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kaede🍁
翔太の呼吸はまだ浅かったけれど、酸素マスクの中で少しずつ落ち着いていく。
しばらく沈黙が続いたあと、翔太はゆっくりと口を開いた。
「……こわかった」
かすれた声だった。
誰に向けるでもなく、ただ溜まっていたものがこぼれるみたいに。
「ずっと……こわかった」
亮平の手が、ほんの少し強く握り返す。
でも翔太は気づかないまま続けた。
「咳しても……熱あっても……」
「だれも、こっち見てくれなかった」
言葉が途切れて、喉が震える。
涙がまた溢れてくる。
「亮平は、すぐ見てもらえるのに」
「ぼくは……あとでって言われて」
その“あとで”が積み重なって、
今ここまで来てしまったことを、
誰も否定できなかった。
翔太はシーツをぎゅっと握る。
小さな手が白くなるほど力が入っている。
「がんばってたのに……」
「ちゃんと、いい子にしてたのに……」
声が震えて、途切れる。
「なのに……だんだん、いなくてもいいみたいになって……」
そこで初めて、翔太は泣き声をはっきりと漏らした。
「……ぼく、ちゃんといたのに……!」
その一言は、病室にいる全員の胸を刺した。
辰哉は目を伏せたまま、何も言えない。
照は唇を噛みしめている。
康二は顔を背けて涙をこらえている。
大介も、ただ床を見つめているだけ。
蓮は翔太を見つめなにも言えない。
涼太は翔太に向き合いつつも下を向く。
ラウールは静かに涙をこらえていた。
亮平だけが、少しだけ近づいた。
でも触れる前に止まる。
「……気づけなかった」
亮平の声も震えていた。
「本当に、ごめん」
翔太は涙でぐしゃぐしゃのまま、続ける。
「ぼく、がんばってたのに」
「なんで、だれも……」
そこで言葉が詰まる。
呼吸がまた少し乱れる。
でも今度は、さっきみたいな過呼吸ではない。
ただ、溢れて止まらないだけだった。
看護師はそっと見守るだけで、止めようとはしない。
辰哉が静かに言う。
「翔太」
「今まで、お前のこと“静かだから大丈夫”って思ってた」
「それが間違いだった」
「本当に、ごめん」
その言葉に、翔太の涙は止まらないまま、
少しだけ視線を上げた。
すぐに許すわけでもない。
全部がすぐに消えるわけでもない。
でも、初めて“ちゃんと聞かれた”時間が、
そこにあった。
コメント
6件
ああ、今回は、家族の絆を感じれたよ😭 翔太くん、少しずつ、よくなってきてるね。 ふっかさんの言葉…ふっかさんらしい! 感動の涙が止まらない(T ^ T) しょたシナさん、しょたシナさんのペースでいいので、続き待ってます!


一気に3話本当に少しづつ凝り固まった心溶けていって欲しいな溜まってたもの全部吐け出して頑張れ💙