャツ。
香ってくる男の人の香り。
「俺、もう理性ぎりぎりなんです。こんな状態で佐久間さんの家に行ったら何するか分からない。だから、今日はあがりません」
そう言って、ぎゅうっと私のことを力強く抱きしめる。
「俺、多分佐久間さんが思ってるような男じゃない。欲深いし、嫉妬するし、独占欲も多分強い。それも踏まえて日曜返事が欲しいです」
目黒さんは私の身体を離して、最後に泣きそうな笑顔で私の唇を親指でなぞった。
ちょっと展開早いかな?と悩みましたが、はよくっつかんかい、と告白させてしまいました。
コメント
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めめの気持ちが焦っててキュンとしますね😚 さくちゃんかわいい🩷

ROY

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みむら
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