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推薦状の一件から二ヶ月が経ち、ついに王立フューチャー学園の入試当日となった。
俺は友人のクーインと共に学園向かっている。
理由は「どうせ僕もなら一緒に連れて行ってよ」と言われた為だ。
最初渋ったが、そうしたら「お貴族様はしがない平民の頼みも聞いてくれないほど器量が無いんですね」と言われた為、引き受けた。
ただ、両親にそのことを相談したら泣きながら許可を出していたが……。
意味がわからない。
そして、俺、クーインそしてゼフの三人でグランデ王国の王都に到着後、宿で一泊して会場に向かった。
ゼフは一緒に行きたいと言っていたが、使用人を連れていったら目立ってしまうかもしれないも思い丁重に断った。
「試験の準備は大丈夫か?」
「まぁ、アルトが勉強と魔法教えてくれたし大丈夫だとは思うよ?」
「なんで疑問系なんだよ。大丈夫だ、クーインは合格ラインは超えてる。本番緊張し過ぎなきゃ大丈夫」
「ならいいんだけどね」
俺がクーインにそう言うが、何かそわそわしている様子をしている。
よほど緊張しているのだろう。
学園まで一緒に向かっているが、宿からずっとこんな感じだ。
途中商店街が賑わっている場所で声をかけられていたが反応が鈍かった。
これが緊張が原因でクーインが落ちたらシャレにならん。
俺が知り合いゼロで受けに行かなきゃいけなくなる。
それは嫌なので何か緊張を解くために話しかけてはいるが全く効果がない。
どうするんだよマジで。
俺は色々考えるが何も思い付かず、そのまま学園についてしまった。
「王立フューチャー学園」
それはグランデ王国が誇る最高峰の人材育成機関。
より優秀な人材を育てる為、将来魔神復活した時にそれに能力ある実力者を輩出するのが目的に建てられた。
王国は約千年前、魔人復活し滅亡寸前まで追い詰められた。
しかし、人類は協力し合い魔神を封印した。
ただ、封印をしただけでまた復活する恐れがある。
それに対抗する為の人材を育てることを目的に設立された。
まぁ、ゲームテンプレ展開で今年復活してしまうのだが……。
ちなみに学園に入ることは人生が約束されたも同然。
「王立フューチャー学園卒」それだけで望めばどこでも就職できる。
それほどまでにブランドに箔がある。
毎年の入試倍率は百倍の競争率がある。
本当に狭き門。なにより入試に出来レースは一切存在しない。
例えば公爵家の子息が落ちて平民が合格する。
それが当たり前のように起こる。
それほどまでに平等なのだ。
俺自身アルトに転生して努力を重ねたが、なんで合格できたのがわからない
相当優秀だったのか、俺が憑依した影響で才能が抜け落ちてしまったのかわからない。
ただのモブのはずなのに、理解ができない。
そんな俺だが、推薦で入学が確定している。
推薦入学者は毎年少なく、いない年すらあるらしい。
審査が厳しい為、一般入試以上に狭き門なのだ。
原作主要キャラたちも多分推薦で入ることになると思う。
だってチート野郎だし、俺で推薦貰えたのだから入れないわけがない。
そんなことを考えていると、いつのまにか学園に到着していた。
「すげぇー」
「本当だなぁ」
俺、クーインと感想を言う。
校門を潜ると見えた規模、背景に絶句した。
門を潜ると門から約百メートルほど先に学園が見える。
その大きさは俺の住む屋敷よりも何倍も規模が大きい。
学園の入り口までの道はまさに幻想。
レンガブロックを敷き詰めた道幅二十メートルほどの道、その道を囲うように並び生えている木々。
そして中央には白を基調にした綺麗な噴水、花壇が所々にあり、その光景はまさに桃源郷。
ゲーム世界に転生したら俺で無くともこの世界に住む住人ですら、感激で言葉を失うほど綺麗だった。周りの皆も見惚れてしまい、一瞬フリーズしてしまっている。
どれほど時間がだったのだろうか。
しばらくその場で俺とクーインが目の前の光景を見つめていると、俺らの横を髪を風に揺らしながら絶世の美女が通る。
「?!」
俺は美女が通りその容姿を見た瞬間驚き声が出そうになるがどうにか抑える。
横ぎった美少女は腰伸ばした光が透き通るような綺麗な銀髪を揺らし、ワンピース型の黒色の正装を着こなし、彼女の一番の特徴と言えるアメジスト色の綺麗な目、整いすぎている容姿。
これらを見て確信した。
彼女は俺が目標にしていた乙女ゲームにおける超不遇当て馬ヒロインその人だった。
「サリー=クイス……」
俺は驚きのあまり彼女の名前を小さくつぶやいてしまった。